
※本記事は当事務所の見解です。制度の内容や審査の仕組みは補助金ごとに違います。申請する補助金の最新の公募要領を必ず確認してください(2026年10月時点の情報です)。
補助金の採択を保証できる支援者はいません。採否は審査で決まり、申請を支援する側が決められるものではないからです。
2026年10月に、補助金の申請支援をうたうサイトをいくつか確かめました。採択という結果そのものを約束する「採択保証」は、ほとんど見当たりませんでした。目立ったのは「返金保証」「採択まで追加料金なし」「不採択なら0円」「採択率100%」といった表現です。
これらは結果の約束ではなく、料金の条件や、過去の実績の示し方です。この記事では、補助金の審査業務にも携わる中小企業診断士・行政書士の立場から、採択を保証できない理由と、「保証」と書かれたプランの読み方、契約前に確かめたい条件を整理します。
この記事の結論
- 補助金の採択は審査で決まるため、誰にも保証できません。
- 「保証」「0円」「100%」とうたうプランの多くは、結果ではなく料金の条件や実績の示し方です。
- 着手金0円なら、採択に向けた支援をどこまでしてくれるのかを確かめてください。
- 「丸投げOK」で決まった型に当てはめるプランは、公募要領の決まりと合わないため避けてください。
補助金の採択を誰も保証できない理由
採択は、審査で事業計画を評価した結果として決まります。支援者が影響を与えられるのは計画の質までで、結果を決めることはできません。理由は次の4つです。
採点するのは、公平・中立な立場の審査員
申請書は、事務局などから審査を委託された審査員が、公平・中立な立場で採点します。私も補助金の審査業務に携わっていますが、委託元のルールで、自分が支援した申請は審査しません。支援者が、自分の関わった申請の点数を左右できる仕組みにはなっていません。
ほかの申請と比べて、評価の高いものから採択される
持続化補助金、新事業進出・ものづくり補助金、省力化投資補助金などの主要な補助金では、審査で評価の高いものから採択されます。たとえば新事業進出・ものづくり補助金の公募要領には、「評価の高いものから補助金交付候補者として採択されます」とあります。
採択される件数は、その回の予算額に左右されます。そのため採択率は公募回ごとに変わり、次の回がどれくらいの採択率になるかは、事前に誰にも分かりません。過去の採択結果から傾向を読み取れる程度で、その傾向も急に変わることがあります。
同じ計画でも、その回の予算や、どんな申請が集まるかで結果は変わりえます。
口頭審査は、事業者ご自身が受ける
口頭審査の対象になった場合は、事業者ご自身(法人なら代表者など)が対応し、支援者は同席できません。申請者以外が対応したり同席したりしたことが分かれば、不採択になることがあります。計画を自分の言葉で説明できるかどうかは、支援者が肩代わりできない部分です。
採択されても、受け取れる金額までは決まらない
採択は、申請した経費や金額のすべてについて、交付決定を保証するものではありません。採択後の交付申請で経費が精査され、減額や対象外になることもあります。仮に「採択」を約束されても、受け取れる補助金の額まで約束されたことにはならないのです。
出典:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)、同 よくあるご質問
「保証」と書かれたプランの中身は、ほとんどが料金の条件
支援サイトで見かける「保証」や「100%」の多くは、採択という結果ではなく、料金の条件や実績の数字を示しています。2026年10月に確かめた範囲では、次の4つの型がありました。
| よく見る表現 | 実際に約束していること | 確かめたいこと |
|---|---|---|
| 返金保証(不採択なら着手金を返金) | 不採択のとき、着手金を返す | 返金の範囲と、返金されない条件 |
| 採択まで追加料金なし(「合格保証」と呼ぶ例も) | 再申請の作業料を取らない | 最初に払った料金の扱い、再申請の回数と期限 |
| 不採択なら0円(完全成功報酬) | 不採択のとき、報酬を取らない | 成功報酬の率と基準、最低報酬や解約金、採択に向けた支援の範囲 |
| 採択率100% | 過去の実績(何件中何件か) | 何件中の数字か、いつの、どの補助金の実績か |
どれも、料金の条件としては筋の通ったものです。当事務所も、不採択だった場合の扱いを料金表と並べて示しています(プラネット行政書士事務所の考え方)。気をつけたいのは、「保証」「100%」という言葉から、採択まで約束されたように受け取ってしまうことです。
「採択率100%」は、実績の件数が少ないと出やすい数字です。数件の支援で全件が採択されれば、表示は100%になります。着手金0円の仕組みと採択率の数字の読み方は、成功報酬は「何%」より「何の何%」か|補助金申請支援の費用で詳しく取り上げています。
「着手金0円」なら、採択に向けた支援の中身を確かめる
着手金0円のプランを選ぶときは、料金だけでなく、採択を目指した支援をどこまでしてくれるのかを確かめてください。
補助金の申請支援には、相応の時間と手間がかかります。計画を練り上げる過程は、自社の強みや経営戦略を見直す機会にもなり、たとえ採択されなくても、その気づきは残ります。その意味で、申請支援には有償のコンサルティングと同じ働きがあります。
着手金を取らない場合、その手間をどこまでかけてくれるのかは、契約前に確かめておきたいところです。たとえば、次のような点です。
- 事業計画を練り上げるための助言を、どこまで受けられるか
- 加点項目の申請手続きまで支援してくれるか
- 口頭審査の準備を手伝ってくれるか
- 担当者が、これまでにどの補助金で何件支援してきたか
着手金なしで多くの依頼を受け、もともと通る見込みの高い案件があまり手をかけずに採択されることで、採算を合わせている場合もあります。そうした支援では、一件ごとにかけられる手間は限られます。また、補助金支援の経験が少ない支援者が、実績をつくるために着手金なしで引き受けている場合もあります。
着手金0円そのものが悪いわけではありません。料金の安さだけで決めず、支援の中身で比べることが大切です。
契約前に確かめたい6つの条件
「保証」や「0円」が気になったら、次の6つを契約前に確かめてください。口頭の説明だけでなく、契約書や見積書に書かれているかどうかが大切です。
- 返金の範囲 着手金の全額か、一部か。事務手数料などが差し引かれないか。
- 返金や無料対応を受けられない条件 「資料の提出が遅れた場合」「助言に従わなかった場合」など、除外の条件が広すぎないか。
- 再申請の対象と期限 同じ補助金の次の回だけか。次の公募がない場合や、制度が変わった場合はどうなるか。補助金の制度は、年度によって変わることがあります。2026年には「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の公募が始まり、これまでの新事業進出補助金やものづくり補助金とは別の補助金として扱われています。
- 再申請のときに、計画の見直しまで含まれるか 事務局のよくある質問で、再応募するなら前回の内容を踏まえて事業計画を見直すよう勧めている補助金もあります。同じ計画を出し直すだけでは、結果は変わりにくいものです。
- 成功報酬の基準と支払いの時期 採択額が基準か、交付決定額が基準か。支払いは交付決定の前か後か。採択のあと金額が減ることもあるため、基準と時期で負担が変わります。
- 採択後の手続きが含まれるか 交付申請や実績報告まで支援が続くか。その費用が料金に含まれるか。
「丸投げOK・保証つき」のプランは、公募要領の決まりとかみ合わない
保証の条件がどれだけ手厚くても、「丸投げOK」とうたい、決まった型に当てはめて支援者が計画書を作るプランは避けてください。公募要領の決まりと合わないからです。
持続化補助金、新事業進出・ものづくり補助金、省力化投資補助金などの主要な補助金では、事業計画を申請者自身で作るよう公募要領で求めています。支援者の助言を受けながら計画を練り上げるのはかまいません。
ただ、事業者が計画づくりに関わらず支援者に任せきりにすると、この決まりに反するおそれがあります。たとえば新事業進出・ものづくり補助金の公募要領では、発覚した場合は不採択や採択の取消、交付決定の取消になるとしています。
型に当てはめた計画書は、他の事業者の計画とよく似たものになりがちです。よく似た計画は、補助対象外になるおそれがあります。公募要領によっては、支援者が故意や重大な過失でそうした申請を主導した場合、その支援者が関わる申請を以後受け付けない、または審査しない可能性があるとしています。そのリスクを負うのは、申請した事業者の側です。
公募要領が注意を呼びかけている支援者の行為(中身に見合わない高額な成功報酬、条件があいまいな契約など)は、補助金は誰に頼むべき?行政書士・中小企業診断士・税理士の違いと失敗しない選び方の「避けたほうがいい業者のサイン」にまとめています。
支援者が約束できること・できないこと
支援者が約束できるのは、結果ではなく、計画づくりの中身と進め方です。
約束できないこと
- 採択されること
- 受け取れる補助金の額(交付決定額)
- 採択率の数字
約束できること
- 公募要領と審査項目に沿って、答え漏れがないかを確かめる
- 加点項目を取りこぼさないよう、必要な手続きを一緒に進める
- 書類の不備を防ぎ、締切に間に合う段取りを組む
- 口頭審査で、事業者ご自身が計画を説明できるよう準備を手伝う
- 不採択だった場合の扱いを、契約前に書面で示す
- 採択後の交付申請・実績報告まで支援を続ける
審査する側の視点を計画づくりにどう生かしているかは、審査経験のある専門家に補助金申請を頼むメリットは?100件超の審査で見た7つの傾向と、支援への活かし方で紹介しています。
プラネット行政書士事務所の考え方
当事務所は、採択を保証しません。補助金に「絶対採択される」はないからです。そのかわり、料金と、不採択だった場合の扱いを先に明記しています。
| 項目 | 内容(税抜) |
|---|---|
| 着手金 | 補助金の種類により5万円または10万円(その他は要相談) |
| 成功報酬 | 交付決定額の10%(補助金により上限あり) |
| 成功報酬の請求 | 交付決定のあと |
| 不採択だった場合 | 成功報酬は発生しない。着手金は返金しない |
| 次回公募での再申請 | 同じ補助事業なら、着手金なしで1回支援 |
着手金は、採択の可否にかかわらず、事業計画づくりに時間をかけるための費用としていただいています。再申請では、不採択の結果を踏まえて計画を練り直し、次の公募に臨みます。詳しくは補助金申請サポートの料金をご覧ください。
どの補助金が使えそうかは、使える補助金を調べる診断ページで確かめられます。計画の進め方や契約条件の見方も含めて相談したい方は、オンライン無料相談からお申し込みください。
よくある質問
-
「採択保証」をうたう支援者に頼むのは、避けたほうがいいですか?
-
言葉だけで判断せず、何を約束しているのかを確かめてください。多くは返金や追加料金の条件で、それ自体は悪いことではありません。ただし、採択という結果まで約束しているように読める場合や、「丸投げOK」とうたい、決まった型に当てはめて計画書を作る前提の場合は、注意が必要です。
-
「不採択なら0円」なら、事業者に損はありませんか?
-
不採択のときの支払いはなくても、成功報酬の率が高めだったり、最低報酬や解約金の定めがあったりすることがあります。着手金の有無だけでなく、総額と条件で比べてください。あわせて、事業計画の練り上げへの助言や加点項目の手続きなど、採択に向けた支援をどこまでしてくれるのかも確かめておくと安心です。
-
採択されれば、申請した金額の補助金を必ず受け取れますか?
-
いいえ。採択のあとの交付申請で経費が精査され、減額や対象外になることがあります。補助金が支払われるのは、補助事業を終えて実績報告を出し、その内容が確認されて金額が確定したあとです。
-
口頭審査に、支援者が同席したり代わりに答えたりできますか?
-
できません。口頭審査の対象になった場合は、事業者ご自身(法人なら代表者など)が対応します。申請者以外が対応したり同席したりしたことが分かれば、不採択になることがあります。だからこそ、計画をご自身の言葉で説明できるところまで、一緒に準備することが大切です。
お問い合わせ・
オンライン無料相談
【24時間以内に返信】
- 静岡県伊東市の中小企業診断士・行政書士の代表(長野)が対応します(オンラインで全国対応)
- 相談後に契約を迫ることは一切ありません
- 申請要件をクリアしているか確認いたします
- オンラインではなく、対面をご希望の方はお気軽にご相談ください
_逆.jpg)
長野 利雄 プラネット行政書士事務所 代表
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 採用定着士
- 認定経営革新等支援機関
1971年山口県下松市生まれ、静岡県伊東市在住。
25年間、IT業界の東証プライム上場企業を中心に法人営業や企画部門に従事し、大手製造業向けにIoTやDXの導入を推進。2022年3月に日鉄ソリューションズ株式会社を退社後、プラネット行政書士事務所を開業。
中小企業のお客様へビジネス経験を活かした事業計画の策定や採用定着を支援。(公財)千葉県産業振興センターでの補助金受付業務(嘱託)や補助金事務局での審査の経験がある補助金専門家として活動中。「創業手帳」等の補助金解説記事の監修も担当。2026年6月に千葉県市川市から静岡県伊東市へ移住。オンラインで全国のお客様を引き続きご支援しつつ、温泉三昧の日々も満喫。




