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著者 | 長野 利雄
プラネット行政書士事務所
代表 中小企業診断士・行政書士・
認定経営革新等支援機関
補助金事務局で審査経験のある補助金専門家として、中小企業の事業計画の作成・補助金申請を支援しています
補助金申請を控えた中小企業の経営者様にとって、最も高いハードルの一つが「相見積(あいみつもり)」の準備です。
「付き合いのある会社にお願いしたい」「特殊な機械だから他では扱っていない」といった理由から、「業者選定理由書」で済ませようと考えてはいませんか?
実はその判断が、交付決定の遅延を招く最大の懸念点になるかもしれません。今回は、業者選定理由書の意味・書き方・記載例から、審査で通すための鉄則までを解説します。
業者選定理由書とは?なぜ必要になるのか
業者選定理由書とは、補助金の発注先を1社に決めた理由を説明する書類です。補助金では原則、2社以上(または3社以上)の相見積もりが求められます。しかし特殊な設備やソフトなど、比較できる相手がいない場合に、「なぜこの業者なのか」を合理的に説明するために提出するのが、この書類です。
裏を返せば、相見積もりが取れる案件では不要。まずは「相見積もりが原則」という大前提を押さえてください。
「業者選定理由書」は魔法の杖ではない
多くの補助金(ものづくり補助金や新事業進出補助金など)では、原則として2社以上(または3社以上)の相見積書の提出が義務付けられています。
どうしても1社に絞らざるを得ない場合、その正当性を説明する「業者選定理由書」を提出しますが、これはあくまで例外中の例外です。事務局側は「税金から支出される以上、公平な価格比較が行われているか」を厳格にチェックします。
業者選定理由書の書き方・記載例
書くべきは主に3点です。
- なぜ相見積もりが取れないのか(技術的な独自性・互換性・地域性など)
- その業者を選んだ客観的な理由
- 価格の妥当性の根拠
すべて“事実ベース”で書くのが鉄則です。
- NG例:「以前から付き合いがあるから」「社長の知り合いだから」→ 主観的で、差し戻しの典型です。
- OK例:「当該システムと互換性がある製品は国内で◯社のみで、他社製品では既存設備と接続できないため」→ 客観的で、審査側も反論しにくい書き方です。
1. 「相当な理由」のハードルは想像以上に高い
単に「長年の付き合いがあるから」「信頼できるから」という理由は、審査では一切通用しません。
- 世界でその会社しか作れない特許技術である
- その会社以外では絶対に不可能な特殊なカスタマイズが必要であるこれらを、客観的な公的データやエビデンスを添えて証明しなければなりません。
2. 「ダメ出し」の無限ループに陥るリスク
業者選定理由書を提出すると、事務局から「なぜ他社ではダメなのか?」「このスペックなら他社でも可能ではないか?」といった疑義(差し戻し)が何度も届くことがあります。
このやり取りだけで1ヶ月、2ヶ月と時間が過ぎ去り、結局認められずに「相見積を取り直してください」と言われるケースが後を絶ちません。
交付決定を最速で得るための「鉄則」
補助金事業は、交付決定が下りるまで発注ができません。審査に手間取れば、それだけ事業開始が遅れ、ビジネスチャンスを逃すことになります。
早期に、かつ確実に交付決定を得るためのセオリーは、「安易に理由書に頼らず、原則通り相見積を取ること」です。
なぜ相見積が「急がば回れ」なのか?
- 審査がスムーズに通る: 2社の見積書が揃っていれば、事務局は金額の妥当性を比較するだけで済みます。
- 指摘のリスクを最小化できる: 理由書のような主観的な説明がないため、疑義が生じる余地が減ります。
- 価格交渉の材料になる: 補助金に関わらず、相見積を取ることで適正価格を把握でき、コスト削減につながるメリットもあります。
まとめ:経営者としての賢明な判断を
業者選定理由書は「書けば通る」書類ではなく、「合理的な事実を、指定様式で、客観的に説明する」書類です。判断に迷うときは、審査目線を知る専門家に早めに相談するのが、遠回りに見えて最短です。
よくある質問(FAQ)
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業者選定理由書は誰が書くの?
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申請者(事業者)本人が作成します。また、理由を説明するための裏付け情報などは対象経費の取引先から入手しましょう。専門家が内容を支援することは可能です。
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相見積もりが1社しか取れない時は?
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取れない理由と選定理由を、上記の書き方に沿って客観的・具体的に説明します。
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どんな場合に差し戻されますか?
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理由が主観的・抽象的だと差し戻されます。事実と数字で裏づけましょう。
「このケース、どうしても相見積が取れないんだけど…」とお悩みですか?
もし具体的な状況についてご不安がある場合は、専門家と一緒に「本当に理由書で通るケースなのか」を精査することをお勧めします。まずは現在の準備状況を整理してみませんか?
「そもそも補助金を誰に頼むべきか」は「補助金は誰に頼むべき?」もあわせてご覧ください。
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長野 利雄 プラネット行政書士事務所 代表
- 中小企業診断士
- 行政書士
- 採用定着士
- 認定経営革新等支援機関
1971年山口県下松市生まれ、静岡県伊東市在住。
25年間、IT業界の東証プライム上場企業を中心に法人営業や企画部門に従事し、大手製造業向けにIoTやDXの導入を推進。2022年3月に日鉄ソリューションズ株式会社を退社後、プラネット行政書士事務所を開業。
中小企業のお客様へビジネス経験を活かした事業計画の策定や採用定着を支援。(公財)千葉県産業振興センターでの補助金受付業務(嘱託)や補助金事務局での審査の経験がある補助金専門家として活動中。2026年6月に千葉県市川市から静岡県伊東市へ移住。オンラインで全国のお客様を引き続きご支援しつつ、温泉三昧の日々も満喫。





