著者 | 長野 利雄
プラネット行政書士事務所 

代表 中小企業診断士・行政書士・

認定経営革新等支援機関

補助金事務局で審査経験のある補助金専門家として、中小企業の事業計画の作成・補助金申請を支援しています

「ようやく補助金が採択された!」と喜んだのも束の間、次に待ち受けているのが「交付申請」という高いハードルです。

特に、建設費や機械装置費などで、見積書の中に「補助対象外」の経費が含まれている場合、計算方法を間違えると、審査担当者から「不備」として差し戻され、いつまで経っても許可が下りないという事態に陥ります。

今回は、多くの経営者様が悩み、そして間違いやすい「経費の按分(あんぶん)」について、審査に通りやすいシンプルな考え方を解説します。

そもそも「按分(あんぶん)」とは?

普段あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「按分」とは、基準となる数量や金額の比率に応じて、数値を割り振ることを指します。

補助金の申請において、一つの見積書の中に「補助金が出るもの(対象経費)」と「出ないもの(対象外経費)」が混ざっている場合、それら共通にかかる費用(諸経費や管理費、値引きなど)も、それぞれの金額の比率に合わせて分けなければなりません。

これを怠ると、「補助金が出ない部分の管理費まで、国に請求しようとしている」とみなされ、不備となります。

よくある間違い:単純な引き算ではダメ!

具体的な数字で見てみましょう。例えば、工場の改修工事を行うとします。

  • 見積合計額:100
  • その内訳:
    • 建物工事(補助対象):70
    • 外構工事(補助対象外):20
    • 共通仮設・管理費など(全体にかかる経費):10

この場合、「外構工事の20は対象外だから、100引く20で、80が補助対象経費だ」と申請してしまうと……これは間違い(不備)です!

なぜなら、「共通管理費の10」の中には、外構工事を行うための管理費も含まれているはずだからです。この部分も計算して除外する必要があります。

審査がスムーズに通る「金額比」の計算式

難しい理屈は抜きにして、最もシンプルで審査担当者も納得しやすいのが「金額比(全体に対する対象外経費の割合)」で按分する方法です。

先ほどの例で計算してみましょう。

  1. 対象外経費の比率を出す全体(100)のうち、対象外の外構工事(20)が占める割合を見ます。

    20 ÷ 100 = 20%
  2. 共通経費から対象外部分を割り出す(按分)共通管理費(10)のうち、20%は外構工事のためのものと考えます。

    10 × 20 = 2

    つまり、共通費のうち「2」は対象外となります。
  3. 最終的な「補助対象外経費」を確定する元々の外構工事(20)と、按分した共通費(2)を足します。

    20 + 2 = 22

    これが正しい「補助対象外経費」の合計です。
  4. 「補助対象経費」を算出する

    100(全体) - 22(対象外合計) = 78

これをもとに、「補助対象経費は78です」と申請し、備考欄や添付資料でこの計算式を明示すれば、審査は非常にスムーズに進みます。

計算が面倒なら「見積書を分ける」のが一番の近道

中には、「共通管理費の中に、外構工事の分は入っていない!全部建物の分だ!」というケースもあるかもしれません。

しかし、それを審査担当者に納得させるには、明確な根拠や証拠書類が必要となり、証明するのは非常に手間がかかります。「証明してください」と何度もラリーが続くことになりかねません。

もし、共通費の按分がややこしい、あるいは説明が難しい場合は、最初から業者にお願いして見積書を分けてもらいましょう。

  • 見積書A: 補助対象経費のみ(建物工事+それに関連する諸経費)=合計80 
    (この見積書は交付申請で提出)
  • 見積書B: 補助対象外経費のみ(外構工事+それに関連する諸経費)=合計20
    (この見積書は交付申請に提出しない)

このように、補助金申請に使う見積書(A)から、対象外の項目を完全に排除してしまえば、按分の計算をする必要すらありません。 これが最も確実で、不備のリスクをゼロにする方法です。

まとめ

交付申請は「採択後の最初の難関」です。

  1. 対象外経費が含まれるなら、共通費も必ず「按分」して除く。
  2. 計算式を明示して、審査員に「わかってるな」と思わせる。
  3. 可能なら、最初から見積書を分けてしまう。

このポイントを押さえて、スピーディーに交付決定を勝ち取りましょう!


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