千葉県独自の大型補助金「中小企業成長促進補助金(第3弾)」の公募が、2026年4月6日にスタートしました。

補助上限額は最大3,000万円、補助率は1/2。設備投資による省力化・生産性向上を計画している千葉県内の中小企業にとって、非常に活用しやすい制度です。

ただし、この補助金は千葉県独自の制度であるため、国の「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金」とは仕組みが異なります。さらに第3弾では第2弾から重要な変更がありました。

この記事では、中小企業診断士・行政書士として多数の補助金申請を支援してきた立場から、制度の概要だけでなく、国の補助金との使い分け戦略採択に向けて押さえるべきポイントまで、わかりやすく解説します。

千葉県中小企業成長促進補助金(第3弾)とは

千葉県中小企業成長促進補助金は、千葉県が独自に実施する設備投資支援制度です。国の「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を財源として、積極的に賃上げや設備投資に取り組む県内中小企業の成長を後押しすることを目的としています。

第1弾(2025年4〜5月)・第2弾(2025年10〜12月)に続く第3弾が、2026年4月に公募開始されました。

制度の基本情報

項目内容
補助上限額3,000万円
補助下限額500万円
補助率対象経費の1/2以内
申請受付期間2026年4月6日(月)10:00 〜 6月5日(金)17:00
交付決定(予定)2026年8月上旬
事業実施期間交付決定日 〜 2027年2月15日
申請方法電子申請のみ(専用ポータルサイト
問い合わせ0120-511-199(平日9:00〜17:00)

補助金額の下限が500万円のため、対象経費ベースで最低1,000万円以上(税抜)の設備投資を計画している企業が対象です。

第2弾からの主な変更点 ― 第3弾で何が変わったのか

第3弾では、第2弾からいくつかの重要な変更がありました。申請を検討している方は必ず押さえてください。

① 「生産量の増大」区分の廃止 → 「省人化・業務効率化」に統合

第2弾まであった事業区分「生産量の増大」が廃止され、「省人化・業務効率化」に統合されました。これは単なる名称変更ではなく、この補助金の性格そのものが変わったことを意味します。後述する国の補助金との比較で詳しく解説しますが、省力化投資補助金の方向性に明確に近づきました。

生産量の増大で申請を検討していた方は、「省人化・業務効率化」の区分で申請してください。

② 支援機関確認書が不要に

第1弾では商工会議所等が発行する「支援機関確認書」の提出が必須でしたが、第3弾では提出不要です。商工会議所への依頼や発行待ちの手間がなくなり、申請のハードルが下がっています。

③ 第1弾・第2弾の採択者は応募不可

第2弾では第1弾の採択者のみが対象外でしたが、第3弾では第1弾および第2弾で採択された企業はいずれも応募できません。設備が異なっていても不可です。

対象者と主な補助要件

補助対象者

千葉県内に補助事業を実施する事業所を有する中小企業者等が対象です。法人・個人事業主のいずれも申請可能。本店が県外でも、千葉県内に事業所があり、県内で継続的に1年以上事業を行っている場合は応募できます。みなし大企業は対象外です。

補助対象経費

補助の対象は「生産性向上等」に資する設備投資です。対象経費は以下の3種類で、単価50万円(税抜)以上のものに限られます。

  1. 機械装置等の購入・製作・改良に要する経費
  2. 専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築に要する経費
  3. 上記①②の運搬または据付に直接必要な経費

汎用性のあるパソコン・スマートフォン・家具・家電、公道を走行できる車両、建物の建築・改築費、ウェブサイト・ECサイトの開発費、コンサル料・人件費などは対象外です。

押さえるべき主な補助要件

付加価値額の目標: 年率平均3%(3年で9%)以上の増加計画が必要。

労働生産性の目標: 年率平均1%(3年で3%)以上の増加計画が必要。

パートナーシップ構築宣言: 登録済みであることが必須。個人事業主も登録が必要です。承認まで時間がかかる場合は、申請手続きが完了したことがわかる資料で対応可能です。

他の補助制度との重複禁止: 同一の事業で国等の他の補助制度の交付決定を受けている場合は対象外。

国の補助金との使い分け戦略 ― 省力化投資補助金に近づき、ものづくり補助金とは距離が出た

千葉県内の中小企業が設備投資に使える補助金は、この成長促進補助金だけではありません。国の「省力化投資補助金」や「ものづくり補助金」も選択肢です。

ただし、第3弾で「生産量の増大」区分が廃止され「省人化・業務効率化」に統合されたことで、この補助金の性格は大きく変わりました

比較項目千葉県 成長促進補助金省力化投資補助金(一般型)ものづくり補助金
事業目的省人化・業務効率化、高付加価値化人手不足解消のための省力化投資革新的サービス開発・試作品開発
補助上限額3,000万円(一律)従業員規模により750万円〜最大1億円従業員規模により750万円〜最大2,500万円
補助率1/2中小企業1/2、小規模企業者2/3中小企業1/2、小規模企業者2/3
下限額500万円なしなし
採択率非公開約60%超約40%未満

※申請枠や特例の利用で上限は異なります。詳しくは各補助金の公式サイトをご確認ください。

【省力化投資補助金の補助上限額(従業員規模別)】

従業員数補助上限額大幅賃上げ時
5人以下750万円1,000万円
6〜20人1,500万円2,000万円
21〜50人3,000万円4,000万円
51〜100人5,000万円6,500万円
101人以上8,000万円1億円

まず事業目的を見てください。成長促進補助金の主軸である「省人化・業務効率化」は、省力化投資補助金の「人手不足解消のための省力化投資」とほぼ同じ方向性です。一方、ものづくり補助金は「革新的サービス開発・試作品開発」が目的であり、成長促進補助金とは明確に守備範囲が異なります。

次に補助額を見てください。省力化投資補助金は従業員21名以上なら補助上限3,000万円以上、101名以上なら最大1億円と、規模の大きい企業ほど成長促進補助金を大きく上回ります。さらに小規模企業者なら補助率2/3が適用されるため、自己負担も少なくなります。

一方、成長促進補助金の強みは事業計画書が比較的簡易なこと、そして従業員規模に関係なく一律3,000万円という点です。従業員20人以下の企業にとっては、省力化投資補助金(上限750万〜1,500万円)よりも成長促進補助金(上限3,000万円)の方が補助額で有利になるケースがあります。

なお、成長促進補助金の採択率は公開されていません(申請者数・採択者数ともに非公表)。千葉県限定だから競争が緩いとは限らず、予算規模も限られています。ただし、事業の方向性が同じ省力化投資補助金の採択率が60%超であることを考えると、同程度の採択率を期待して申請するのが現実的な判断でしょう。

結論:国の補助金と組み合わせるなら省力化投資補助金一択

成長促進補助金と国の補助金を組み合わせて最大限に活用したいなら、省力化投資補助金との併用が最も合理的です。理由はシンプルで、両者は「人手不足の解消・省力化」という同じ経営課題に対応する制度だからです。

同一の設備への重複申請はできませんが、設備が異なれば問題ありません。例えば、従業員15人の製造業の場合。省力化投資補助金の上限は1,500万円ですが、成長促進補助金なら上限3,000万円です。2,000万円超の大型設備は成長促進補助金で申請し、別の省力化設備は省力化投資補助金で申請する、という組み合わせが考えられます。

一方、ものづくり補助金は革新的な新製品・新サービスの開発が目的です。「人手不足を解消したい」「作業を自動化したい」という経営課題に対しては、ものづくり補助金よりも成長促進補助金+省力化投資補助金の組み合わせの方が、制度の趣旨にも合致し、審査でも評価されやすいでしょう。

ものづくり補助金はいつ使うべきか

では、ものづくり補助金は不要かというと、そうではありません。新製品の開発や、新しいサービスの仕組みづくりを計画している場合は、ものづくり補助金が適しています。例えば、IoTを活用した新しいサービスプラットフォームの構築や、新素材を用いた試作品の開発といった「革新性」が求められる投資です。

つまり、「省力化」なら成長促進補助金省力化投資補助金、「革新的な開発」ならものづくり補助金。この棲み分けを理解しておけば、どの補助金を選ぶべきかで迷うことはありません。

中小企業診断士の視点:採択されるための3つのポイント

この補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではなく、専門家による書面審査があります。申請要領に記載されている審査観点を踏まえ、採択に向けて押さえるべきポイントを解説します。

ポイント1:現状の課題と設備投資の必要性を明確に

審査では「現状認識と課題把握」「事業実施の必要性と目的の明確性」が評価されます。単に「この設備が欲しい」ではなく、「自社にはこの課題があり、解決するためにこの設備が必要」という論理の流れを明確に書くことが重要です。

また、申請要領には「外部のアドバイスを受けること自体は問題ないが、事業者自らが検討していることが見られない場合は不採択」と明記されています。コンサルに丸投げではなく、自社の言葉で計画を語れることが前提です。

ポイント2:数値目標を具体的な根拠とセットで示す

補助要件として、付加価値額の年率+3%増加、労働生産性の年率+1%増加が求められます。審査では「目標数値の合理性・説得力」が評価対象です。

例えば「画像検査装置の導入により、検品作業が1日8時間→2時間に短縮。年間の人件費を約300万円削減し、付加価値額は年率5%増加を見込む」のように、導入前後の定量比較計算根拠をセットで記載しましょう。

ポイント3:経費の妥当性とスケジュールの実現可能性

審査観点には「経費の妥当性・必要性・積算根拠・価格の適正性」と「計画の実現可能性(財務、資金面、スケジュール等)」が含まれています。

見積書は必ず2者以上から取得してください。1者しか取扱業者がない場合は「相見積もり省略理由書」で対応可能です。同じ設備を複数台購入する場合は、なぜその台数が必要なのかを計画書に詳細に記載する必要があります。

交付決定(8月上旬)から事業完了期限(2027年2月15日)まで実質約6か月しかありません。大型設備は発注から納品まで3〜6か月かかることもあるため、申請段階で設備メーカーに納期の目処を確認しておくことが不可欠です。

【加点対策】経営革新計画の活用

この補助金の加点項目は、経営革新計画の認定を受けていること(申請締切日時点で計画期間が終了していないもの)のみです。補助事業と異なる内容の計画であっても加点対象となります。

申請スケジュールと注意点

時期やること
今すぐパートナーシップ構築宣言の登録(未登録の場合)
〜5月上旬設備の選定、2者以上からの見積書取得、専門家への相談
〜6月5日専用ポータルサイトから電子申請
8月上旬採択・不採択の通知(メール)
8月上旬〜交付決定後、設備の発注・契約・納品・支払い
〜2027年2月15日補助事業の完了+実績報告書の提出
以降3年間毎年「事業効果報告書」の提出(義務)

特に注意すべき点:

交付決定前の発注は補助対象外。 見積書の取得は交付決定前でも可能ですが、発注・契約・支払いは交付決定後に行う必要があります。

支払いは銀行振込のみ。 現金・クレジットカード・小切手・手形・相殺は一切認められません。

事業効果報告は3年間の義務。 提出を怠ると補助金の交付取消・返還命令(加算金付き)の対象です。

補助金は後払い。 先に自己資金で全額を支払い、実績報告後に補助金が入金される流れです。資金繰りの計画も事前に立てておきましょう。

よくある質問(FAQ)

第1弾・第2弾で採択された企業は、第3弾にも申請できますか?

できません。 第1弾または第2弾で採択(交付決定)を受けた中小企業者等は、設備が異なる場合であっても、第3弾には応募できません。

申請前に設備を発注してしまいましたが、補助対象になりますか?

なりません。 交付決定日より前に発注・契約・支払いをした経費は補助対象外です。ただし、見積書の作成依頼・受領は交付決定前に行えます。

国の補助金(省力化投資補助金・ものづくり補助金)と同時に申請できますか?

同時に申請すること自体は可能ですが、同一の事業に対して両方の補助金を受け取ることはできません。異なる設備・事業であれば併用可能です。成長促進補助金は「省人化・業務効率化」が主軸のため、同じ方向性を持つ省力化投資補助金との組み合わせが最も合理的です。特に従業員20人以下の企業は、省力化投資補助金の上限額(750万〜1,500万円)よりも成長促進補助金の上限額(3,000万円)の方が大きいため、大型設備は成長促進補助金で、別の省力化設備は省力化投資補助金で、と使い分けるのが効果的です。

個人事業主でも申請できますか?

はい、申請可能です。 千葉県内に事業所を有し、継続的に1年以上事業を行っている個人事業主であれば対象です。パートナーシップ構築宣言への登録も個人事業主に必要です。

付加価値額や労働生産性の目標を達成できなかった場合、補助金を返還する必要がありますか?

返還の必要はありません。 ただし、目標を達成できなかった要因について確認が行われます。なお、事業効果報告書の提出自体を怠った場合は、交付取消・返還命令の対象となります。

見積書は2社分必ず必要ですか?

原則として2者以上からの相見積もりが必要です。 ただし、取扱業者が国内に1社しかない等の事情がある場合は、「相見積もり省略理由書」を提出すれば1者分で申請可能です。

ただし、理由書が認められるかどうかは事務局の判断次第です。認められなかった場合は、不採択になるリスクがありますので、原則、相見積書は提出するつもりで準備しましょう。

パートナーシップ構築宣言とは何ですか?

大企業と中小企業の望ましい取引関係を築くために、事業者が自主的に宣言する制度です。ポータルサイトからオンラインで登録できます。承認まで時間がかかることがあるため、早めに手続きを進めてください。

まとめ

千葉県中小企業成長促進補助金(第3弾)は、補助上限3,000万円・補助率1/2という充実した内容で、事業計画書もものづくり補助金に比べて簡易なため、申請しやすい制度です。第3弾からは支援機関確認書も不要となり、さらにハードルが下がりました。採択率は非公開ですが、方向性が同じ省力化投資補助金(採択率60%超)と同程度を期待して臨みたいところです。

一方で、補助金下限500万円(対象経費1,000万円以上)、パートナーシップ構築宣言の登録義務、事業実施期間が約6か月と短い、事業効果報告書の3年間提出義務といった注意点もあります。

申請締切は2026年6月5日(金)17:00です。設備投資をご検討中の千葉県内の中小企業経営者の方は、ぜひこの機会を活用してください。

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