- 1. 採用SXが今注目されている⁉~「効率化の次」に企業が目指すべき採用のかたち~
- 2. DXのその先へ~なぜ今「採用SX」なのか~
- 3. 採用SX という新たな視点
- 4. 持続可能な採用を阻む壁
- 4.1. 「採用成功」がゴールではない時代
- 4.2. 人材の流動化と価値観の多様化
- 5. いま問われていること
- 6. 採用SXを構成する3つの要素とは?
- 6.1. ❶定着率の向上 ~離職を防ぐ仕組みづくり~
- 6.2. ❷幸福度の向上 ~ 働きがいの提供~
- 6.3. ❸関係性の持続 ~採用を点から線へ~
- 6.4. 3つの要素が示す未来像
- 7. 持続可能な採用を“形”にする
- 7.1. STEP❶ 現状を“見える化”する:採用の課題を定量で捉える
- 7.2. STEP❷ 候補者体験(CX)と従業員体験(EX)を繋げる
- 7.3. STEP❸ 仕組みを“定着”させる~人とテクノロジーの融合~
- 8. 採用SXが描く未来と実践への道筋
- 8.1. いま、企業に求められること
採用SXが今注目されている⁉~「効率化の次」に企業が目指すべき採用のかたち~
採用のデジタル化(DX)が進み、AIやデータ分析を活用する企業が増えた今も、なぜ採用はこれほどまでに複雑で成果が見えにくいのでしょうか。
その背景には“採用の量”から“採用の質と持続性”への転換期を迎えているという現実があります。これまでの採用は「人を確保すること」に焦点が当たっていましたが、これからの時代に求められるのは「採った後の定着」「社員の幸福度」「企業との関係性」といった、これまで見過ごされがちだった価値への対応です。
つまり“採用”とは単なる人材の充足ではなく、企業と人材が長く共に成長していくための仕組みづくりへと進化しています。本特集では、この新たな概念である “採用SX” に焦点を当て、 DXの次に企業が取り組むべき“持続可能な採用”の姿を紐解きます!
DXのその先へ~なぜ今「採用SX」なのか~
この数年で日本企業の採用活動は大きく変貌を遂げました。求人媒体や説明会のオンライン化、AIによる候補者スクリーニング、適性検査の自動化などこうした「採用DX」は効率性を飛躍的に高め、採用にかかる工数やコストを削減してきました。
- 説明会のオンライン化
- AIによるスクリーニング
- 適性検査の自動化
- 採用効率の向上 ・ 採用工数やコストの削減
しかし、その一方では…
- 入社後の早期離職
- モチベーションの低下
- 配属後のミスマッチ
といった課題は依然として解決されていません。
表面的な「スピードと効率」の追求だけでは人材獲得競争の本質的な勝者にはなれないことが明らかになりつつあります。
採用SX という新たな視点
そこで今、注目され始めているのが「採用SX」という考え方です。SXとは本来、環境や社会における持続可能性の実現を意味しますが、採用においても同様に「持続可能性」が鍵となります。
現在、企業が直面している真の課題は「採用できるか」ではなく「採用した人材が長期的に活躍し続けられるか」です。採用を単なる短期的な充足行為としてではなく、中長期的な投資と捉え、候補者と企業双方にとって“持続可能な関係性”を築くことが不可欠となっていることがわかります。
持続可能な採用を阻む壁
「採用成功」がゴールではない時代
かつては「内定辞退率を下げ、採用目標人数を達成すれば成功」とされていましたが現在はその基準は大きく揺らいでいます。せっかく採用しても、数カ月で離職してしまう若手社員や期待された成果を発揮できない中途社員など。こうした「採用後の失敗」が顕在化しています。
人材の流動化と価値観の多様化
働き手の価値観は大きく変化しています。もはや「給与」や「安定」だけでは人材を引きつけることはできません。候補者はキャリアの自己決定や生活との調和、社会への貢献性といった要素を重視し、企業をより多面的に評価しています。またSNSや口コミサイトの普及により企業の実像は即座に共有されるようになりました。
そのため人材は「どの会社に入るか」だけでなく「その企業が持つ文化や姿勢」にまで目を向けて選択していることがわかります。
いま問われていること
「人は集めればいい」という時代は終わり、これからは「人が長く活躍できる環境をつくれるか」が重要です。その壁を乗り越えるために必要なのが採用SXの視点で、短期的充足から長期的定着への発想転換です。
採用SXを構成する3つの要素とは?
❶定着率の向上 ~離職を防ぐ仕組みづくり~
持続可能な採用の第一歩は「入社した人材をいかに定着させるか」です。従来は採用に成功すればそこで一区切りとされてきましたが、いまやオンボーディングやメンター制度の設計が不可欠となっています。企業が採用した人材を長期的に活躍へと導けるかどうかは定着率の数字に表れます。
☑オンボーディング
☑メンター制度
❷幸福度の向上 ~ 働きがいの提供~
第二の要素は従業員の「幸福度」といえます。給与や待遇だけでなく、働きがい、心理的安全性、キャリア形成の支援が重視されます。人材は企業に「生活の安定」を求めるだけでなく「自己成長の場」としての価値を見出そうとしています。社員一人ひとりが自らの可能性を感じられる環境を整備することは採用SXの核となる取り組みです。
☑自己成長の場
☑自らの可能性を感じられる環境
❸関係性の持続 ~採用を点から線へ~
第三の要素は企業と人材の関係を「点」から「線」へと変える視点です。タレントプールの活用や退職者との関係維持、候補者との長期的な接点づくりは従来型採用にはなかった発想です。入社前から退職後までの“人材との関係性”を重視することこそが、今後の持続可能な採用SXを支える基盤となります。
☑タレントプール
☑退職者との関係維持
3つの要素が示す未来像
定着率・幸福度・関係性。この三つの要素は単なる人事施策ではなく経営戦略と直結するものです。採用SXとは単に「人を採る」仕組みではなく「人と共に成長し続ける企業」をつくる仕組みといえます。
持続可能な採用を“形”にする
これまでの章で見てきたように「採用SX」は単なる採用活動の効率化ではなく、企業と人材が長期的に信頼関係を築き、共に成長していくための新たな仕組みです。しかし、そうした理想を「現場で機能する採用プロセス」として落とし込むには明確な手順と仕組み化が欠かせません。
そこでここからは採用SXを実現するための3つのステップを紹介します!
STEP❶ 現状を“見える化”する:採用の課題を定量で捉える
最初の一歩は「感覚」ではなく「データ」で現状を把握することです。離職率・定着率・早期退職理由・採用コスト・内定辞退率など採用活動の全体像をKPIで可視化します。
多くの企業では応募者数や採用単価の管理に留まっていますが、入社後6カ月・1年時点での定着率や業績評価を追跡することで、どの採用チャネルや面接プロセスが“本当に効果的だったのか”が見えてきます。
STEP❷ 候補者体験(CX)と従業員体験(EX)を繋げる
「採用前」と「入社後」を一本のストーリーとして設計します。従来の採用は“応募 → 面接 → 内定 → 入社”で終わっていましたが採用SXの時代においては“応募 →共感 → 入社 → 成長 → 定着”が一連のサイクルとなります。
そのためには採用広報や面接段階で伝える企業のメッセージと入社後に社員が体験する現実のカルチャーを一致させる必要があります。
STEP❸ 仕組みを“定着”させる~人とテクノロジーの融合~
最後のステップは制度や施策を一時的に導入するのではなく、継続的に回る仕組みにすることです。HRテクノロジーを活用しながら、人の感性を補完する形で運用を設計することが重要になります。
AIを活用した候補者スクリーニングや人材データの分析で採用効率を上げつつ、面接官のトレーニングやメンター制度など人間らしい判断や支援を重ねていき、「効率」と「温度感」のバランスを高めることが持続可能な採用SXの要となってきます。
採用SXが描く未来と実践への道筋
いま、企業に求められること
ここまでの議論が示すのは採用SXが単なる人事部門の施策ではなく、経営戦略そのものだという事実です。持続可能な採用は事業の成長と組織の強化を両輪で支える基盤となります。
今この転換点においていち早くSXの視点を取り入れることが競争優位の分岐点となることがお分かり頂けましたでしょうか。
しかし、自社だけでSX型の採用戦略を設計・実行するのは容易ではありません💦
採用市場は急速に変化しているため最新の知見と実践ノウハウが重要になってきます。
当事務所の【採用定着サポート】では、こうした課題を抱える企業に向けて採用から育成までを一気通貫で支援します。採用は組織の未来を決める最も大きな経営判断です。是非一度、ZOOM無料相談をお気軽にどうぞ。
