「営業は足で稼げ」「上司の背中を見て覚えろ」

そんな昭和・平成の営業常識が、完全に過去のものになったことを痛感させられる放送でした。

先日『カンブリア宮殿』に登場した、独立系システムインテグレーターの巨人・大塚商会

「コピー用紙からITシステムまで」を扱う同社は、かつては猛烈なドブ板営業のイメージがありましたが、現在は「AIと人間が協働する最先端の営業集団」へと変貌を遂げています。

なぜ彼らは、社員数を増やさずに売上を伸ばし続けられるのか?

そこには、中小企業の経営にも今すぐ活かせる「AI時代の組織運営のヒント」が隠されていました。


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1. 「上司の指示待ち」が成長を止める理由

これまで多くの組織では、ベテラン上司が経験と勘(K・K・D)に基づいて部下に指示を出していました。「あのお客様、そろそろ買い替え時期じゃないか? 行ってこい」と。

しかし、大塚商会のモデルは根本的に異なります。

彼らのシステム(AI)は、過去20年以上にわたる膨大な取引データや顧客の行動履歴を分析し、「次はどのお客様に、何を提案すべきか」を営業担当者に通知します。

ここに、経営者が直視すべき現実があります。

「上司の指示に従うだけでは、既存の枠組みから成長できない」のです。

上司の記憶や経験には限界があります。人間が思いつかないような「隠れたニーズ」や「タイミング」を、AIはデータから冷静にはじき出します。上司の顔色を伺って営業先を決める組織は、これからの時代、AIを味方につけた競合他社に太刀打ちできなくなるでしょう。

2. AIは「命令」しない、あくまで「参謀」

番組や同社の取り組みで最も重要なポイントは、「AIの言いなりになるわけではない」という点です。ここが、今回最大の学びです。

大塚商会の営業スタイルは、以下のようなプロセスをたどります。

  1. AIからの提案(サジェスト):「A社様に、この新商品を提案してみては?」という通知が届く。
  2. 人間の咀嚼と判断(ここが重要):営業担当者は、その通知を見て考えます。「確かにデータ上はそうだが、先週社長と話した感触だと、今は時期尚早だ」あるいは「なるほど、この視点はなかった。攻めてみよう」と。
  3. アクション:最終的に「行くか行かないか」「何を話すか」を決めるのは、現場の人間です。

つまり、AIが「優秀な参謀」として選択肢を出し、人間が「決裁者」として判断を下す。

これこそが、「AI時代の法人営業の基本動作」なのです。

3. 中小企業が明日からできること

「大塚商会のようなAIシステムはウチには無理だ」と思われたかもしれません。しかし、真似すべきはシステムではなく「マネジメントの姿勢」です。その姿勢があれば、本格的なシステムでなくとも、無料のGeminiやChatGPTを使って今からでも取り組めます。

中小企業の経営者やリーダーが明日からできることは、以下の3つです。

  • 「俺の勘」を押し付けない:トップダウンで行動をガチガチに管理するのをやめる。代わりに、客観的なデータ(売上推移や顧客の反応)を部下に示し、考えさせる。
  • 「なぜ?」を問う文化を作る:「上司に言われたから訪問しました」を禁止する。AIやデータ、あるいは自分の仮説に基づいて「なぜそのお客様を選んだのか」を語れる営業マンを育てる。
  • 「断る勇気」を評価する:データ(あるいは上司の助言)を鵜呑みにせず、「現場の肌感覚として、今は違うと思います」と論理的に反論できる部下こそ、AI時代に生き残る人材です。

【まとめ】

AIは、上司の権威を奪うものではなく、上司と部下の関係を「命令と服従」から「戦略の共創」へと進化させるツールです。

「上司の指示待ち人間」をつくるのをやめ、「AI(データ)を使いこなして自律的に動く人間」を育てる。

それこそが、次の時代を生き抜く最強の経営戦略になるはずです。


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