多くの申請者が「まずは書類を通すこと」に必死になりすぎて、「その書類がそのままプレゼン資料になる(差し替え不可)」という残酷なルールを甘く見ています。文字がびっしり詰まった「読むための書類」をスクリーンに映し出され、社長が立ち往生してしまうケースは後を絶ちません。
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「成長加速化補助金」は、売上高100億円を目指す野心的な企業にとって、非常に魅力的な支援制度です。しかし、この補助金には、他の一般的な補助金とは決定的に異なる、恐ろしい「ルール」が存在することをご存知でしょうか。
それは、「プレゼンテーション審査での追加資料提出は一切不可」という点です。
これは何を意味するか。
つまり「公募申請時に提出した『様式1(事業計画書)』、それだけを使って社長自身が説明しなければならない」ということです。
ここに、多くの企業がハマる最大の落とし穴があります。
「審査員が読む資料」と「社長が話す資料」のジレンマ
通常、補助金の申請書は「審査員に読んでもらう」ために作られます。論理的整合性を担保するために、細かい文字で、詳細なデータを詰め込みがちです。
しかし、二次審査(プレゼン)の現場を想像してみてください。スクリーンに映し出されたのは、10ptの文字がびっしり詰まったWordのようなスライド。審査員は手元の資料を読むのに必死で、登壇している社長の顔を見ません。
そして社長自身も、情報過多なスライドのどこを指して話せばいいのか迷い、ついにはスライドの棒読みになってしまう……。
これでは、この補助金審査で最も重要視される「経営者の熱意」や「ビジョン」は伝わりません。
勝負は「申請書の作成時」に決まっている
プレゼン審査の練習は、一次審査通過の通知が来てから始めるものではありません。申請書(様式1)を作り始めたその瞬間から始まっています。
真に採択を勝ち取るための申請書には、以下の「二面性」が同時に求められます。
- 【審査員用】 じっくり読めば、数字の根拠や論理が緻密に構成されていること。
- 【プレゼン用】 パッと見ただけで「戦略の全体像」が図解されており、社長がトークの背景として使いやすいこと。
文字だけの説明ではなく、「構造化された図解」や「一目でわかるスキーム図」を配置することは、単なるデザインの問題ではありません。
本番当日、緊張感漂う会場で、社長ご自身が「話しやすく」するための命綱となるのです。
優れた申請書は、社長の「カンペ」になる
優れた事業計画書(様式1)は、スライドのタイトルと図解を追っていくだけで、自然と「起承転結」のあるストーリーが語れるように設計されています。
- 現状の課題(Crisis)
- 市場の機会(Opportunity)
- 独自の解決策(Solution)
- 描く未来(Growth)
このストーリーラインが申請書のページ構成に組み込まれていれば、社長は細かな文字を追う必要はありません。図を指し示しながら、ご自身の言葉で熱く語ることに集中できます。
結論:書き始める前に「語れるか」を問う
「まずは詳しく書いて、審査に通ってからプレゼンのことは考えよう」
この思考は、この補助金に関しては捨ててください。
申請書を書き上げる際、常に問いかけてください。
「このページをスクリーンに映して、自分は審査員の前で堂々とプレゼンできるか?」
「読みやすさ」と「話しやすさ」を兼ね備えた資料作りこそが、成長加速化補助金採択への最短ルートであり、経営者の皆様が持つ「本気度」を証明する最強の武器となるのです。
新規事業の立ち上げや生産性向上に向けた設備投資、AI活用やDX導入、採用・賃上げをご検討中の経営者様にとって、補助金の活用は資金負担を抑えつつ、経営戦略を着実に前進させる有効な選択肢です。ただし、補助金申請には制度理解だけでなく、採択を見据えた事業計画や将来を見通した数値計画の整理が欠かせません。
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プラネット行政書士事務所
代表 中小企業診断士・行政書士・認定経営革新等支援機関
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1971年山口県下松市生まれ、千葉県市川市在住。25年間、IT業界の東証プライム上場企業を中心に法人営業や企画部門に従事し、大手製造業向けにIoTやDXの導入を推進。2022年3月に日鉄ソリューションズ株式会社を退社後、プラネット行政書士事務所を開業。中小企業のお客様へビジネス経験を活かした実現可能性の高い事業計画の策定や採用定着を支援。
(公財)千葉県産業振興センターで補助金受付業務(嘱託)や補助金事務局の審査経験がある補助金専門家として活動中。
