中小企業成長加速化補助金の申請準備を進めている経営者の皆様。
もしかして、こんな進め方をしていませんか?
- パソコンを開く。
- 指定されたPowerPointのフォーマットをダウンロードする。
- 1ページ目の「目次」を見て、「まずは企業概要から埋めていこうか…」と書き始める。
はっきり申し上げます。
そのやり方では、ほぼ間違いなく「不採択」になります。
なぜなら、指定された目次をなんとなく埋めただけでは、審査員が採点するポイント(審査項目)を網羅できないからです。
採択を勝ち取るための唯一の正解ルートは、「審査項目の問いに答える答えを用意してから、それをフォーマットに流し込む」ことです。
今回は、多くの経営者が陥る「書き方の罠」と、採択を勝ち取るための「審査項目別事例(金属加工業編)」を公開します。
本補助金は前回の採択率は16%の狭き門です。採択を勝ち取るには、中小企業成長加速化補助金の申請には、精緻な数値計画と100億円の売上実現可能性の高い裏付けのある事業計画が必要です。
補助金事務局で公募や交付の審査業務の経験があり、補助金申請に精通した専門家(中小企業診断士&行政書士)の支援が必要でしたら、当事務所の中小企業成長加速化補助金の申請サポートをご利用ください。
なぜ「目次通り」ではダメなのか?
補助金の審査は、学校のテストと同じです。
先生(審査員)は、「審査項目」という採点基準表を見ながら、「この項目については書かれているか? 内容は妥当か?」をチェックし、点数をつけていきます。
- 目次: あくまで「書く場所」の案内図。
- 審査項目: 「何を書けば点数になるか」の指示書。
目次だけを見て書くと、「御社の歴史」や「社長の想い」ばかりが長くなり、肝心の「市場ニーズの根拠」や「投資対効果の具体性」が抜け落ちてしまいます。これでは0点です。
正しい手順はこうだ!
- 公募要領の「審査内容(審査項目)」を熟読する。
- 各項目に対する「自社の答え(回答)」をメモ書きで作る。
- その答えを、PowerPointの適切な場所に配置する。
- それを土台として書き始める。
「自分なりの書き方」や「オリジナリティ」は不要です。求められているのは、審査員の問いに対する的確な答えだけです。
【保存版】審査項目別事例(金属加工業のケース)
では、具体的に「審査員の問い」に対し、どのようなレベルの「答え」を書けばよいのでしょうか?
ここでは分かりやすく、金属加工の製造業を例に、審査項目ごとの「書くべき内容(概略)」を分解しました。
これを参考に自社の事業に置き換えて考えてみてください。
① 経営力:ここが事業計画の心臓部
| 審査員の問い(審査項目) | ここを書けば点になる!(概略例) |
| 将来の売上高100億円(あるいは更なる成長)に向けた中長期的なビジョンや計画を有しているか。そのうえで、補助事業期間を含む今後5年程度について、経営者の明確なシナリオとともに事業戦略が論理的に構築され、その中で当該補助事業が効果的に組み込まれているか。事業戦略は、自社の成長余力、変化余力を最大限伸張し、従前よりも一段上となる成長を目指した企業の行動変容が示されたものとなっているか | 【長期ビジョンの提示】 「現在は内燃機関部品が主力だが、10年後には『EV・航空宇宙分野のティア1』として売上100億円を目指す。その第1フェーズとして本事業で5軸加工機を導入し、難削材加工を内製化する」 |
| 高い売上高成長率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、それを実現できる事業戦略(当該補助事業を含む)となっているか | 【野心的な数値計画】 「市場平均(数%)ではなく、年率10%以上の成長を描く。EV向け需要増を見込み、生産能力を3倍に増強。既存事業の減少分を補い、5年間で売上1.5倍を目指す」 |
| 高い付加価値増加率(補助事業期間を含む今後5年程度)が示されるとともに、当該補助事業や省力化等の取組により労働生産性の抜本的な向上が図られるなど、当該付加価値増加率を達成できる計画となっているか | 【儲かる仕組みと効率化】 「パレットチェンジャー付きマシニングと搬送ロボットを導入。夜間の無人稼働を実現し、従業員1人当たりの粗利(労働生産性)を年率◯%以上向上させる」 |
| 企業の収益規模に応じたリスクをとった投資となっているか(売上高における設備投資額(当該補助事業を含む)の比率が高い水準であるか) | 【本気度の証明】 「現在の売上高の30%に相当する〇億円を、社運を賭けて投資する。内部留保だけでなく借入も行い、退路を断って実行する」 |
| 投資により創出された利益を賃金として従業員へ還元する賃上げの計画が具体的かつ妥当であり、持続的なものとなっているか | 【従業員への還元】 「生産性向上で得た利益を原資に、給与総額を年率3%以上アップ。スキルアップしたオペレーターへの新・資格手当も導入する」 |
| 市場や顧客動向を始めとした外部環境、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析した上で、当面の事業戦略が論理的に構築され、補助事業が効果的に組み込まれているか | 【SWOT分析に基づく戦略】 なぜ「今」、なぜ「ウチ」がやるのか。 例: ●機会:半導体製造装置の需要急増 ●強み:ミクロン単位の超精密加工技術 ●弱み:旧型機による生産キャパ不足 →「需要を取りこぼさないよう、最新鋭機(本事業)を導入し、キャパ不足(弱み)を解消しつつ強みを活かす戦略」 |
| 本補助事業により提供される商品・サービスのユーザ、市場及びその規模が明確で、市場ニーズの有無の検証などがなされているか(先行投資の取組、事業化可能性調査、テストマーケティング等) | 【売れる根拠(エビデンス)】 「取引先A社より『次期モデル向けの試作依頼』を受領済み。特に『高硬度材の短納期加工』へのニーズが強く、本事業の設備なら対応可能と確認済み(内示あり)」 |
| 競合他社の製品・サービスを分析した上で、自社の優位性や特性が確保できる差別化された計画となっているか。 | 【ライバルとの明確な違い】 「競合は安価な汎用機での量産が主だが、当社は同時5軸加工と3次元測定による『全数保証』で差別化。価格競争ではなく『品質とトレーサビリティ』で勝負する」 |
| 適切な成果目標等が示され、その達成に向けて効率的に管理する体制が構築されているか | 【プロジェクト管理体制】 「製造部長をプロジェクトリーダーとし、毎月1回『成長戦略会議』を開催。稼働率や不良率、売上進捗をモニタリングし、遅れがあれば即座に社長直轄で対策を打つ体制とする」 |
| コンソーシアム形式の場合には、連携の意義・目的が明確であり、相乗効果が見込まれるか | 【目的:大型・複合案件のワンストップ受注獲得】 半導体製造装置向けの「大型真空チャンバー」の需要増に対し、単独では対応できない工程を相互補完し、海外競合に勝てる一貫生産体制を構築する。 【具体的な役割分担】 ● 幹事社(A社):大型切削担当 大型五面加工機の導入により、筐体等の大物精密加工を行う。 ● 連携社(B社):特殊溶接・検査担当 A社にはない「真空溶接技術」と「リークテスト(気密検査)」設備を持ち、接合・品質保証を担当する。 【相乗効果(シナジー)】 従来、顧客がA社・B社へ個別に発注・管理していた工程を統合。工場間の横持ち輸送コスト削減と、擦り合わせによる設計変更への即応体制を実現し、納期を従来比で30%短縮する。これにより、単独では参入不可能だった完成品ユニット市場へ進出する。 |
② 波及効果:自分たちだけ儲かればいいと思っていないか?
| 審査員の問い(審査項目) | ここを書けば点になる!(合格解答例) |
| 域内仕入の拡大や地域における価値創造などに資する事業であるか。例えば、川上の調達先・川下の販売先をはじめサプライチェーンを通じた波及効果がある事業か、ものづくりの高度化やイノベーションの創出など産業競争力を強化し新たな価値創造に資する事業であるか、地域資源の積極的な活用などを通じ地域の経済成長を力強く牽引する事業であるか等 | 【地域・業界への貢献】 「材料調達や熱処理は県内の協力工場(5社)へ発注するため、地域への発注額が年〇千万円増加。地域サプライチェーン全体の高度化に寄与する」 |
| 下請取引先等に対する適切な取引姿勢、自然災害や感染症、サプライチェーン寸断等に対するレジリエンス、知的財産の保護や重要技術の流出防止など経済安全保障の確保、女性活躍や仕事と子育ての両立などに配慮した職場環境整備など、地域のモデル企業としての取組を進めているか | 【優良企業としての基盤】 「パートナーシップ構築宣言を公表済み。BCP(事業継続計画)を策定し、自家発電装置を導入して災害時でもサプライチェーンを止めない」 |
③ 実現可能性:絵に描いた餅で終わらないか?
| 審査員の問い(審査項目) | ここを書けば点になる!(合格解答例) |
| 計画を実施可能な経営体制が構築されており、早期に投資が実行され、確実に効果が得られると見込まれるか。 | 【実行力】 「本事業に必要なNCプログラム担当者を既に2名採用済み。メーカーとの調整も完了しており、交付決定後すぐに発注・稼働できる」 |
| 補助事業を適切に遂行できる財務状況が十分に確保されているか(ローカルベンチマークによるスコアリング) | 【財務の健全性】 「直近3期は黒字決算を維持。自己資本比率は40%を超えており、ローカルベンチマークでも財務健全性は『Bランク』以上を維持している」 |
| 金融機関のコミットメントが得られているか(確認書を発行した金融機関が適切に与信管理を行い財務基盤の改善・強化を進めるとともに、将来性・事業性を適切に評価し、成長資金の供給や増加運転資金に対応していく姿勢があるか等) | 【銀行のお墨付き】 「メインバンクの〇〇銀行と事業計画を共有済み。本事業に必要な資金〇億円について融資内諾を得ており、確認書を発行済み。銀行側からも『成長性が高く、返済懸念なし』との評価を得ている」 |
まとめ:正解(採択)から逆算して書け
いかがでしたか?
「なんとなく目次を埋める」のと、「これらの問いに明確に答える」のとでは、出来上がる事業計画書の説得力が天と地ほど変わります。
- 上記の表をコピーして、自社の内容に書き換える(ネタ出し)。
- 書き換えた内容を、パワーポイントの該当箇所に配置する。
これが、採択への最短ルートです。
自分なりのこだわりは捨てて、「審査員が点数をつけやすい答案」を作ることに全力を注ぎましょう。
本補助金は前回の採択率は16%の狭き門です。採択を勝ち取るには、中小企業成長加速化補助金の申請には、精緻な数値計画と100億円の売上実現可能性の高い裏付けのある事業計画が必要です。
補助金事務局で公募や交付の審査業務の経験があり、補助金申請に精通した専門家(中小企業診断士&行政書士)の支援が必要でしたら、当事務所の中小企業成長加速化補助金の申請サポートをご利用ください。
