近年、大規模な地震や水害、そして感染症のパンデミックや、取引先を巻き込むサイバー攻撃など、企業の経営を脅かすリスクは後を絶ちません。明日は我が身かもしれません。もしもの事態が発生した時、あなたの会社は事業を継続し、大切な従業員や取引先を守ることができるでしょうか?

  • 「日々の業務で手一杯で、防災対策まで手が回らない…」
  • 「何から始めたらいいのか分からない…」

そんなお悩みを抱える中小零細企業の経営者様にご活用いただきたいのが、国が推進する「事業継続力強化計画」認定制度です。

この制度は、防災・減災対策を計画的に進める中小企業を国が認定し、様々な支援策で後押しするものです。計画を作成し認定を受けることで、会社が強くなるだけでなく、補助金の申請で有利になるなど、大きなメリットが期待できます。

「事業継続力強化計画」に取り組む3つの大きなメリット

メリット1:災害に強い、 しなやかな会社になる

この計画の最大の目的は、不測の事態でも倒れない、しなやかな経営体制を築くことです。手引きに沿って計画を策定するプロセスそのものが、自社の強みや弱みを洗い出す「会社の健康診断」になります。

  • リスクの可視化:ハザードマップなどを活用し、自社拠点の水害や地震のリスクを具体的に把握します。サイバー攻撃であれば、ランサムウェア被害などを想定します。
  • 守るべきものの明確化:計画策定を通して、「従業員とその家族の安全」「顧客への供給責任」「地域社会への貢献」といった、事業継続の目的が明確になります。
  • 具体的な対策の策定:「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つの観点で、具体的な事前対策や発生時の対応手順を検討します。
    • ヒト:従業員の安否確認方法の整備や、緊急時に出社できる人員のリストアップ。
    • モノ:設備の固定や浸水対策、停電に備えた自家発電設備の導入検討。
    • カネ:損害保険への加入や、緊急融資に関する金融機関との事前相談。
    • 情報:顧客データや設計図面などの重要データをクラウドにバックアップ。

これらの対策を事前に講じておくことで、有事の際の被害を最小限に食い止め、迅速な事業再開へと繋げることができます。

メリット2:補助金が採択されやすくなる!(加点措置)

「事業継続力強化計画」の認定を受けると、「ものづくり補助金」をはじめとする様々な国の補助金制度において、審査で加点されるという大きなメリットがあります。

補助金の採択は、事業の成長に欠かせない設備投資や販路開拓を実現するための重要な鍵です。多くの企業が申請する中で、この加点項目があるかどうかは採択を大きく左右します。防災対策が、結果的に国の支援を受けやすくすることに繋がるのです。

メリット3:税制優遇や金融支援が受けられる

認定を受けることで、補助金の加点以外にも以下のような支援策を活用できます。

  • 税制優遇:計画に基づき取得した自家発電設備や排水ポンプ、耐震装置などの特定の設備について、取得価額の20%の特別償却が適用されます 。
  • 金融支援:日本政策金融公庫の低利融資や、信用保証協会の保証枠の追加など、資金調達面で優遇措置を受けられます。

「計画作成は難しくない!」手厚いサポートを活用しよう

「計画書を作るのは大変そうだ」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。国(中小企業庁)が非常に丁寧な「策定の手引き」を公開しています。この手引きには、各項目の記載例が豊富に掲載されており、それに沿って自社の状況を当てはめていけば、計画を完成させることができます。

また、すでに自社でBCP(事業継続計画)を策定している場合は、その内容を活用して申請することも可能です。

さあ、未来のために今すぐ始めましょう!

事業継続への取り組みは、もはや特別な企業だけのものではありません。会社の未来、従業員の生活、そしてお客様からの信頼を守るために、すべての企業にとって不可欠な経営課題です。

この「事業継続力強化計画」認定制度は、その第一歩を踏み出す絶好の機会です。