中小零細企業の経営者の皆様、毎日、本当にお疲れ様です。資金繰り、人材育成、営業活動…365日、悩みが尽きることはありませんよね。
さて、突然ですが、一つ質問です。
かつて、小泉進次郎氏が初出馬した選挙戦での出来事をご存知でしょうか。
夏祭り会場で、ライバル候補が挨拶をしようと彼を追いかけてきました。しかし、小泉氏は「今は有権者の方との時間が最優先なので」と、ライバル候補に背を向けて、有権者の輪の中へ駆け込んでいったのです。
一見すれば、「礼儀知らず」「大人の対応ができていない」と批判されてもおかしくない行動です。しかし、このエピソード、私たち中小零細企業の経営者にとって、耳の痛い、そして非常に重要な教訓を含んでいるとは思いませんか?
あなたの時間は、本当に「会社の未来」のために使われていますか?
この小泉氏の行動を、私たちのビジネスに置き換えてみましょう。
- 有権者 = お客様、そして社員
- ライバル候補 = 同業者、経営者団体の仲間
- 選挙活動 = 日々の経営活動
こう置き換えると、彼の行動の本質が見えてきます。彼は、限られた時間という最も貴重な経営資源を、「自分の当落を決める、最も重要なステークホルダー」に全集中させたのです。
さて、社長。あなたのスケジュール帳を開いてみてください。
そこには、どんな予定が書き込まれているでしょうか。
経営者団体の会合、業界のゴルフコンペ、同業者との飲み会…。
もちろん、情報交換や人脈形成のために、これらが無意味だとは言いません。しかし、胸に手を当てて考えてみてください。その「付き合い」に費やした時間と情熱の何割が、本当に会社の売上や成長に繋がっているでしょうか。
その会合に出ている間、お客様からのクレームに気づけなかったかもしれません。
その飲み会で気炎を上げている間、社員は安い給料で、たった一人、黙々と残業していたかもしれません。
「社員のため、お客様のため」と口では言いながら、私たちの時間と意識が、会社の「外」ばかりに向いてはいないでしょうか。足元であるはずの顧客満足と従業員満足をおろそかにして、外での評価や見栄ばかりを気にしてはいないでしょうか。
会社の未来を決める「優先順位」
余裕のある大企業なら、それでもいいのかもしれません。しかし、中小零細企業にとって、社長の時間と会社のお金は、未来を左右するなけなしの資源です。
小泉氏の行動に賛否両論あるのは承知の上です。しかし、「何が本質で、何を最優先すべきか」という一点において、彼の判断は、経営者として見習うべきものがあるのではないでしょうか。
会社の外に「魔法の杖」はありません。答えは常に、現場に、お客様との会話に、そして社員の表情の中にあります。
今すぐ、自分自身に問いかけてほしいこと
もし、このコラムを読んで少しでもドキッとしたなら、ぜひ一度、立ち止まって自問してみてください。
- この1ヶ月、会社の売上に直接つながらない「付き合い」に、どれくらいの時間とお金を使いましたか?
- その時間とお金があれば、社員のモチベーションのために何ができましたか?(備品の新調、ランチ会、1円でも多くの賞与…)
- その時間とお金があれば、お客様の満足度のために何ができましたか?(感謝の手紙、アフターフォローの電話、ささやかなプレゼント…)
会社の未来は、社長が下す「優先順位」の積み重ねで決まります。
小泉氏が有権者のために汗を流して走り続けたように、私たち経営者も、もう一度、お客様と社員のために、泥臭く走り回るべきなのかもしれません。
さあ、社長。まずは来週の予定を一つ、お客様か社員のために使ってみませんか?
