- 「最近、売上がじりじりと下がってきた…」
- 「何か新しいことを始めなければと思うが、何から手をつければいいか分からない」
- 「日々の業務に追われ、会社の将来をじっくり考える時間がない」
中小零細企業の社長として会社を背負い、孤軍奮闘されているあなたは、今、このような悩みを抱えていらっしゃるかもしれません。
漠然とした不安を抱えたままでは、効果的な一手は打てません。流行りのWebマーケティングに手を出してみても、なぜか成果が出ない…という結果に陥りがちです。
そこで今回は、漠然とした悩みを具体的な「勝てる戦略」に変えるための、シンプルで強力な思考フレームワークをご紹介します。これは、私が実際にコンサルティングの現場で、お客様の思考を整理し、進むべき道筋を明確にするために使っている手法です。
6つの質問に答えていくだけで、思考の解像度が上がり、あなたの会社の”本当の強み”を活かした売上拡大の方向性が見えてきます。
※参考文献:久野 ⾼司 (著)「小さな会社の売れる仕組み」
なぜ、あなたの戦略は”ぼんやり”してしまうのか?
その原因は、自社のこと、そしてお客様のことを「なんとなく」でしか捉えられていないからです。
例えば、
- お客さまは誰ですか? → 「中小企業の社長かな…」
- 自社の強みは何ですか? → 「真面目で、経験豊富です!」
これでは、解像度が低すぎて、他社との違いが伝わるメッセージは作れません。
これからご紹介するフレームワークは、この”ぼんやり”とした霧を晴らし、思考をシャープにするためのものです。
思考の解像度を上げる「6段階思考フレームワーク」
やり方は簡単です。まず、以下の6つの質問について、思いつくままに「レベル1」の答えを書いてみてください。そして、少し時間を置いてから、より深く、より具体的に考えながら「レベル2」「レベル3」…と答えを具体化・明確化・洗練化していきます。
いきなり完璧な回答を求めるのではなく、何度も言葉を埋めていくイメージで、思考を5回繰り返すことで、曖昧だった答えが驚くほど具体的になっていきます。
今回は、私が提供しているサービス(経営伴走サポート)を例に、思考が深まっていく過程を見ていきましょう。以下の例で示したレベル1からレベル5まで、どのような段階で思考が深まっていくのか、途中経過も含めたフォーマットをスプレッドシートで公開しています。これ見ながらだと、理解しやすいと思いますので、ご利用ください。

また、お手元にダウンロードしたい場合は、開いた後、左上のメニューの「ファイル」から「ダウンロード」をクリックしてMicrosoft Excelの形式でダウンロードしてください。
ぜひ、フォーマットを編集して自社のケースで作成してみてください。
質問1:お客さまは誰ですか?
- レベル1(超曖昧): 中小企業の経営者
- レベル5(最終回答): 売上が減少し、何から手をつければ良いか分からず、孤独を感じている中小零細企業の経営者
【ポイント】
ただの属性(社長)だけでなく、その人が置かれている「状況(売上減少、何をすべきか不明)」や抱いている「感情(孤独)」まで具体的にすることで、ターゲット像が鮮明になります。
質問2:お客さまが解決したい悩みは?
- レベル1(超曖昧): 売上が減った
- レベル5(最終回答): 事業の将来に対する漠然とした不安を解消し、会社を安定成長の軌道に乗せたい
【ポイント】
「売上が減った」は表面的な事象(Problem)です。その奥にある、お客さまが心の底から望んでいること(Want)は何かを考えましょう。「不安をなくしたい」「安心して経営したい」という本質的な欲求に目を向けることが重要です。
質問3:そんなお客さまが求めているのは何屋さん?
- レベル1(超曖昧): 経営サポート屋さん
- レベル5(最終回答): 会社の未来を一緒に考え、具体的な打ち手を示し、実行まで隣で支えてくれる「経営のパートナー」屋さん
【ポイント】
あなたの会社の業種名ではなく、お客様の視点から見て「どんな価値を提供してくれる存在なのか」を言葉にします。
質問4:お客さまが悩みを解決するには、どんな選択肢がありますか?
- レベル1(超曖昧): コンサルとか
- レベル5(最終回答): 税理士や金融機関への相談、Webマーケティング会社への依頼、経営セミナーへの参加、書籍での独学
【ポイント】
同業他社だけが競合ではありません。お客様があなたのサービスを検討する際に、比較するであろう全ての選択肢(自分で学ぶ、他の専門家に頼るなど)を洗い出しましょう。
質問5:あなたの強みは何ですか?
- レベル1(超曖昧): 経験豊富、伴走支援
- レベル5(最終回答): 机上の空論ではない、大手企業の知見と中小企業の現場感の両方を理解した専門家が、経営全体を俯瞰した手堅い改善策を提案してくれる。Webマーケティングだけ、財務だけといった部分的な解決策ではなく、事業の根幹から改善できる。何より、孤独な経営者の隣で、実行まで一緒に汗を流してくれる。
【ポイント】
ここが最も重要です。単なる特徴(Feature)ではなく、それがお客様にとってどんな良いこと(Benefit)につながるのかを具体的に記述します。質問4で挙げた他の選択肢(競合)と比べて、なぜ自社が選ばれるべきなのか、その理由を明確にしましょう。
質問6:そんなあなたは、何屋さんですか?
- レベル1(超曖昧): 経営サポーター
- レベル5(最終回答): ITと経営の知見を活かし、社長の孤独な戦いに終止符を打つ、伴走型の経営改善パートナー
【ポイント】
これまでの全ての答えを統合し、あなたの会社の価値を一言で表す「肩書き」や「キャッチコピー」を作ります。質問3の答えを、質問5の強みを踏まえて、より力強く、魅力的な言葉に昇華させましょう。
さあ、あなたの会社で実践してみましょう!
いかがでしたでしょうか。6つの質問に答え、思考を深めるだけで、自社の進むべき方向性や、お客様に伝えるべきメッセージが明確になっていくのがお分かりいただけたかと思います。
最初はレベル1でも構いません。まずは書き出すことが第一歩です。そして、社員の方と対話したり、少し時間をおいて見直したりする中で、徐々にレベル5の答えに近づけていきましょう。
この思考のプロセスそのものが、あなたの会社の未来を切り拓く、力強い羅針盤となるはずです。
