中小企業の経営者の皆様、毎日お疲れ様です。
- 「日々の業務に追われて、長期的な視点で経営を考えられない」
- 「業績が思うように安定しない」
- 「社員に指示したことが、いつの間にか立ち消えになっている」
このような悩みを抱えていませんか?
その原因は、経営が「仕組み化」されていないことにあるかもしれません。今回は、会社の成長を確実なものにするための「経営のPDCAサイクル」の仕組み化について、その重要性と具体的な方法をご紹介します。
なぜ「経営の仕組み化」が重要なのか?
行き当たりばったりの経営では、業績は安定しません。たまたま運が良かったり、外部環境に助けられたりして一時的に結果が出たとしても、それは再現性のない「ラッキーパンチ」に過ぎません。
本当に重要なのは、結果に至った「プロセス」を改善し続けることです。プロセスを改善することで、組織としての業務の質が向上し、狙い通りに安定した結果を出せる強い体質へと変わっていきます。そのための強力なツールが「経営のPDCA」なのです。
すぐに始められる!経営PDCAの具体的な仕組み
経営のPDCAを回すための仕組みは、決して複雑なものではありません。「期末」と「毎月」のサイクルを意識することから始めましょう。
【期末】 来期の成功を描く計画 (Plan)
期末には、次年度の事業計画を策定します 。ここで重要なのは、単なる売上目標だけを立てるのではないことです。
- 年間・月別の詳細な計画策定
- 年間の戦略的な方針
- 戦略を実行するための具体的なアクションプラン(戦術)
ここまで落とし込むことで、新年度が始まった瞬間から、全社で迷いなくスタートを切ることができます。
【毎月】 軌道修正と改善を繰り返す (Do, Check, Action)
毎月のサイクルで、計画が正しく進んでいるかを確認し、改善行動につなげます。このサイクルの中心となるのが「月次経営会議」です。
- 予実管理 (Check)
- 毎月の実績と、計画や前年同月の数値を比較します。
- 会社全体の数字だけでなく、事業別・商品別・顧客別といった様々な「切り口」で売上や利益を分析し、現状を正確に把握します。
- 現場の振り返りと課題設定 (Check)
- 「なぜ、この数字になったのか?」を深掘りします。
- 社長からの全体報告だけでなく、各部門長から現場の具体的な状況(問題点、顧客からの要望など)を報告してもらいます。
- 数字(定量)と現場の声(定性)の両面から、本当に取り組むべき「課題」を設定します。
- 解決策の決定と実行 (Action → Do)
- 設定した課題に対し、具体的な解決策を議論し決定します。
- 「誰が」「いつまでに」やるのかというToDoを明確にし、必ず議事録に残します。
- 決定したToDoは、今日からすぐに実行に移します。
- 「言いっぱなし」にしない徹底した確認
- 翌月の経営会議の冒頭で、前月に決めたToDoの結果がどうだったかを必ず発表させます。
- この仕組みが、「やると決めたことは、必ずやり切る」という文化を組織に根付かせます。
陥りがちな「数値管理」のワナ
ここで一つ注意点があります。それは、数値管理への過度な依存です。
- 数値に慣れていない現場社員に、いきなり厳しい数値目標を課すと、混乱し、かえってモチベーションを下げてしまう場合があります。
- 忘れてはならないのは、数値はあくまで「結果」であり、その背景にある「プロセス」を議論するための「切り口」に過ぎないということです。
結果だけを追いかけても、業績は安定しません。経営会議では、数字の達成・未達成を責めるのではなく、「なぜその結果になったのか」というプロセスを「定性分析」で深く議論することが、組織全体の業務の質を高め、長期的な業績向上につながるのです。
まとめ
経営のPDCAを仕組み化することは、社長一人が頑張る経営から脱却し、組織全体で課題を発見し、解決していく「自律的な組織」へと成長するための第一歩です。
ご紹介した月次経営会議のサイクルを徹底的に回すことで、業務プロセスは着実に改善され、業績は安定的に向上していくでしょう。
まずは、次回の経営会議から、この仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか。会社の未来は、この小さな一歩から大きく変わるはずです。
