採用で「いい人が欲しい」は危険信号です。その曖昧な言葉がミスマッチの原因に。求める人物像を具体化し、採用を成功させましょう。

「いい人」を求めていませんか?


「コミュニケーション力がある」「主体的に動ける」「協調性がある」 。

多くの企業が求人票で何気なく使っているこれらの言葉。実は、これこそが採用のミスマッチを引き起こす「落とし穴」なのです 。

なぜなら、これらの表現は非常に曖昧で、人によって解釈が大きく異なるからです 。

言葉の「ズレ」がミスマッチを生む


例えば、あなたが求める「コミュニケーション力」とは何でしょうか?

  • 相手の話をじっくり聞けることですか?
  • それとも、場を明るく盛り上げられることですか?
  • 論理的に分かりやすく説明できることでしょうか?

このように、一つの言葉でも人によって思い浮かべる人物像はバラバラです。
会社が本当に求めている「仕事に必要な能力」と、応募者がアピールする能力の間にズレが生じ、結果として「期待していた人材と違った」という事態を招いてしまうのです。

【解決策1】「ふわっと言葉」を「具体的な行動」に変換する


ミスマッチを防ぐ第一歩は、抽象的な言葉を「どんな場面で、どのような行動ができるか」という具体的なレベルに分解することです 。

変換例:コミュニケーション力がある

NG:「社内外との調整ができる方」

OK:「お客様の要望を正確にヒアリングし、必要に応じて提案・報告ができる方」

変換例:主体的に動ける

NG:「自ら考えて動ける方」

OK:「業務の手順が整っていなくても、上司と相談しながら進められる方」

このように具体的に示すことで、企業が本当に求めている人物像が応募者に正確に伝わります。

【解決策2】「任せたい仕事」から逆算して考える


「求める条件を具体化すると、応募が来なくなるのでは?」と心配になるかもしれません 。

しかし、それは「求めすぎ」が原因であることがほとんどです。完璧なスーパーマンを追いかけるのはやめましょう 。

大切なのは、理想ではなく「今、具体的に任せたい仕事」から逆算して、本当に必要な要件を整理することです 。

リアルな要件整理のステップ


任せたい仕事は何か?

例:「お問い合わせメールへの返信対応(1日10件程度)」

最低限必要なスキルは?

例:「メールの定型フォーマットを使い、丁寧に返信できる」

あれば嬉しいスキルは?(プラス評価)

例:「チャットツール(Slackなど)の利用経験」

入社後の教育体制は?

例:「マニュアル完備。業務はOJTで1ヶ月指導予定」

特に、入社後の教育体制を明記することは重要です 。サポート体制を示すことで、応募者は安心して一歩を踏み出すことができます 。

まとめ:採用で失敗しないための3つの原則


これからの採用活動で、ぜひ意識していただきたい3つの原則です 。

  1. ふわっと表現は禁物。 「能力」ではなく「具体的な行動・場面」で語りましょう 。
  2. 「任せたい仕事」から逆算する。 今の現場で必要な力を具体的に書き出しましょう 。
  3. ハイスペックを求めすぎない。 現場で本当に必要な「等身大の要件」を大切にしましょう 。

この3つを実践するだけで、貴社にマッチした人材と出会える確率は格段に高まるはずです。