- 1. 新卒初任給の引き上げ、3年連続で実施の企業も3割超
- 1.1. 学卒生の初任給の平均額
- 1.2. 初任給の引き上げを行うと回答した企業
- 1.3. 初任給引き上げの理由とは?
- 2. 初任給を上げても採用が強くならない企業の共通点
- 2.1. 求職者が比較しているのは給与“だけではない”
- 2.2. メッセージが弱い企業は埋もれやすい
- 3. 企業が競争に勝つためには
- 3.1. 給与 × 仕事の意味 × 成長の見え方
- 4. 「背伸びの賃上げ」が招く企業が失いやすいものとは?
- 4.1. 賃上げのデメリット
- 5. 福利厚生という「もう一つの賃上げ」の選択肢
- 6. 「給与以外」で企業が勝つ力とは?
- 6.1. 賃上げ出来ない企業が勝つ鍵 = この会社に入る意味 + どんな未来に繋がるか
- 7. 未来が見える企業の2つの提示ポイント
- 7.1. ① 入社後の“成長が見える”企業は比較対象に残る
- 7.2. ② 仕事の意味と人の近さが“働く理由”をつくる
- 8. まとめ 初任給が上がる時代に、どう戦うか
新卒初任給の引き上げ、3年連続で実施の企業も3割超

企業の人材確保競争は前年度(84.4%)からさらに増加しました。 また、3年連続で引き上げている企業は31%に達し、上場企業では40.6%が継続的な引き上げを実施しています。 新卒採用市場では、給与水準による差が一段と明確になってきています。
学卒生の初任給の平均額

学卒生の初任給(支給額)の平均額は、2026年卒全体で 225,786円となり、2025年卒と比較すると 8,999円の増加が見られました。 上場企業では 14,256円、非上場企業でも 8,793円の増加となり、企業規模を問わず初任給引き上げの動きが進んでいます。
この変化は、初任給が企業の採用力を左右する時代に入ったことを示しています。物価高や人材獲得競争の影響で、前年と同水準では学生の比較対象に残りにくくなっています。したがって、初任給の動向は経営判断と直結しており、待遇や戦略の見直しが求められる段階に入っています。
初任給の引き上げを行うと回答した企業

給与の引き上げについては、初任給を上げる予定の企業が54.1%となり、前年から6.9%増加しました。 内訳では「すでに引き上げており、さらに上げる予定」が44.2%に達し、上場・非上場ともにほぼ同水準となっています。
初任給引き上げの理由とは?

- 求職者へのアピール 57.1%
- 他社の引き上げに対応 51.2%
- 既存社員のモチベ向上 46.0%
→初任給は採用競争の基準値に
初任給を上げても採用が強くならない企業の共通点
初任給を引き上げても、必ずしも採用力が高まるわけではありません。実際、パーソル総合研究所の調査では、「給与を上げても応募が増えなかった」企業が約4社に1社存在します。
求職者が比較しているのは給与“だけではない”
マイナビの2025卒調査では、初任給が自分の希望に満たない場合でも魅力的に感じる企業の特徴として「休暇制度」(60.4%) で、給与は上位でありながら「決定打」ではないことが分かっています。

メッセージが弱い企業は埋もれやすい
リクルートの調査では、 仕事内容の明確さ・期待値共有が不十分な企業ほど辞退率が高い傾向が確認されています。
つまり、賃上げそのものより大切なのは、 “どんな価値を提供できる会社なのかを語れるかどうか”が大切です。
採用市場で売り手優位が続く今、 給与強化だけに依存する採用戦略は限界を迎えつつあります。
企業が競争に勝つためには
給与 × 仕事の意味 × 成長の見え方
これら3要素が揃って初めて、一貫して伝わることで、求職者は働く未来を具体的に思い描けるようになります。
結果として、「この会社を選ぶ理由」が明確になり、採用の歩留まりも安定していきます。
賃上げ時代の今こそ、企業は“総合力としての採用力”を再設計することが求められています。
「背伸びの賃上げ」が招く企業が失いやすいものとは?
初任給を引き上げることは採用力の強化に一部つながりますが、無理な賃上げは企業にとって“逆効果”になり得ることがあります。賃上げは一時的な対処ではなく、既存社員の待遇バランスや給与源資の持続性など、組織全体に影響を及ぼす重要な経営判断だからです。
賃上げのデメリット
- 既存社員との“逆転現象”が起き、不公平感が増幅する
- 人件費による経営圧迫

マイナビの調査でも、初任給の引き上げにより企業収益を圧迫している21.6%、これ以上の引き上げが難しい15.0%という結果も出ています。 一部の企業では、初任給アップが負担となる “引き上げ疲れ” が生じ始めている実態がうかがえます。
福利厚生という「もう一つの賃上げ」の選択肢
物価上昇で継続的な賃上げが求められる一方、初任給の引き上げだけでは限界を迎える企業も出ています。 そこで近年注目されているのが,福利厚生の拡充による実質的な手取り改善 です。 従業員旅行やレクリエーションではなく、住宅手当・社宅・食事補助・在宅勤務手当 など、生活に直結する支援制度が効果的とされています。 大幅な給与改定が難しい企業にとって、「生活コストを下げるサポート」こそ、持続的で現実的な採用力向上策 といえます。
大幅な給与改定が難しい企業にとって、「生活コストを下げるサポート」こそ、持続的で現実的な採用力向上策 といえます。
「給与以外」で企業が勝つ力とは?
初任給が年々上昇していても、すべての企業が同じように賃上げできるわけではありません。 財源や事業構造の違いから、給与競争だけで勝負することには限界があるからです。 それでも選ばれている企業には共通点があります。それは 「給与以外の価値をどれだけ誠実に提示できているか」 です。
賃上げ出来ない企業が勝つ鍵 = この会社に入る意味 + どんな未来に繋がるか
つまり、賃上げできない企業が勝つ鍵は、給与以外の価値をどれだけ明確に伝えられるかにあります。

一次選考後の辞退率は 41.8%でした。 その理由として最も多かったのは 「働くイメージが持てなかった」(45.6%) で、 選考が進むほど「どんな未来に繋がるのか」が企業判断の核心になることが分かります。
未来が見える企業の2つの提示ポイント
① 入社後の“成長が見える”企業は比較対象に残る
入社後3ヶ月で「何ができるようになるのか」が具体的に語られている企業は、応募者が自分の未来を描きやすく、選択肢として残りやすいです。
② 仕事の意味と人の近さが“働く理由”をつくる
任せる仕事の意味を説明でき、さらに日常的に相談しやすい雰囲気を伝えられる企業は、応募者が「働くイメージ」を持ちやすくなります。
まとめ 初任給が上がる時代に、どう戦うか
近年採用市場は、大きく変化しています。 初任給の上昇は進んでいますが、賃上げだけで採用力が決まる時代ではありません。企業間の差が広がっているのは「待遇以外の価値をどう提示できるか」という点です
したがって、企業がこれから本当に取り組むべきは、給与以外の誠実な価値提示をどう言語化し、どう伝えるか という点です。
・初任給を上げても、応募数が想定ほど増えない
・職者が働く姿をイメージできず、選考途中の辞退が続く
・賃上げの原資が確保できず、既存社員との不公平感が生まれる
こうした課題に直面する企業も少なくありません。
2026年最も難しいのは、これらを 自社の文化に合わせて設計し、運用し続けること です。多くの企業がつまずく理由は、この部分を一緒に構築するパートナーがいないためです。
このような課題を抱える企業に向けて採用から育成までを一気通貫で支援します。採用は組織の未来を決める大きな経営判断です。初任給の設計を見直したい、採用戦略を再構築したいとお考えなら是非一度、ご相談下さい。
_逆.jpg)
プラネット行政書士事務所
代表 中小企業診断士・行政書士・認定経営革新等支援機関
Xアカウント
1971年山口県下松市生まれ、千葉県市川市在住。25年間、IT業界の東証プライム上場企業を中心に法人営業や企画部門に従事し、大手製造業向けにIoTやDXの導入を推進。2022年3月に日鉄ソリューションズ株式会社を退社後、プラネット行政書士事務所を開業。中小企業のお客様へビジネス経験を活かした実現可能性の高い事業計画の策定や採用定着を支援。
(公財)千葉県産業振興センターで補助金受付業務(嘱託)や補助金事務局の審査経験がある補助金専門家として活動中。
