建物費に続き、補助金の「主役」とも言える機械装置費についても、非常に重要な注意事項があります。

特に「PC・タブレットの扱い」や「100万円の基準」、「ソフトウェアの計上区分」は、多くの経営者が直面する悩みどころであり、判断を誤ると大幅な減額や、最悪の場合は対象外となるリスクがあります。

せっかくの投資計画を無駄にしないよう、機械装置費における「3つの鉄則」をまとめました。


「最新の生産ラインを導入したい」

「自動化ロボットで人手不足を解消したい」

中小企業成長加速化補助金において、最も活用頻度が高いのが「機械装置費」です。

しかし、機械なら何でもOKというわけではありません。「これくらい大丈夫だろう」という軽い判断が、後で取り返しのつかない事態を招くことがあります。

今回は、機械装置・備品を購入する際に、審査で「NG」を食らわないための3つの重要ポイントを解説します。

1. 「汎用性」の壁。PCやタブレットは原則NG!

公募要領には、補助対象外の例として以下のように書かれています。

汎用性があり、目的外使用になり得るものの購入費

(例)事務用のパソコン・プリンタ・タブレット端末・スマートフォン・家具・3Dプリンタ 等

「補助事業でしか使いません!」と口頭で宣言するだけでは認められません。なぜなら、そのPCでYouTubeを見たり、他の業務のメールを打ったりすることが「物理的に可能」だからです。

どうしてもPCやタブレットが必要な場合は?

システムの一部としてPCやタブレットが含まれる場合は、以下の条件を満たす必要があります。

  • 機能制限(キオスクモード等): 専用アプリ以外は起動できないようシステム的にロックする。
  • 物理的な固定: 装置に据え付け(ボルト止め等)を行い、持ち運びができないようにする。

単なる「付属品」として購入するのではなく、「そのシステム専用の操作盤(コンソール)」として、汎用性を排除した状態で導入する工夫が必要です。

2. 「単価100万円」の壁は、オプションとの合算で超えろ!

この補助金の機械装置は、原則として「単価100万円(税抜)以上」のものに限られます。

「欲しい機械が80万円だから対象外か…」と諦めるのはまだ早いです。

【ここが攻略ポイント】

本体単体では100万円未満でも、「一体として使用するオプション品」を含めて1セットとし、資産計上することで100万円を超えれば対象になります。

  • 専用の架台
  • 予備パーツや特殊アタッチメント
  • 追加のセンサー類

これらをバラバラに購入するのではなく、「本体とセットの見積もり」として取得し、固定資産台帳にも「一式の装置」として登録することで、要件をクリアできる可能性があります。必要なオプションは漏れなく追加しましょう。

3. 「機械」と「ソフト・研修費」の境界線を見極めろ!

ここが最も複雑で、かつ重要なポイントです。

対象となるのは、固定資産台帳の費目が以下のいずれかになるものに限られます。

  • 「機械及び装置」
  • 「器具及び備品」
  • 「工具」

⚠️ 見積もりに混ざっていませんか?

業者からの見積書に、以下の費用が含まれているとNG(対象外)になります。

  • 車両・運搬具: フォークリフトや営業車など(ナンバーが付くものは特にNG)。
  • 研修費・トレーニング費: 操作指導などの「役務」は機械代ではありません。
  • 独立したソフトウェア: 通常は「ソフトウェア費」という別の枠になります。

【上級テクニック】ソフトウェアを機械装置費に入れる?

通常、ソフトウェアはソフトウェア費として計上しますが、「その機械と一体で利用するソフトウェア(CAD/CAM等)」であり、機械本体と切り離して考えることが不自然な場合は、機械本体と一体で「機械装置」として資産計上するケースがあります。

この場合、そのソフトウェア代も含めて「機械装置費」として申請できる可能性があります。

逆に、ここを間違えると「費目不一致」で指摘を受けます。

「このソフトは機械の一部(ハードウェア)として計上するのか、無形固定資産(ソフトウェア)として計上するのか」

この判断は、申請前に必ず顧問税理士さんと相談して方針を決定してください。税務上の処理と補助金の申請内容が一致している必要があります。

まとめ:見積もりの「精査」が採択への第一歩

機械装置費の申請で失敗しないためには、以下の手順を踏んでください。

  1. 汎用PC・タブレットは除外するか、専用機化(ロック・固定)する。
  2. 100万円未満の機械は、必須オプションをセットにして100万円以上にする。
  3. 見積もりから「研修費」や「対象外資産(車両等)」を排除する。
  4. ソフトの資産計上区分を税理士と確認する。

「高い機械を買う」からこそ、細かいルールで足元をすくわれないよう、事前のチェックを徹底しましょう。


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