- 「会社の新しい収益の柱が欲しい…」
- 「このまま今の事業だけでは、5年後、10年後が不安だ…」
社長であるあなたは、日夜こうお考えのことでしょう。しかし、いざ新規事業を検討しようとすると、「資金がない」「人材がいない」「失敗したら会社が傾いてしまう」という壁が立ちはだかり、結局、最初の一歩が踏み出せずにいませんか?
もしそうなら、ぜひ北海道でカプセルトイ(ガチャガチャ)専門店「#C-pla(シープラ)」を全国200店舗以上にまで拡大させた株式会社トーシンの物語を知っていただきたいのです。
「ダメなら軌道修正すればいい」- カンブリア宮殿で語られた力強い言葉
先日、テレビ番組『カンブリア宮殿』で、トーシンの宮本社長はこう語りました。
「チャレンジすることの重要性、ダメなら軌道修正してやっていけばいい」
この言葉に、多くの経営者が勇気をもらったことでしょう。しかし同時に、こうも思ったはずです。
「それは体力のある会社だから言えることだ。うちのような零細企業が失敗したら、軌道修正なんてできない…」と。
確かに、トーシンは今でこそ大成功を収めていますが、2018年に1号店を出したときは、先行する大手ライバルもいる中での挑戦でした。一見、無謀とも思えるこのチャレンジを、なぜ宮本社長は決断できたのでしょうか?
その背景を紐解くと、単なる精神論ではない、私たち中小零細企業が今すぐ真似できる、計算され尽くした「失敗しにくい挑戦」の極意が隠されていました。(私の想像ですが)
トーシンの挑戦は「大博打」ではなかった!3つの経営ヒント
宮本社長の決断の裏には、3つの明確な戦略がありました。これは、あなたの会社が新しい一歩を踏み出すための、最高の羅針盤となるはずです。
ヒント1:全くの「ゼロ」から始めるな!自社の“隣の畑”を狙え
トーシンは、カプセルトイ専門店事業を始める前、カプセルトイの卸売業を本業としていました。これが最大のポイントです。
彼らは、全く未知の分野に飛び込んだのではありません。
- 場所のノウハウ: カプセルトイの設置で培った商業施設とのコネクション
- 商品のノウハウ: カプセルトイの取扱で培ったメーカーとの繋がりと流通網
- 顧客理解のノウハウ: お客様を楽しませる商品開発や売れ筋を見極めるなかで培った顧客理解力
このように、自社がすでに持っている強み(技術・顧客・販路・ノウハウ)を最大限に活かせる「隣接領域」で勝負を仕掛けたのです。
社長、あなたの会社にも必ず「当たり前にやっていること」があるはずです。長年培ってきた技術、地域のお客様との信頼関係、特殊な商品を扱うノウハウ…。その「当たり前」こそが、新しい事業を始めるための最強の武器になります。まずは、その武器が活かせる“隣の畑”はどこか、探すことから始めてみませんか?
ヒント2:「やめられる計画」こそが、挑戦の第一歩
カプセルトイ事業は、一見すると大規模な投資に見えます。しかし、その中身は「軌道修正」が非常にしやすいビジネスモデルでした。
- 商品は入れ替えられる: 売れない商品は、別の人気商品と入れ替えればいい。
- 資産は転用できる: 店舗がうまくいかなくても、ガチャガチャのマシンは別の場所に移設できます。
これは、私たち中小企業にとって非常に重要な示唆を与えてくれます。新規事業を考えるとき、「どう始めるか」と同時に「どうやめるか(損切りするか)」を計画しておくのです。
「この金額まで投資して反応がなければ撤退する」「この設備は、もしダメでも〇〇に転用できる」といった「やめられる計画」を立てておくことで、失敗への恐怖は劇的に下がります。大きな工場を建てるのではなく、まずは小さなテスト販売から。これこそが、賢い挑戦者のやり方です。
ヒント3:事業を「実証実験」と捉えよ
宮本社長にとって、1号店の出店は「会社の存亡をかけた大博打」ではなく、「カプセルトイ専門店は市場に受け入れられるか?」を確かめるための壮大な実証実験でした。
実験で良いデータが取れたからこそ、アクセルを踏んで一気に拡大できた。もしデータが悪ければ、すぐに修正するか、あるいは撤退するという選択肢も持っていたはずです。
そして試行錯誤の結果、「エンターテインメント性あふれる体験型専門店」という独自のポジションを築き上げてきたのです。
あなたの会社も、次の事業の柱のタネを「実証実験」と捉えて、小さな規模で試してみてはいかがでしょうか。失敗は「損失」ではなく、次の成功のための貴重な「データ」です。そう考えれば、チャレンジへの心理的なハードルはぐっと下がるはずです。
まとめ:社長、あなたの会社の武器は何ですか?
トーシンの成功物語は、決して遠い世界の特別な話ではありません。
宮本社長の「ダメなら軌道修正すればいい」という言葉は、無計画な突撃を勧めるものではありません。それは、自社の足元(強み)を深く理解し、知恵を絞ってリスクを管理し、市場の変化を捉える勇気を持つ経営者への、力強いエールなのです。
さあ、社長。
まずはあなたの会社の棚卸しから始めてみましょう。
そして、その武器を手に、小さな「実証実験」という名の一歩を踏み出してみませんか?その一歩が、5年後、10年後の会社を支える大きな柱になるかもしれません。
