- 「また有望な若手が辞めてしまった…」
- 「高い広告費をかけても、さっぱり応募が来ない…」
社長、こんなお悩みはありませんか? 人手不足が叫ばれる昨今、採用の悩みは尽きないことでしょう。「景気が悪いから」「今の若者は根性がないから」と、原因を外に探したくなるお気持ち、痛いほど分かります。
しかし、もし根本的な原因が、会社の”内側”にあるとしたら…?
本日は、多くの社長が見過ごしがちな「採用の本質」について、少し耳の痛い、しかし非常に重要なお話をさせていただきます。
最強の採用手法は「社員紹介」です。それが”ゼロ”なら…
突然ですが、社長。御社には「社員紹介」での採用実績が、この1年で何件ありましたか?
求人サイトやハローワークへの出稿、人材紹介会社への依頼…。採用には様々な手法がありますが、実は最もコストが低く、最もミスマッチが少なく、最も定着率が高い「最強の採用手法」は、今いる社員からの紹介(リファラル採用)です。
なぜなら、紹介する社員は会社の良い点も悪い点もすべて理解した上で、「この会社なら、あの友人ものびのび働けるはずだ」という確信を持って声をかけてくれるからです。これほど精度の高いマッチングはありません。
では、もし御社でこの社員紹介が”ゼロ”だとしたら…?
それは、単に「そういう文化がないから」ではありません。
もっと深刻な、「社員が、自分の大切な友人を、自信を持ってこの会社に誘えない」という、組織からの悲鳴にも似た危険信号なのです。
「穴の空いたバケ-ツ」になっていませんか?
「紹介がないなら、お金をかけて採用すればいい」
そう考えるのは、非常に危険な”自転車操業”への入り口です。
想像してみてください。
御社の組織が、一つの「バケツ」だとします。中にいる社員が「水」です。
もし、社員の満足度が低く、不満が渦巻いている状態だとしたら、そのバケツには「穴」が空いています。
その状態で、社長が多額の広告費という「新しい水」を必死に注ぎ込んでも、どうなるでしょうか?
そうです。新しく入ってきた水(新人)は、すぐに穴から漏れ出てしまいます(早期離職)。そして、バケツに残った水(既存社員)には、抜けた人の分の負荷がかかり、不満はさらに募り、バケツの穴はますます大きくなっていくのです。
この負のスパイラルこそが、採用がうまくいかない企業の共通点です。水を注ぐこと(採用活動)に躍起になる前に、やるべきことはただ一つ。バケツの穴を塞ぐことです。
急がば回れ。採用の前に「足元」を固める勇気
では、どうすればバケツの穴は塞がるのでしょうか?
それは、採用活動を一度横に置いてでも、自社の「足元」を徹底的に見直すことです。
1. まずは「自社の健康診断」から
社長の耳には、社員の”本音”が届いていますか? 退職者が最後に本当の理由を語ってくれましたか? まずは現状把握です。社員と1対1でじっくり話す時間を作り、本音を引き出す努力をしてください。「会社を良くしたいから、不満でも何でも教えてほしい」と真摯に伝えれば、必ず応えてくれる社員はいるはずです。
2. 「給料」だけが理由ではない
もちろん待遇は重要です。しかし、社員が辞める理由、満足度が下がる理由はそれだけではありません。
- 自分の仕事が正当に評価されているか?
- この会社で成長できる実感はあるか?
- 職場の人間関係は良好か?
- そして何より、社長が示すビジョンに共感できているか?
こうした「働きがい」の部分にこそ、穴を塞ぐヒントが隠されています。
3. 社長自身が「ありがとう」を伝える
すぐにできる最も効果的な一歩は、社長自身が社員一人ひとりの頑張りを認め、具体的に褒め、感謝を伝えることです。「いつもありがとう」「君のおかげで助かったよ」。その一言が、社員の心に火を灯し、会社への信頼を育みます。
社員が会社の”ファン”になる時、採用問題は終わる
社員満足度が高まり、職場に活気が生まれ、「この会社が好きだ」と心から思える社員が増えた時、何が起こるか。
社長が何も言わなくても、社員が自社の”広報担当”となり、”採用担当”となります。
- 「うちの会社、社長は厳しいけど面白いよ。一緒に働かない?」
- 「今、人を探してるんだけど、良い人いないかな?」
こんな会話が、社内のあちこちで自然と生まれるようになります。
そうなればもう、採用に悩む日々は終わりです。お金をかけずとも、会社の理念に共感した優秀な人材が、自然と集まり続ける「最強の組織」が完成します。
さあ社長、求人サイトを開くその手を一旦止めて、まずは隣で働く社員の顔を見て、じっくり話すことから始めてみませんか? それこそが、採用成功への最も確実で、最も力強い一歩なのです。
