社長、こんなお悩みはありませんか?
- 「採用したばかりの頃は、あんなにやる気に満ち溢れていたのに…」
- 「最近、どうも部下に覇気がない。指示待ちになっている気がする」
- 「良かれと思って仕事を任せているのに、なぜか成長しないし、辞めてしまう…」
人手不足が深刻な今、社員一人ひとりの力は会社の生命線です。特に、中小零細企業にとって、社員の定着と成長は最重要課題と言えるでしょう。
入社時の輝きを失わせず、社員が自ら意欲的に仕事に取り組んでくれるには、どうすればいいのか。そのカギは、社長であるあなたの「マネジメント」にあります。
今回は、社員の意欲を継続させ、成長を促すための具体的なマネジメント方法を、2つのステップに分けて徹底解説します。
ステップ1:やる気の源泉!「絶妙な目標設定」の技術
部下のやる気を引き出す基本は「目標」を与えることです。しかし、ただ目標を与えれば良いわけではありません。ポイントは、その「難易度」にあります。
× やってはいけない目標設定
- 簡単すぎる目標: すぐに達成できる目標は、成長につながりません。むしろ「この程度でいいのか」という慢心を生み、向上心を奪ってしまいます。
- 難しすぎる目標: 「どうせ無理だ」と最初から諦めてしまうような高すぎる目標は、挑戦する気力さえも削いでしまいます。
◎ 目指すべきは「できるか、できないか」の絶妙なライン
部下が「少し頑張れば手が届きそうだ」「挑戦しがいがある!」と感じるような、絶妙な難易度の目標こそが、成長と意欲の起爆剤となるのです。
では、その「絶妙な目標」をどう設定すれば良いのでしょうか?
1. 「全員一律」はNG!部下一人ひとりに合わせた「オーダーメイド目標」を
「新人だから、まずはこの仕事から」「営業たるもの、新規獲得〇件は当たり前」といった画一的な目標設定は、今すぐやめましょう。人の能力、経験、そして性格は千差万別です。
- 能力の高い社員には、よりストレッチした目標を。
- 経験の浅い社員には、具体的な数値目標だけでなく「〇〇のスキルを習得する」「業務フローの改善案を1つ提案する」といった「行動目標」を設定するのも有効です。
大切なのは、社長が部下一人ひとりをしっかりと見て、その人に合った目標を個別にカスタマイズすることです。
2. 「与えっぱなし」は厳禁!目標は「生き物」と心得る
目標を設定したら、それで終わりではありません。むしろ、そこからが社長の腕の見せ所です。
部下の様子を注意深く観察し、定期的(例えば1ヶ月に1度など)に目標の進捗を確認し、必要に応じて見直すことが不可欠です。
- 「目標、高すぎたかな?少しハードルを下げて、達成感を味わわせてあげよう」
- 「思ったより順調だな。個人の目標に加えて、チームで挑戦する目標も設定してみようか」
このように、部下の状況に合わせて柔軟に目標を調整していく。この丁寧な関わりこそが、部下の安心感と意欲につながるのです。
ステップ2:「任せる」と「放置」は大違い!社長の正しい「関わり方」
- 「部下の自主性を育てるために、口出しせずに任せているんだ」
- 「何か困ったことがあれば、向こうから言ってくるだろう」
一見、聞こえは良いですが、これは「マネジメント」ではなく、単なる「放置」です。部下は、社長が思うほど自分の状況を正確に伝えてはくれません。簡単すぎて手持ち無沙汰になっているかもしれませんし、難しすぎて一人で抱え込み、心を折っている最中かもしれません。
かといって、四六時中監視し、細かく指示を出すのも問題です。それでは部下は「作業員」になってしまい、自分で考える力を失ってしまいます。
では、どうすれば良いのか?答えは「2つのR」を意識して、仕事の「地図」を渡してあげることです。
「2つのR」で示す、"自由"と"責任"の最適なバランス
- Reason(理由・目的):なぜ、この仕事が必要なのか?
ただ「これをやっておいて」と指示するのではなく、「この仕事は、会社の〇〇という目標達成のために、こんな風に重要なんだ。そして、お客様の△△という喜びに繋がっているんだよ」と、仕事の根本的な理由や意義を熱く語りましょう。自分の仕事が何に貢献しているのかを理解することで、「やらされ感」は「自分ごと」へと変わります。 - Range(範囲・裁量):どこまでが君の自由か?
「この目的さえ外さなければ、やり方は君に任せるよ。予算もここまでなら自由に使っていい。ただし、最終納期だけは必ず守ってほしい」というように、自由に動ける範囲と、絶対に守るべきルールを明確に示します。これにより、部下は安心して挑戦でき、社長は「暴走」を防ぐことができます。
ステップ3:「歯車」から「主役」へ!仕事の"位置づけ"を理解させる方法
さらに意欲をブーストさせるには、部下に「自分は会社の歯車ではない。重要な役割を担っているんだ」と感じてもらうことが重要です。
そのためには、「仕事の位置づけ」、つまり、会社全体における自分の仕事の役割を理解してもらう必要があります。
1. 事業の「全体図」を見せる
会社の事業全体のフローチャートなどを見せながら、「君の仕事は、この流れの中のこの部分を担っている。君の仕事が遅れると、次の工程の〇〇さんが困るし、最終的にお客様に迷惑がかかる。逆に、君が良い仕事をすれば、〇〇さんの仕事の質が上がり、お客様の満足に繋がるんだ」と、繋がりを意識させましょう。
2. 「未来のキャリア」を一緒に描く
「今のこの単調に見える仕事は、3年後にリーダーになるための大事な基礎固めなんだ。この経験が、将来大きなプロジェクトを動かす力になる」というように、今の仕事が未来のキャリアにどう繋がるのか、時間的な流れの中で示してあげましょう。可能であれば、重要な会議に同席させたり、社長の商談に同行させたりするのも効果的です。会社の意思決定の場に触れることで、当事者意識が芽生えます。
まとめ:社員の成長こそが、会社の最大の資産です
社員の意欲を継続させるマネジメントは、決して難しいことばかりではありません。
- 部下一人ひとりに合わせた「絶妙な目標」を設定し、定期的に見直す。
- 「放置」せず、「理由」と「範囲」を明確にして任せる。
- 自分の仕事が会社やお客様にどう貢献しているか、「位置づけ」を理解させる。
社長であるあなたが、ほんの少し関わり方を変えるだけで、部下の目の輝きは驚くほど変わります。そして、意欲に燃える社員の成長は、必ずや会社の成長へと繋がっていくはずです。
まずは、一番気になる部下一人からで構いません。ぜひ、今日から試してみてはいかがでしょうか。
