会社の未来を思い、寝る間も惜しんで事業と向き合う社長の皆様。日々の業務に追われる中で、「経営改善のために、専門家の力を借りたい」と考えるのは当然のことです。
しかし、大きな期待と決して安くない費用を投じてコンサルタントを雇った結果、手元に残ったのは「分厚いだけで中身がない、一般論だらけの報告書」だけ…。そんな、笑えない話が後を絶ちません。
これは、コンサルティング業界における、ある種の「あるある」です。そして、その最大の被害者は、藁にもすがる思いで依頼をした中小零細企業の社長様なのです。
なぜ、このような悲劇が起きてしまうのか?そして、どうすればそれを防げるのか?
今回は、貴重な時間とお金を無駄にしないために、コンサル選びで失敗しないための「3つの鉄則」をお伝えします。
鉄則1:「何を」ではなく「誰が」を重視する。評論家ではなく「伴走者」を選べ
コンサルタントと一口に言っても、そのタイプは様々です。中小企業が最も警戒すべきは「評論家タイプ」のコンサルタントです。
- 特徴:
- 大企業での実績や、難解な経営理論を語りたがる。
- 市場分析や業界動向など、「正論」をまとめるのは得意。
- しかし、「で、従業員10人のウチの会社では、明日から何をすれば?」という問いには口ごもる。
彼らが作る報告書は、一見立派に見えます。しかし、それはリソースの潤沢な大企業向けの「教科書」であって、あなたの会社のための「処方箋」ではありません。
【チェックポイント】
契約前の面談で、こう質問してください。
「これまで、うちと同じくらいの規模の会社を支援した具体的な事例を3つ教えてください。その会社が抱えていた課題と、あなたがどう関わって、どう変化したのかを具体的に聞きたいです。」
ここで、机上の空論ではなく、生々しい現場の話ができるかどうかが、最初の見極めポイントです。「泥臭い実行支援」の経験がある、信頼できるパートナー(伴走者)を選びましょう。
鉄則2:「報告書」を成果にするな。「具体的な変化」を契約のゴールにせよ
失敗する契約の典型例は、納品物が「調査報告書」「改善提案書」になっているケースです。なぜなら、コンサルタントの仕事は「立派な報告書を作ること」になってしまい、その中身が本当に実行可能かどうかは二の次になるからです。
「報告書をもらって終わり」という最悪の事態を避けるために、契約のゴール設定そのものを変えましょう。
- ダメな契約: 「市場調査と経営課題の分析報告書」を納品する。
- 良い契約: 「3ヶ月以内に、具体的な改善アクションプランを3つ策定し、その実行開始までを支援する」「新しい営業手法を導入し、現場の担当者への研修までを完了させる」
このように、成果物(ゴール)を「名詞(報告書)」ではなく「動詞(やること)」で設定するのです。コンサルタントには、分析や提案だけでなく、それが現場に根付くところまで責任を持ってもらう。この意識が、契約段階で非常に重要になります。
鉄則3:「丸投げ」は厳禁。プロジェクトの主役は、あくまで社長自身
「専門家にお願いしたんだから、良いようにやってくれるだろう」
この「丸投げ」の姿勢が、失敗の最大の原因です。
忘れないでください。あなたの会社のことを、外部のコンサルタント以上に理解している人間はいません。社長自身の経験と勘、そして現場で働く従業員の生の声こそが、最も価値のある経営資源です。
優れたコンサルタントは、魔法の杖を振ってくれる魔法使いではありません。社長や従業員の皆さんが持つ知識やアイデアを引き出し、整理し、実行可能な形に整えてくれる「トレーナー」や「ナビゲーター」のような存在です。
【やるべきこと】
- 定例会議を必ず設定する: プロジェクトの進捗を共有し、方向性を確認する場を設けましょう。1週間に1回、30分でも構いません。
- 従業員を巻き込む: 信頼できる幹部や現場のキーマンをプロジェクトに参加させましょう。当事者意識が生まれ、実行フェーズでの協力が得られやすくなります。
コンサルタントに主導権を渡しきるのではなく、あくまでプロジェクトのリーダーは社長自身である、という強い意志を持ってください。
まとめ:良いコンサルタントは、分厚い報告書ではなく「次の一歩」をくれる
本当に価値のあるコンサルティングとは、「霧が晴れるように課題の本質が見え、明日から何をすべきか、具体的な最初の一歩が明確になる」ものです。
- 評論家ではなく「伴走者」を選ぶ
- 「報告書」ではなく「具体的な変化」をゴールにする
- 「丸投げ」せず、自らがプロジェクトの主役となる
この3つの鉄則を守るだけで、コンサルティング依頼の成功確率は劇的に高まります。
あなたの会社の未来を本当に良くするため、ぜひ賢いパートナー選びを実践してください。
