- 「手塩にかけて育てたつもりなのに、社員がすぐに辞めてしまう…」
- 「もっと自主的に動いてほしいのに、指示待ち人間ばかりだ…」
中小零細企業の社長であれば、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。優秀な人材の確保が難しい現代において、社員の定着と成長は会社の生命線です。
実は、その問題の根幹には、社長であるあなたの「仕事の指示の出し方」が深く関わっているかもしれません。
いわゆる「丸投げ」と呼ばれる一方的な指示は、部下のやる気を削ぎ、思考停止を招くだけでなく、最悪の場合、人間関係の悪化や離職にまで繋がります。
この記事では、「丸投げ」を撲滅し、部下が自律的に成長し、会社の生産性を劇的に向上させるための、効果的な業務指示の具体的な方法をご紹介します。
あなたの指示は大丈夫?「負の3大マネジメントサイクル」に陥っていませんか?
以下の3つのパターンは、部下の成長を阻害し、組織を停滞させる典型的な「負の3大マネジジメントサイクル」です。
- 「自分でやった方が早い病」:部下に任せるより早いと、社長が何でも抱え込んでしまう。
- 「一方通行の丸投げ」:目的や背景を伝えず、「これやっといて」と一方的に仕事を振る。
- 「性善説すぎる放任主義」:自主性を重んじるあまり、具体的な指示やサポートを何もしない。
心当たりはありませんか?これらは全て、部下を混乱させ、成長の機会を奪うNG行動です。
業務指示は、すべての仕事のスタート地点であり、その質が会社の未来を決めると言っても過言ではありません。この「一丁目一番地」を見直すことが、強い組織づくりの第一歩です。
部下が動く!魔法の指示出し2大ポイント
効果的な指示の出し方は、たった2つのポイントに集約されます。それは「目的を確実に伝えること」と「育成視点を持つこと」です。
ポイント1:仕事の「目的・目標・成果」を明確に伝える
たった3分〜5分、指示に時間をかけるだけで、その後の数時間、数十時間の無駄な手戻りを防ぐことができます。指示を出す際は、以下の3つの要素を具体的に伝えましょう。
- 目的 (Why):「誰のために」「何のために」
- その仕事が、会社のどのゴールに繋がっているのか?顧客にどんな価値を提供するのか?背景や理由を丁寧に説明します。「分かっているはず」という思い込みは禁物です。社長の想いを共有することで、部下の当事者意識が芽生えます。
- 目標 (What):「いつまでに」「どのレベルで」
- 「なるべく早く」「いい感じに」といった曖昧な表現はNGです。具体的な納期、品質、量、コストの基準を明確に示しましょう。これにより、部下は何を目指すべきかが分かり、社長自身も進捗を把握しやすくなります。
- 成果 (How):「何に取り組むのか」「何を作成するのか」
- 具体的にどのようなアクションを取るべきか、最終的にどのようなアウトプット(資料、報告書など)が必要なのかを伝えます。
そして何より大切なのは、部下が質問しやすい雰囲気を作ることです。「何か質問ある?」と一言添えるだけで、部下は安心して疑問を口にできます。
ポイント2:「育成」という視点を持つ
仕事を任せることは、単なる業務の割り振りではありません。それは、部下の成長を促す絶好の機会(OJT)です。
- 職務充実
- 部下の成長に合わせて、任せる仕事の裁量を広げていきましょう。最初は手順を細かく指示していた仕事も、慣れてきたら「目的と目標だけ伝えて、やり方は君に任せるよ」と切り替えてみてください。
- 「任せてもらえている」という感覚は、部下のモチベーションと責任感を育み、「できている感」が自信に繋がります。
- 職務拡大
- 一つの仕事で成果を出せるようになったら、新しい種類の仕事や役割を与え、さらなる成長を促しましょう。
「思い切って任せない限り、人は育たない」
社長にとっては簡単に見える仕事でも、部下にとっては貴重な学びの機会です。特に、「重要度は低いが、緊急度は高い」といった業務は、部下に任せるのに最適です。これを任せることで、社長自身は「重要度も緊急度も高い」業務に集中する時間が生まれます。
これは、新入社員だけでなく、中途採用の社員に対しても同様です。「即戦力だから」と過信せず、最初は丁寧に目的や目標を伝え、段階的に任せる範囲を広げていくことが、早期の定着と活躍の鍵となります。
まとめ:指示の出し方一つで、会社は変わる
部下への指示の出し方を見直すことは、単なるコミュニケーション改善ではありません。それは、会社の未来への投資です。
- 目的を伝え、
- 具体的な目標を示し、
- 育成の視点を持って任せる。
これを実践するだけで、部下は仕事の全体像を理解し、自律的に動けるようになります。結果として、個人の成長が会社の成長に直結し、生産性の向上と離職率の低下という、好循環が生まれるのです。
まずは今日の指示から、始めてみませんか?その小さな一歩が、あなたの会社を大きく変えるはずです。以下にチェックリストを公開しますので、定期的に自己チェックしてみてください。
部下が動く!魔法の指示出しチェックリストdocs.google.com
もし、社長ご自身ではなく、幹部社員に対して部下への指示の出し方を改善するための研修などのご支援が必要でしたら、当事務所の経営伴走サポートをご利用ください。
