「ウェブで集客!」「SEOで売上アップ!」
そんな耳障りの良い言葉を信じて、ウェブ業者に安くないお金を払った。しかし、鳴り響くことのない電話。増えることのない問い合わせ。
「やっぱり、ウチみたいな無名の会社の、地味な商材じゃネットは無理なんだ…」
そう言って肩を落とし、再び非効率なテレアポや飛び込み営業の世界に戻ろうとしている社長様。
その結論を出すのは、少しだけ待ってください。
お気持ちは痛いほど分かります。ですが、その失敗の原因は、あなたの会社や製品にあるのではありません。ウェブ集客というものに対する、経営者自身がハマりがちな「3つの大きな勘違い」にあるのかもしれないのです。
勘違い1:ウェブサイトは「優秀な営業マン」や「自動販売機」だという幻想
多くの社長が、ウェブサイトさえ作れば、それが24時間働く優秀な営業マンになって、お客様が勝手に製品を買ってくれる「自動販売機」になる、と期待してしまいます。
断言します。その考えは、今すぐ捨ててください。
考えてみてください。社長ご自身が何か事業に必要なものを買うとき、ネット検索でたまたま見つけた、どこの馬の骨とも知れない零細企業のサイトから、いきなり見積もりも取らずに購入しますか? しませんよね。
法人の購買担当者は、あなたの想像以上に慎重です。彼らがウェブを使うのは「購入」のためではなく、その前段階である「情報収集」と「比較検討」のためです。
ウェブサイトの本当の役割は「売る」ことではありません。
担当者が抱える課題――たとえば「この作業の効率を上げたい」「このコストを削減したい」――を解決するための専門的な情報を提供することで、「この会社は、その道のプロだな」と認知してもらい、比較検討の候補リストに入れてもらうこと。
ウェブサイトは「自動販売機」ではなく、未来のお客様との信頼関係を築くための「情報発信基地」なのです。
勘違い2:「有名なキーワード」で1位を目指すという無謀な夢
「御社の業界なら『金属加工』のキーワードで1位を目指しましょう!」
ウェブ業者は、そんな大きな夢を語るかもしれません。しかし、これは体力のない中小企業が、丸腰で大企業のいる激戦地に突撃するようなものです。結果は火を見るより明らか。貴重な資金が溶けていくだけです。
私たちが目指すべきは、そんな激戦区のど真ん中ではありません。
狙うべきは、「ニッチの頂点」です。
たとえば、「金属加工」ではなく「チタン 精密加工 試作 東京」。
たとえば、「業務用洗剤」ではなく「食品工場向け 防錆潤滑剤 HACCP対応」。
こんなマニアックな言葉で検索する人はごく僅かです。しかし、検索した人は全員が「超」がつくほどの見込み客だとは思いませんか?
そして、このような狭く深い領域であれば、大企業は手間がかかるため参入してきません。ここにこそ、私たち中小零細企業の勝機があるのです。広い野原の真ん中ではなく、自分だけが知っている一本道で、お客様を待ち構えるのです。
勘違い3:ウェブ集客の武器は「カネ」だという大企業と同じ土俵
広告費をかければ、なんとかなる。綺麗なデザインにすれば、お客様は来る。
これも大きな勘違いです。資金力で勝負を挑んだ瞬間、体力のある大企業に飲み込まれて終わりです。
私たち中小零C細企業の本当の武器は「カネ」ではありません。社長であるあなたの「知恵」です。
もっと言えば、社長や現場の技術者の頭の中にだけある「生々しい専門知識」です。
- 「〇〇という素材の加工で、技術者が陥りがちな失敗トップ3とその対策」
- 「大手メーカーの製品では対応できない、〇〇な状況をウチが解決した事例」
- 「お客様から、実は一番よく聞かれる〇〇についての質問と、プロとしての回答」
これこそ、カネでは絶対に買えない、唯一無二の価値ある情報です。綺麗に整えられた大手企業の当たり障りのないコンテンツより、多少泥臭くても、現場の熱がこもったあなたの言葉の方が、本気で情報を探している担当者の心には遥かに強く突き刺さるのです。
では、今日から何をすべきか?
難しい話は一旦、脇に置きましょう。やるべきことはシンプルです。
まず、ウェブ集客を「狩猟(テレアポ)」ではなく「農耕(畑仕事)」だと考えてください。すぐに結果は出ません。半年、1年かけてじっくりと、しかし着実に自社の資産を育てる覚悟を持ちましょう。
そして、あなたの会社の「お宝(=専門知識)」を探してみてください。お客様によく聞かれること、過去に解決した難しい案件、同業者には負けないと自負するノウハウ。
そのお宝を一つ、あなたの言葉でお客様に語りかけるように、ブログ記事にしてみてください。
綺麗な文章でなくて構いません。カッコつける必要もありません。
そのたった1本の記事が、半年後、1年後、あなたの会社を本当に必要としている未来のお客様を、連れてきてくれるかもしれません。
ウェブ集客の主役は、ウェブ業者でもコンサルタントでもありません。
お客様の課題を誰よりも深く理解し、その答えを知っている、社長、あなた自身なのです。
