※「ファン化面接」は(社)採用定着支援協会が商標登録出願中です

社長、こんなお悩みはありませんか?

  • 「ようやく来てくれた応募者に、内定を出しても辞退されてしまう…」
  • 「求人を出しても、そもそも人が集まらない…」
  • 「採用したはいいが、価値観が合わずすぐに辞めてしまう…」

人手不足が深刻化する令和の時代、多くの中小零細企業が同じ悩みを抱えています。かつてのように、企業が応募者を「選ぶ」「見極める」というスタンスだけでは、優秀な人材を確保することは困難になりました。

そこで今、注目されているのが「ファン化面接」という新しい採用の作法です。

ファン化面接とは?

ファン化面接とは、その名の通り、

面接をした応募者が、採用・不採用にかかわらず、自社のファンになってくれるような面接を指します。

「不採用の人をファンにしてどうするんだ?」と思われるかもしれません。しかし、ここが重要なポイントです。たとえ今回ご縁がなかったとしても、その応募者は将来、あなたのお店の顧客や、重要な取引先になる可能性を秘めています。

逆に、面接での対応が悪ければどうでしょう。SNSなどで「あの会社の面接はひどかった」という口コミを書かれ、会社の評判を落とすリスクさえあるのです。

採用とは、単なる労働力の確保ではありません。自社の価値観に共感し、共に未来を創ってくれる「仲間」を見つけるための活動です。だからこそ、面接の場がお互いを深く理解し、魅力を伝え合う「出会いの場」であるべきなのです。

明日からできる!ファン化面接の具体的な流れ(全体で約60分)

では、具体的にどう進めればいいのでしょうか。ここでは、応募者の心をつかむ面接の具体的なステップをご紹介します。

ステップ1:アイスブレイク(目安:3分)

まず、応募者の緊張をほぐすための時間です 6。

「今日は暑いですね。駅から遠かったでしょう」「道がわかりにくかったと思いますが、大丈夫でしたか?」といった気遣いの言葉で、少しでも場を和ませましょう。時間は3分程度で構いません。

※「私、面接は初めてでしてね」といった内輪の事情を話すのは、応募者に「この会社大丈夫かな?」と不安を与えるだけなので控えましょう。

ステップ2:面接の流れ、やり方の説明(目安:2分)

次に、面接の流れや所要時間について、2分ほどで簡単に説明します。その際、自社の面接で大切にしていることをしっかり伝えましょう。

例えば、「うちの面接は、面接官もきっちり自己紹介をさせていただき、お互いのビジョンを語り合い、マッチするかを見させてもらってます」というように、自社のやり方を具体的に伝えます。

ステップ3:面接官(または社長)の「情熱的な」自己紹介(目安:10分)

応募者がすべてを開示するのに、面接官(または社長)が名前すら言わないのは不公平です。相互理解でミスマッチを防ぐためにも、面接官側がしっかり自己開示しましょう。

ポイントは、いかに熱く語れるかです。ここで面接官が情熱を見せることで、この後、応募者も本音で話してくれるようになります。10分を目途にきっちり時間をとり、面接官(または社長)自身の言葉でエネルギッシュに思いを伝えてください。

ステップ4:会社の説明・募集背景の説明(目安:10分)

会社の理念、つまり「社長さんの考え方・目指す目標」をしっかり伝え、価値観が合う人に来てもらうことが重要です。

その上で、以下の募集背景や業務内容を説明し、相互理解を深めます。

  • どういった仕事をするのか
  • なぜ募集することになったのか 
  • 配属後は何から始めてほしいのか

ここも10分ほどの時間を確保しましょう

ステップ5:応募者による理解度の確認(目安:5分)

ここまでの説明を踏まえ、「うちの事業所の仕事やスタンスについて、何か聞きたいことはありますか?」と質問を投げかけましょう。

この質問によって、自社の理念への応募者の理解度が確認でき、同時に応募者の「質問力」も見ることができます。時間は5分程度で構いません。

ステップ6:求人への貢献ポイントの確認(目安:5分)

次に、「今回の求人について、応募者がどういった点で貢献できるのか?」を質問します。

中途採用であれば、今までの経験がどう活きるか。未経験者であれば、「なぜうちで働きたいのか」という「やる気」の面を確認しましょう。ここでの所要時間は5分が目安です。

ステップ7:応募者のビジョンや目標の深掘り(目安:10分以上)

応募者がどんなビジョンや目標を持ち、なぜ転職するのかを聞きます。ここは定着人材を採用するために、とても大事な部分です 。

抽象的な答えには「具体的にはどういったことでしょうか?」と質問を重ね、徹底的に深掘りしましょう。お互いの考えを本音で「語り合う」状況が理想です。社長自身が関わり、同じビジョンを持つ人間を見つけるチャンスです。ここはヒートアップしても構いません。

ステップ8:履歴書・職務経歴書の確認(目安:5分)

履歴書を見て、長いブランクや転職回数など、気になった点を確認します。

ただし、あまり長く問い詰めると圧迫面接と捉えられ、悪評を立てられる可能性もあります。例えば転職回数が多い場合は「直近の転職の経緯だけ聞く」など、温和なコミュニケーションで「採用側として納得できるか」を検討しましょう。

ステップ9:ビジョンの共有と口説き(採用したい応募者へ)

面接の最終段階です。これは「この人を採用したい」と思った応募者に対してのみ行います。

面接の最後に、改めて応募者の夢やビジョンの話をもちだし、「うちなら、〇〇さんの××といったビジョンの実現を目指せる環境があります。ぜひ一緒にその目標にむかってがんばりましょう!」と熱く、断定する形で言い切りましょう。

心理学の「ピークエンドの法則」では、人間は一番盛り上がった時と最後しか覚えていないと言われます。最後に夢を後押しすることで、「この会社でがんばりたい!」と思わせることが、非常に重要になるのです。


まずは、これだけでもOK!

いきなり全てを実践するのは難しいかもしれません。その場合は、まず以下の3点だけでもおさえるよう意識してみてください。

  1.  最初に面接官がエネルギッシュに自己紹介し、会社説明、募集職種の説明もしっかりとやる
  2. 「見極める」ための質問については、「他には」「具体的には」と続けて聞き、広く・深く確認していく
  3. 面接の最後にしっかり「面接に来てくれたこと」に感謝する

面接は、未来の会社の姿を創る、社長にとって最も重要な仕事の一つです。「まずは面接官(または社長)が、エネルギッシュに、自己開示」し、「求職者のビジョン、夢、キャリア」にフォーカスして語り合ってください。

「選ぶ」場から、「ファンになってもらう」場へ。その意識改革が、令和の採用を成功に導く鍵です。