中小企業の小売店オーナーの皆様、こんにちは!

前回 Vol.1は、インバウンド対策の土台となる「ターゲット層の明確化とニーズに基づく戦略の理解」についてお話ししました。誰に、何を届けたいのかが明確になった今、いよいよ具体的な行動に移る時です。

今回は、旅行者が日本へ来る前に、あなたの店を見つけてもらうための重要なフェーズ、「旅マエ(情報収集・計画期間)」に焦点を当てて、中小の小売店ができる効果的な対策をご紹介します。

「旅前」の重要性:なぜ、ここがカギなのか?

外国人観光客は、日本への旅行を計画する際、多くの時間をかけて情報収集を行います。どの都市に行くか、どこに泊まるか、何を見るか、そして「どこで買い物をするか」も、この段階で検討されていることがほとんどです。

つまり、旅前にあなたの店の魅力が伝わらなければ、そもそも選択肢にすら入らないということです。

「お店に来てくれたら良さが分かるのに…」では、もったいない!旅前にしっかりアプローチすることで、来店への第一歩を踏み出してもらいましょう。

「旅前」に実施すべきインバウンド対策の具体策

では、具体的にどのような対策をすれば良いのでしょうか。

1. 多言語対応のウェブサイトやSNSで「情報」を発信する

現代の旅行者にとって、インターネットは情報収集の生命線です。

  • ウェブサイトの多言語対応:
    • お店の公式ウェブサイトがある場合、まずは英語対応を。ターゲットが明確なら、その国の言語(中国語、韓国語など)にも対応できるとさらに良いでしょう。
    • お店のコンセプト、取り扱い商品、場所、営業時間、アクセス方法、連絡先などを分かりやすく記載します。翻訳ツールも活用しながら、まずはできる範囲で情報提供を始めましょう。
  • SNSでの情報発信:
    • Instagram、Facebook、X(旧Twitter)など、ターゲット層がよく利用するSNSを選び、定期的に情報を発信しましょう。
    • 商品の写真や動画、店内の雰囲気、スタッフの紹介など、視覚に訴えるコンテンツは特に効果的です。ハッシュタグを工夫し、観光客が検索しやすいようにすることも忘れずに。
    • (例:#JapanTravel #TokyoShopping #UniqueSouvenir #YourShopName)
  • ブログ記事の活用:
    • 自店の商品の魅力はもちろん、お店のある地域の観光情報、日本ならではの文化体験なども合わせて発信することで、より興味を持ってもらえます。

2. Googleビジネスプロフィールを充実させる

「〇〇(地域名) お土産」といった検索をした際に、最も利用されるツールの一つがGoogleマップと連携したGoogleビジネスプロフィールです。

  • 正確な情報の登録:
    • 店名、住所、電話番号、営業時間、ウェブサイト、写真(外観、内観、商品)など、最新かつ正確な情報を登録しましょう。
  • 多言語での情報追加:
    • 店舗名や店舗の説明文などを多言語で追加できると、外国人観光客にとってさらに親切です。
  • 写真の充実:
    • 魅力的な写真をたくさん掲載し、お店の雰囲気や取り扱い商品を具体的に伝えましょう。特に、SNS映えするような写真は効果的です。
  • 口コミへの返信:
    • 寄せられた口コミには、積極的に返信しましょう。良い口コミには感謝を、改善点に関する口コミには真摯な対応を示すことで、お店の信頼度が上がります。

3. 海外のオンライン予約サイト(OTA)や旅行サイトに掲載する

お店で体験型コンテンツを提供している場合や、特定のジャンルの商品を扱っている場合は、海外の旅行者が利用するプラットフォームへの掲載も有効です。

  • 主要なOTAの活用:
    • Klook(クルック)、TripAdvisor(トリップアドバイザー)、KKday(ケーケーデイ)など、海外旅行者がよく利用するOTAに、お店の体験プランや商品を掲載することを検討しましょう。
  • 専門サイトへの掲載:
    • 工芸品、アニメグッズ、食品など、特定のジャンルの商品を扱うお店であれば、その分野に特化した海外のECサイトや情報サイトへの掲載も効果的です。

4. 地域や関連施設との連携を強化する

あなたの店単独でアプローチするだけでなく、地域全体で盛り上げる意識も大切です。

  • 地域の観光協会との連携:
    • 地元の観光協会や商工会、観光地域づくり法人(DMO)がインバウンド向けのパンフレットやウェブサイトを作成している場合、そこにあなたの店の情報を掲載してもらいましょう。
  • 宿泊施設・飲食店との提携:
    • 近隣のホテルや旅館、飲食店と提携し、互いに来店客を紹介し合う仕組みを作ることも有効です。例えば、ホテルに割引券を置かせてもらう、連携先の店舗で買い物したレシートを見せると特典がある、などの工夫が考えられます。

まとめ

「旅マエ」の対策は、外国人観光客にあなたの店を「見つけてもらう」ための最も重要なステップです。ウェブサイトやSNSでの情報発信、Googleビジネスプロフィールの充実、そして地域の施設との連携を通じて、旅行者の日本滞在計画の中にあなたの店をしっかりと組み込んでもらいましょう。

次回は、いよいよお客様が日本に滞在する「旅ナカ(日本滞在期間)」に焦点を当て、来店されたお客様に「また来たい!」と思ってもらうための具体的なおもてなしの工夫について解説します。お楽しみに!