中小企業の社長の皆さま、こんにちは。

日々、資金繰りから営業、現場の管理まで、本当にご苦労様です。

  • 「うちは良い製品(サービス)を作っているのに、なぜか売れない…」
  • 「営業担当者の頑張り任せになっていて、売上が安定しない…」

そんなお悩みはありませんか?

以前の記事で、お客様が契約に至るまでには「7つの関所」があると解説しました。今回はその続編として、それぞれの関所を突破するための「具体的な打ち手」を、今日からでも考えられるように分かりやすくご紹介します。

自社のビジネスのどこがボトルネックになっているか、チェックリストのようにご活用ください。

【ステップ1:認知】まずは「ここにいるよ!」と手を挙げる具体策

お客様は、あなたの会社の存在を知りません。まずは「〇〇の専門家がここにいますよ」と知らせることから始めましょう。

  • 業界の専門メディアに載る:
    • いきなり全国紙は難しくても、あなたの業界の専門誌やWebサイトなら可能性があります。「〇〇業界新聞」のような媒体に広告や記事を出せば、「お、この会社はうちの業界に詳しそうだ」と一気に注目度が上がります。
  • プレスリリースを配信する:
    • 「新しい機械を導入した」「地元企業と提携した」といったニュースはありませんか?それを短い文章にして無料で配信できるサイトがあります。メディアの目に留まれば、お金をかけずに取材や記事掲載に繋がるかもしれません。
  • 展示会に出てみる:
    • 大きな展示会は費用がかさみますが、地域の商工会議所が主催するような小規模なものなら出展しやすいはず。直接お客様候補と名刺交換できる、またとないチャンスです。
  • ブログやHPで「お悩み解決」を発信する:
    • お客様が検索しそうなキーワード(例:「金属加工 精度 高めるには」)で、お役立ち情報を発信しましょう。すぐには売上に繋がりませんが、「この会社はプロだ」という信頼が蓄積され、問い合わせの土台になります。
  • 狙いを定めて広告を出す:
    • 社長や部長クラスがよく利用するタクシーの車内広告や、Facebook等のSNSで役職を絞って広告を出すのも手です。闇雲に広告を打つより、ずっと効率的です。

【ステップ2:興味】「お、この会社は分かってるな」と思わせる具体策

知ってもらえたら、次は「うちの悩みを解決してくれそうだ」と期待を持ってもらう段階です。

  • 「お役立ち資料(ホワイトペーパー)」を用意する:
    • 難しく考える必要はありません。「お客様からよく聞かれる質問トップ10とその答え」や「〇〇業界のよくある失敗事例集」といった資料を作り、HPからダウンロードできるようにします。代わりに会社名や連絡先を登録してもらえば、見込み客リストになります。
  • 「導入事例」を見せる:
    • 「A社さんの、こんな課題が、うちの製品でこう良くなりました」というストーリーは、何よりの説得材料です。お客様に許可をもらい、簡単なインタビュー記事を作成しましょう。顔写真や会社名が出せれば効果は絶大です。
  • オンラインセミナー(ウェビナー)を開く:
    • Zoomなどを使えば、無料でセミナーが開催できます。テーマは売り込みではなく、「〇〇を効率化する3つのポイント」といったお役立ち情報が中心。最後に少しだけ自社製品を紹介すれば、関心度の高いお客様から声がかかります。
  • メールで定期的にコンタクトを取る:
    • 資料をダウンロードしてくれたお客様に、月に1〜2回、お役立ち情報や新しい導入事例をメールで送りましょう。「売り込み」ではなく「情報提供」を続けることで、忘れられるのを防ぎ、信頼関係を育てます。

【ステップ3:行動】「詳しく聞きたい」と言わせる具体策

興味を持ってくれたお客様に、問い合わせや相談といった「次の一歩」へ進んでもらいましょう。

  • 「行動の入口(CTA)」を分かりやすくする:
    • HPに「詳しい資料はこちら」「無料相談に申し込む」といったボタンを、大きく、目立つ色で設置します。お客様が「さて、次はどうすれば?」と迷わないように、親切に案内してあげることが重要です。
  • 問い合わせフォームはシンプルに:
    • 項目が多すぎると、お客様は面倒になって離脱してしまいます。まずは「会社名」「お名前」「連絡先」「簡単な相談内容」だけに絞れないか検討しましょう。
  • こちらから一声かける(インサイドセールス):
    • 資料をダウンロードしてくれた、ということは、何かに困っている証拠です。こちらから「その後いかがですか?何かお困りごとはありませんか?」と一本お電話するだけで、関係はぐっと深まります。

【ステップ4:比較・検討】「やっぱり、この会社だな」と選ばれる具体策

お客様は、必ずあなたの会社をライバル他社や「現状維持(何もしない)」という選択肢と比較します。

  • 営業担当が「あなただけの解決策」を提案する:
    • お客様の課題をじっくりヒアリングし、「A社さん専用のご提案です」という形で、製品がどう役立つかを具体的に示します。これができると、価格競争から一歩抜け出せます。
  • 「なるほど!」が詰まった提案書・見積書を作る:
    • 価格だけでなく、「導入すれば、これだけの経費が削減できますよ(ROI試算)」といった費用対効果や、丁寧な導入スケジュールまで盛り込むと、担当者も社内で説明しやすくなります。
  • ライバルとの違いを明確にする:
    • 「価格は高いですが、サポートが手厚いです」「うちは〇〇の機能に特化しているので、この課題には一番強いです」など、自社の強みをハッキリ伝え、選ぶ理由を示します。
  • 「お客様の声」を紹介する(リファレンス):
    • もし可能なら、導入済みのお客様に協力してもらい、検討中のお客様と直接話してもらう機会を設けます。実際の利用者の声は、どんな説明よりも説得力を持ちます。

【ステップ5:購買・導入決定】最後の壁「稟議」を一緒に乗り越える具体策

担当者は乗り気でも、社長や上司の「GO」が出なければ契約には至りません。社内説得を手伝ってあげましょう。

  • 決裁者にご挨拶・ご説明する:
    • 担当者任せにせず、「ぜひ一度、社長様にも私どもの想いをお伝えさせてください」と、最終決裁者に直接プレゼンする機会をもらいましょう。
  • 「稟議のお手伝い」をする:
    • 担当者が稟議書を書く際に、「このデータを自由に使ってください」「この説明文を参考にしてください」と、必要な材料を提供してあげます。面倒な社内手続きをサポートすることで、一気に味方になってもらえます。
  • 専門部署の不安を解消する:
    • 「セキュリティは大丈夫?」といった専門的な質問に備え、Q&A集などの資料を事前に用意しておくと、話がスムーズに進みます。
  • 「今決める理由」をそっと添える:
    • 「今月中にご契約いただければ、初期設定費用はサービスします」のように、少しだけ背中を押してあげるオファーも有効です。

【ステップ6:利用・定着】「導入して本当に良かった!」を実感してもらう具体策

契約はゴールではなく、スタートです。せっかく導入してもらった製品が、ホコリを被ってしまっては意味がありません。

  • 手厚い「使い始めのサポート」を行う(オンボーディング):
    • 納品して終わり、ではなく、最初の設定や操作方法などを一緒にサポートします。「買ったはいいけど、使い方が分からない…」という一番もったいない事態を防ぎます。
  • 従業員向けの「勉強会」を開く:
    • 実際に製品を使う従業員の方々を集めて、便利な使い方をレクチャーします。現場がファンになってくれれば、継続利用に繋がりやすくなります。
  • 困った時にすぐ頼れる存在になる:
    • 電話やメールで質問があった際には、迅速・丁寧に対応します。「あの会社は、売った後も親切だ」という評判が、次の仕事に繋がります。

【ステップ7:愛情・継続】お客様を「自社の応援団」に変える具体策

満足してくれたお客様は、最高の営業マンになってくれます。

  • 「その後いかがですか?」の定期連絡(カスタマーサクセス):
    • 導入後も定期的に連絡を取り、「もっと便利な使い方」「新しい機能の紹介」などを行い、関係を途切れさせません。
  • お客様同士が交流できる場を作る:
    • ユーザー会やオンラインのコミュニティを作り、お客様同士で活用法を共有してもらうのも良い方法です。お客様の会社への愛着が深まります。
  • 「もっと良くする」ための提案を行う:
    • お客様の事業の成長に合わせて、「こちらのプランなら、もっと〇〇できますよ」と、次の提案(アップセル・クロスセル)の機会をうかがいます。
  • 「お客様の声」としてご登場願う(事例化・紹介依頼):
    • 関係性が深まったら、「ぜひ弊社の成功事例として、HPにご登場いただけませんか?」とお願いしてみましょう。また、「もしお困りの同業者様がいたら、ぜひご紹介ください」と紹介を依頼するのも、信頼関係があればこそ可能です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

「全部やるのは大変だ…」と思われたかもしれません。その通りです。一度に全てをやる必要はありません。

大切なのは、自社のお客様が、この7つの関所の「どこで一番足止めされているか」を見極め、そこを改善する施策から手をつけることです。

まずは自社の現状をこの7つのステップに当てはめて、どこが弱いのかを棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。そこから、科学的な売上アップへの道が拓けるはずです。