あなたの会社には、こんな課題はありませんか?

  • 部署間の連携が悪く、お互いをライバル視している。
  • 言われたことしかやらない「指示待ち社員」が増えてきた。
  • 理念は立派だが、現場の仕事とはかけ離れていて誰も意識していない。
  • 優秀な若手ほど、すぐに辞めてしまう…。

もし一つでも当てはまるなら、その原因は「会社の魂」が定まっていないからかもしれません。

多くの経営者が、ビジョン・ミッション・バリュー(VMV)を掲げれば社員は一つになると信じています。しかし、小難しく、現場の体温から離れた言葉は、社員の心に響きません。結果として、社員は同じ船に乗りながらも、それぞれがバラバラの方向を向いて漕いでいる状態に陥ってしまうのです。

なぜ、立派なVMVは社員の心を掴めないのか?

それは、VMVが「経営陣が作った、あるべき論」になりがちだからです。また、3つも抽象的な言葉が並ぶと、一般社員さんには理解が困難です。

  • 「自分事」にできない:現場で汗をかく社員からすれば、遠い理想論に聞こえてしまい、「自分たちの言葉」だという実感が持てません。
  • 行動に繋がらない:「社会貢献」と言われても、目の前の業務でどう行動すればいいのか、具体的なイメージが湧きません。
  • 熱量が生まれない:心がワクワクするような、感情に訴えかける「物語」や「誇り」が欠けているため、ただの「お題目」で終わってしまいます。
  • 抽象的で違いがわからない:どの会社も似たような立派なことを言うので、お客様から見れば「また同じような感じね」で終わってしまいます。
  • 社員の行動に直結しない:お客様視点が欠けているため、「この行動がお客様にどう映るか」という発想に繋がりにくく、結局は自己満足な仕事になりがちです。

結果、社員のエンゲージメントは上がらず、組織としての一体感も生まれないまま、貴重な人材とエネルギーが浪費されていくのです。

解決策は、たった一つの問いから始まる

そこで、私が提案したいのが、複雑なVMVに代わる、新しい経営の柱です。 それが「ブランド・アイデンティティ」。
※参考文献:一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会 (著)社員をホンキにさせるブランド構築法

これは、たった一つのシンプルな問いに対する「答え」そのものです。

「私たちは、お客様から『どんな会社』だと思われたいのか?」

この問いに対する、明確で、一貫した、そして何より魅力的な答えこそが、あなたの会社のブランド・アイデンティティです。それはロゴやデザインの話だけではありません。顧客の心の中に、あなたの会社の「指定席」を作るための、いわば会社の「人格」を定義することなのです。

「私たちは、何者であり、どこへ向かうチームなのか?」

この問いに対する、社員全員が心から「それだ!」と頷き、誇りを持てる「チームの旗印」そのものです。それは会社の「魂」であり、組織の隅々にまで浸透する共通の「DNA」と言えるでしょう。

例えば、ある建設会社が自社のブランド・アイデンティティを、「どんな現場でも『昨日より一手間』を惜しまない、妥協なき現場主義者」と定めたとします。

この旗印が掲げられた瞬間、組織は劇的に変わります。

  • 判断基準が統一される:「この仕上げで満足か?『妥協なき現場主義者』として、もう一手間かけられないか?」が、職長から若手まで、全員の共通言語となり、現場の品質が底上げされます。
  • 誇りとモチベーションが生まれる:「俺たちはただの作業員じゃない。地域の安全と未来を創る、誇り高き現場主義者なんだ」というプライドが、日々の厳しい仕事に意味とやりがいを与えます。
  • 自律的な職人が育つ:「言われたからやる」のではなく、「もっと良いものを作るために」「もっと安全なやり方はないか」と、一人ひとりが自ら考え、工夫し始めます。若手への技術の継承も、ただの義務ではなく「俺たちの魂を伝える」という熱のこもった行為に変わります。
  • 最強のチームが作られる:「中途半端な仕事はしたくない」という、同じDNAを持つ職人が自然と集まります。厳しいけれど確かな技術と誇りが得られる会社として認知され、人材の採用と定着に繋がるのです。

俺たちの「ブランド・アイデンティティ」を見つける旅

これは、経営者が一人で決めて押し付けるものではありません。社員全員で、自分たちの「魂」を探す旅に出るのです。

ワークショップを開き、こんな問いを投げかけてみてください。

  • 「創業から今まで、俺たちがずっと貫いてきた『譲れないこだわり』って何だろう?」
  • 「どんな仕事をやり遂げた時、部署とか関係なく『最高のチームだ!』って心から思えた?」
  • 「新しく入ってくる仲間に、うちの会社の『一番カッコいいところ』を伝えるとしたら、なんて言う?」
  • 「もし、うちの会社が一人の人間だとしたら、周りからなんて呼ばれるようなヤツだと思う?」

社員一人ひとりの経験や想いのかけらを集め、磨き上げていく。そうすれば、全員の魂が共鳴する、あなたの会社だけの「ブランド・アイデンティティ」が、必ず見つかるはずです。