日々の業務に追われ、目の前の資金繰りや顧客対応に奔走する毎日。
- 「じっくり事業計画なんて考えている暇はない!」
- 「改善が重要なのはわかるが、とにかく目の前の仕事をこなすので精一杯だ…」
中小零細企業の社長であるあなたの、そんな悲鳴にも似た心の声が聞こえてくるようです。
しかし、そんな忙しい社長にこそ、最強の武器になるのが、今回お話しする「PDCAサイクル」です。
「PDCA?知ってるよ。あの計画・実行・評価・改善のやつだろ?うちはそんな悠長なことやってられないんだ」
そう思った方も、どうかもう少しだけお付き合いください。
大企業が分厚い資料で行う小難しい経営理論ではありません。あなたの会社を「やりっぱなし地獄」から救い出し、着実に成長軌道に乗せるための、もっともシンプルで強力な「生存戦略」としてのPDCAをご紹介します。
あなたの会社はすでに「強み」を持っている
実は、中小零細企業には、大企業が喉から手が出るほど欲しがるPDCAの「強み」がすでに備わっています。
- 圧倒的な「実行スピード」
- 社長であるあなたが「よし、やろう!」と決めれば、明日から、いえ、今日からでも行動に移せます。このスピード感は、何重もの稟議が必要な大企業には絶対に真似できません。
- リアルすぎる「現場感覚」
- 社長自らがお客様と話し、現場で機械を動かしているからこそ、データには表れない「顧客の本当の声」や「現場の小さな異変」を誰よりも早く察知できます。これは改善のヒントが詰まった「宝の山」です。
この「スピード」と「現場感覚」。これこそが、中小零細企業が回すべき「高速PDCA」のエンジンなのです。
なぜ、あなたの頑張りは成果に繋がりにくいのか?3つの「罠」
「強みがあるのはわかった。でも、現実は上手くいっていない…」
その原因は、ほとんどの場合、以下の3つの「罠」のどれかにはまっているからです。
罠1:「P(計画)」なき突撃
- 「とにかく行動だ!」と、明確な目標や計画がないまま走り出していませんか?これでは、どこに向かっているのか分からず、全速力で道に迷っているのと同じです。
罠2:「C(評価)」なき連続行動(=やりっぱなし地獄)
- これが最も深刻な罠です。忙しさのあまり、実行したことの結果を振り返らずに、次から次へと仕事をこなしてしまう。「Do-Do-Do…」の状態です。これでは、同じ失敗を何度も繰り返し、成功の要因も分からず、頑張りが全く資産として積み上がりません。
罠3:全てが社長の頭の中にある「ブラックボックス化」
- 計画も、評価も、改善案も、すべてが社長の頭の中にだけある状態です。これでは、社員は何をすれば評価されるのか分からず、主体的に動けません。何より、社長が倒れたら、会社の成長エンジンそのものが止まってしまいます。
「やりっぱなし地獄」からの脱出法|今日からできる3つのアクション
では、どうすればこの罠から抜け出せるのか?
難しく考える必要はありません。たった3つの簡単な習慣から始めてみてください。
アクション1:週に一度、「30分の作戦タイム」を強制確保する
まずは、週に一度、たった30分で構いません。手帳に「作戦タイム」と書き込み、誰にも邪魔されない時間を確保してください。
そして、以下の3つを自問自答するのです。
- Check(評価): 「今週やったことで、一番うまくいったことは?逆に、一番うまくいかなかったことは?」
- Act(改善): 「じゃあ、来週はその失敗を繰り返さないために、何を一つだけ変えようか?」
- Plan(計画): 「その改善を踏まえて、来週の最優先目標は何にしようか?」
アクション2:「頭の中」を書き出す
完璧な計画書は不要です。その「作戦タイム」で考えたことを、ホワイトボードやノートの切れ端に書き出すだけ。
- 今週の目標: 「〇〇への提案3件」
- 振り返り: 「A社は好感触。B社は価格でNG。→安売りはダメだ」
- 来週のアクション: 「A社に再度アプローチ。価格以外の価値を伝える資料を作る」
これだけで、思考が整理され、やるべきことが明確になります。そして、それを写真に撮って社員に共有すれば、それだけで立派な「P」と「C」の共有です。
アクション3:まずは「一つ」のことからPDCAを回してみる
いきなり会社全体でやろうとしないでください。
- 「ホームページからのお問い合わせを月1件増やすには?」
- 「あの作業の時間を10分短縮するには?」
など、たった一つのテーマでいいのです。そのテーマで一度、P→D→C→Aを回してみる。この小さな成功体験が、やがて会社全体の文化を変えていきます。
最後に
PDCAは、あなたの会社を縛る管理ツールではありません。
あなたの「頑張り」を確実に「成果」へと変え、会社とあなた自身を「成長」させてくれる、最も頼りになる相棒です。
日々の忙しさに忙殺される「作業員」から、未来を見据えて改善の舵を切る「指揮官」へ。
その第一歩を、週に一度の「30分の作戦タイム」から始めてみませんか?あなたの会社は、きっとそこから劇的に変わり始めます。
