「自分のビジネスを始めたい!」
その熱い思いを胸に起業を決意したあなた、本当におめでとうございます!
しかし、期待とともに、一つの大きな疑問が頭をよぎりませんか?
「個人事業主で始めるべきか、それとも法人を設立すべきか…?」
これは、すべての起業家が最初にぶつかる大きな壁です。
ご安心ください。このコラムでは、そんなあなたの悩みを解決するために、個人事業主と法人の違い、それぞれのメリット・デメリットを、どこよりも分かりやすく解説します。読み終わる頃には、あなたが進むべき道がきっとクリアになっているはずです。
結論:まずはこの基準で考えてみよう!
細かい話の前に、まずはシンプルな判断基準をお伝えします。
- スモールスタートで、まずは手軽に始めたい → 『個人事業主』
- 最初から大きな融資や取引を目指し、将来的に事業を大きくしたい → 『法人』
なんとなくイメージが湧きましたか?では、なぜそう言えるのか、具体的な違いを詳しく見ていきましょう。
【手軽さ重視】個人事業主のメリット・デメリット
メリット
- ① 圧倒的に「すぐ、安く」始められる!
- 事業を始めるのに、税務署へ「開業届」を1枚出すだけ。費用もかかりません。思い立ったらすぐにスタートできるスピード感は最大の魅力です。
- ② シンプルな経理と税金
- 確定申告は自分で行うことも十分可能です。会計ソフトを使えば、日々の記帳もそれほど難しくはありません。
- ③ 事業のお金を柔軟に使える
- 事業用の資金と個人の生活費の区別は必要ですが、法人ほど厳格ではありません。
デメリット
- ①「信用の壁」が存在する
- 残念ながら、社会的信用度は法人に劣ります。金融機関からの融資額が低くなったり、企業によっては法人でないと取引してくれなかったりするケースがあります。
- ②「無限責任」というリスク
- これが最大のデメリットかもしれません。もし事業で多額の負債を抱えてしまった場合、事業の資産だけでなく、あなたの個人資産(自宅や預金など)も返済に充てなければなりません。
- ③ 儲かるほど税金が高くなる
- 所得税は「累進課税」なので、所得が増えれば増えるほど税率が上がります(最大45%)。一般的に、年間所得が800万円を超えてくると、法人の方が税負担は軽くなると言われています。
【信用・成長重視】法人のメリット・デメリット
メリット
- ① 圧倒的な「社会的信用」
- 法務局に登記されている法人は、それだけで社会的な信用度が高まります。高額な融資、大手企業との取引、優秀な人材の採用など、あらゆるビジネスシーンで有利に働きます。
- ②「有限責任」という大きな安心感
- 万が一事業が失敗しても、責任は「出資した金額の範囲内」です。社長個人の資産が差し押さえられることは原則ありません。この安心感は、大きなチャレンジをする上で強力な支えになります。
- ③ 節税の選択肢が広い
- 社長であるあなたへの給料(役員報酬)は経費にでき、さらに給与所得控除も受けられます。また、赤字を10年間繰り越せたり、経費として認められる範囲が広かったりと、様々な節税メリットがあります。
デメリット
- ① 設立に「手間とコスト」がかかる
- 定款の作成・認証、法務局への登記申請など、手続きが複雑です。司法書士などに依頼するのが一般的で、設立費用として最低でも20万円以上はかかります。
- ② 経理や社会保険の手続きが複雑
- 会計帳簿は複式簿記が義務付けられ、決算申告は非常に複雑なため、税理士との契約がほぼ必須となります。また、社長1人でも社会保険への加入義務があり、その手続きも発生します。
- ③ 会社のお金は自由に使えない
- 会社のお金と個人のお金は、法律上きっちり分けなければなりません。たとえ社長であっても、会社の資金を個人的な用途に使うことはできません。
「法人成り」という賢い選択肢も
「うーん、やっぱり決められない…」という方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが、「まずは個人事業主でスタートして、事業が軌道に乗ったら法人化する(法人成り)」という方法です。(私もそう)
この方法なら、初期費用とリスクを最小限に抑えながらビジネスを始められ、売上が伸びてきたタイミング(例えば、所得800万円が見えてきた頃)で、信用の高い法人にステップアップできます。多くの起業家がこの道を選んでいます。
まとめ:あなたに合ったカタチで、最高のスタートを!
最後に、今回のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 個人事業主:とにかく「手軽さ」と「スピード」を重視するなら。リスクを抑えてスモールスタートしたい方に最適。
- 法人:「信用」を武器に、「大きな成長」と「節税メリット」を狙うなら。最初から大きな勝負をしたい方に最適。
どちらの形態にも一長一短があります。大切なのは、あなたの事業計画や将来のビジョンに合った選択をすることです。
