※本コラムは、第17回小規模事業者持続化補助金<一般型>・第1回小規模事業者持続化補助金<創業型>(2025/6/13締切)が対象です。

会社の未来のために、新しい設備を導入したい。もっと広く自社の商品やサービスを知ってもらうために、ホームページをリニューアルしたり、広告を出したりしたい。

日々、会社の成長のために奮闘されている社長の皆様なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。そして、そんな時に心強い味方となるのが「小規模事業者持続化補助金」です。新たな販路開拓や生産性向上のための費用を国が補助してくれる、非常に人気の高い制度です。

しかし、多くの社長様からこんな声をお聞きします。

「持続化補助金って、小規模事業者向けでしょ?うちは従業員が何人もいるから、対象外だよな…」

もし、そう思って申請を諦めているのでしたら、非常にもったいないかもしれません!

実は、この補助金の対象となる「従業員数」の数え方には、一般的なイメージとは少し違う”ルール”があるのです。今日は、その重要なポイントを分かりやすく解説します。この記事を読めば、「もしかしたら、うちも対象になるかも!よく調べてみよう!」と思っていただけるはずです。

まずは基本の確認!「小規模事業者」の定義とは?

ご存知の方も多いと思いますが、まずは基本となる常時使用する従業員数の上限を確認しましょう。業種ごとに以下の通り定められています。

  • 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)
    • 5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業
    • 20人以下
  • 製造業その他
    • 20人以下

「やっぱり、うちは製造業で従業員が25人いるからダメじゃないか…」

そう思われた社長、ここからです。その25人、本当に全員「常時使用する従業員」にカウントする必要がありますか?

まずは、従業員かどうか

業務委託先のスタッフや派遣社員の方々と一緒にお仕事されている会社は非常に多いと思います。これらの人々を「従業員」としてカウントするかどうかは、最初のポイントになります。

結論から申し上げますと、原則として、業務委託の相手方や派遣社員は「従業員」には含まれません。

見分け方は簡単です。

  • 雇用契約を結んでいる:従業員です
  • 雇用契約を結んでいない(業務委託契約・請負契約・人材派遣会社との契約):従業員ではない

では、従業員が何人いるかが分かったら、次に進みましょう。

【最重要ポイント】あなたの会社の「従業員数」を数え直してみましょう!

補助金の公募要領で定められている「常時使用する従業員」には、実はカウントに含めなくてよい人がいます。単純に在籍している人の”頭数”で判断してはいけません。

以下のケースに当てはまる方は、従業員数から除外してOKです。

  • 会社の役員
    • 社長ご自身はもちろん、他の役員の方も従業員数には含めません。
    • なお、従業員との兼務役員は「常時使用する従業員」に含まれます。
  • 個人事業主ご本人と、同居している親族従業員
    • 生計を同一にするご家族はカウントしません。
  • 休業中の社員
    • (申請時点で)育児休業中・介護休業中・傷病休業中または休職中の社員 ⇒法令や社内就業規則等に基づいて休業・休職措置が適用されている者
  • パートタイム労働者(短期間・短時間勤務の方)
    • 日々雇い入れられる者、2か月以内の期間を定めて雇用される者、または季節的業務に4か月以内の期間を定めて雇用される者(ただし、所定の期間を超えて引き続き雇用されている者は「常時使用する従業員」に含まれます。)
    • 所定労働時間が同一の事業所に雇用される「通常の従業員」の所定労働時間に比べて短い者
      • ここが最大の勘違いポイントです!例えば、「正社員の週の所定労働時間の4分の3以下の時間しか働いていないパートさん」は従業員数に含めません。(※この条件は公募回により若干変わる可能性があるので、最新の公募要領でご確認ください)
      • 正確には、「1日の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」もしくは、「1週間の労働時間および1か月の所定労働日数が4分の3以下」の場合、常時使用する従業員に該当しません。
      • なお、逆にいえば正社員の週の所定労働時間の4分の3を超える時間はたらいているパート・アルバイトは常時使用する従業員に該当します。

具体例で見てみましょう!

例えば、ある飲食業の会社があったとします。

  • 社長:1名
  • 奥様(役員):1名
  • 正社員Aさん(週20時間勤務):1名
  • パートBさん(週20時間勤務):1名
  • パートCさん(週18時間勤務):1名
  • パートDさん(週15時間勤務):1名

パッと見ると、合計6名が働いているので「うちは対象外だ」と思ってしまいがちです。

しかし、補助金のルールに沿って数え直してみましょう。

  • 社長:カウントしない
  • 奥様(役員):カウントしない
  • 正社員Aさん:1人
  • パートBさん:1人
  • パートCさん:1人
  • パートDさん(週の労働時間が正社員の3/4以下):カウントしない

いかがでしょうか?

この会社の場合、補助金の計算上の従業員数は「3名」となります。

諦めずに、まずは確認を!

この記事を読んで、「あれ、うちも計算し直したら対象になるかも…?」と思われた社長様。ぜひ、ご自身の会社の状況をもう一度見直してみてください。

働き方が多様化している今、パートさんや短時間勤務の方が増えている会社も多いはずです。その方々の頑張りが、補助金の対象から外れる理由になってしまうのは、あまりにもったいない話です。

チャンスは、思い込みを捨てた先にあります。

まずは最新の「公募要領」に目を通し、ご自身の会社の従業員数を正しく数え直してみてください。そして、もし判断に迷ったら、お近くの商工会議所・商工会に相談してみましょう。無料で親身に相談に乗ってくれます。近くに相談できる人がいない場合は、行政書士資格も保有して申請代理まで一貫した支援が可能な中小企業診断士である当事務所の補助金申請サポートをご利用ください。