※本コラムは、第18回小規模事業者持続化補助金<一般型>・第2回小規模事業者持続化補助金<創業型>(2025/11/28締切)が対象です。

会社の未来のために、新しい一歩を踏み出そうとしている経営者の皆様。小規模事業者持続化補助金は、その挑戦を力強く後押ししてくれる、まさに「恵みの雨」のような制度ですよね。

  • 「この補助金で、あの新しい機械を導入しよう!」
  • 「販路開拓のために、このシステムが必要だ!」

そんな計画を立てる中で、多くの方が一つの分岐点に立つのではないでしょうか。

それは、「必要な機器や設備を、リースにするか?それとも購入するか?」という問題です。

初期費用を抑えられる手軽さから、つい「リースで経費にすればいいか」と考えてしまいがちですが、お待ちください。その選択、補助金を最大限に活用し、会社の資産を増やすという観点から見ると、実は大きな機会損失になっているかもしれません。

今回は、持続化補助金を申請する際に経営者が絶対に知っておくべき「リース vs 購入」の本当のコストについて、分かりやすく解説します。

「リース料は経費」の落とし穴

補助金の公募要領には、確かに「リース・レンタル料」も補助対象経費として記載されています。これが、一見するとリースが有利に見える理由です。

しかし、ここには重要な制約があります。それは、補助の対象となるのは「補助事業期間中に支払われるリース料」だけという点です。

持続化補助金の補助事業期間は、多くの場合半年~7ヶ月程度です。つまり、たとえ5年契約のリースであっても、補助金でカバーされるのは、そのうちのたった数ヶ月分だけ。残りの期間のリース料は、全額自己負担となるのです。

「購入」は未来への投資

一方、「機械装置等費」として購入した場合はどうでしょうか。

この場合、補助金の対象となるのは「機械の購入費用そのもの」です。

つまり、高額な機械であっても、その購入費用(上限あり)の2/3が補助されるため、非常に大きな補助額を受け取れる可能性があります。そして何より、補助事業が終わった後、その機械はあなたの会社の「資産」として手元に残ります。

【具体例】60万円の機械を導入する場合

言葉だけでは分かりにくいので、具体的な数字で比較してみましょう。

  • 導入したい機械: 購入価格60万円
  • リースの場合: 月額3万円
  • 補助金の条件: 補助事業期間6ヶ月、補助率2/3

A) リースで申請した場合

  • 補助対象経費: 3万円/月 × 6ヶ月 = 18万円
  • 受け取れる補助金額: 18万円 × 2/3 = 12万円
  • 最終的な自己負担(1年間使用):
    1. (年間リース料 36万円) - (補助金 12万円) = 24万円
    2. そして、1年後も機械はあなたの会社の所有物にはなりません。

B) 購入で申請した場合

  • 補助対象経費: 60万円
  • 受け取れる補助金額: 60万円 × 2/3 = 40万円
  • 最終的な自己負担:
    1. (購入価格 60万円) - (補助金 40万円) = 20万円
    2. たった20万円の負担で、60万円の機械があなたの会社の資産になります。

いかがでしょうか。このケースでは、購入した方が自己負担が4万円も少なく、さらに資産まで手に入るのです。補助金は後払いなので、一時的な資金繰りは考慮する必要がありますが、長期的に見ればその差は歴然です。

決断する前のチェックリスト

もちろん、ごく短期間しか使わない、技術の陳腐化が激しい、どうしても初期費用が捻出できない、といった場合にはリースが有効なこともあります。

だからこそ、安易に決めず、一度立ち止まって考えてみてください。

✅ その設備、本当に「短期間」しか使いませんか?
(補助事業が終わった後も、事業の核として使い続けるのではないですか?)

✅ リースと購入、両方のパターンで補助金額を計算しましたか?
(どちらがより多くの補助金を受け取れますか?)

✅ 最終的な自己負担額は、どちらが少なくなりますか?
(目先の支払いだけでなく、トータルコストで比較しましたか?)

✅ 資産を持つことは、会社の未来にとってプラスになりませんか?
(その機械が生み出す将来の利益や、会社の信用力を考えましたか?)

小規模事業者持続化補助金は、単なる経費補填の制度ではありません。経営者の皆様が、会社の未来を築くための「資産」を手に入れる、絶好のチャンスです。

ぜひ、この機会を最大限に活かすために、「リースか、購入か」という重要な選択を、戦略的にご検討ください。その慎重な判断が、あなたの会社をより強く、たくましく成長させるはずです。