• 「こだわりの商品も、素敵な内装も用意した。でも、なぜかお客様が増えない…」
  • 「お店の前は人が通るのに、なかなか入ってきてくれない…」

ご自身の夢を詰め込んでオープンした大切なお店だからこそ、こうした悩みは尽きないもの。その原因は、商品やサービスの質だけではないかもしれません。

実は、お客様があなたのお店を「知り」、実際に「来店」し、そして「ファン」になるまでの“心の道のり”には、乗り越えるべき「7つの関門」が存在します。この道のりのどこかが詰まっていると、お客様の流れはそこで止まってしまうのです。

この記事では、その「7つの関門」に沿って、ご自身のお店の状態を客観的にチェックできるリストをご用意しました。どこにお客様が流れをせき止める「ボトルネック」があるのか、一緒に見つけていきましょう。

お客様の心の旅、「7つの関門」とは?

お客様があなたのお店にたどり着き、常連さんになるまでの心理プロセス(マインドフロー)です。

  1. 認知:お店の存在を知る
  2. 興味:「なんだか良さそう」と関心を持つ
  3. 行動:お店のドアを開ける、来店する
  4. 比較:「あっちの店より、こっちが良いかな」と検討する
  5. 購買:お金を払って、商品・サービスを買う
  6. 利用:実際に食べたり、使ったりして、価値を体験する
  7. 愛情:ファンになり、また来たい、人に勧めたいと思う

この流れがスムーズなら、お店は自然と繁盛していきます。では、あなたのお店はどの関門が弱いでしょうか?早速チェックしてみましょう。

※マインドフローの参考情報はこちら

【オーナーのための自己診断】お店の7つの関門チェックリスト

関門1:【認知】そもそも、あなたのお店は知られていますか?

どんなに素敵なお店も、知られなければ始まりません。まずは「存在」に気づいてもらう段階です。

  • お店の看板は、遠くからでも「何のお店か」がハッキリわかりますか?
  • Googleマップにお店を登録し、写真や営業時間をきちんと更新していますか?
  • Instagramや地域の情報サイトなど、Web上でお店の情報が見つかるようになっていますか?
  • 近隣の家庭やオフィスに、チラシをポスティングしたことがありますか?

【診断のヒント】

ここにチェックがつかないなら、ご近所の方でさえ、あなたのお店の存在を知らない可能性があります。まずは「ここに、こんな店がありますよ!」と知らせる努力から始めましょう。

関門2:【興味】「入ってみたい」と思わせる魅力はありますか?

お店の存在を知っても、「ふーん」で終わっては意味がありません。「なんだか気になる」「素敵そう」と、心を惹きつける段階です。

  • お店の前を通った人が、思わず足を止めてしまうようなウィンドウディスプレイになっていますか?
  • 「当店自慢の一品!」といった、看板メニューやイチオシ商品が外から見てわかりますか?
  • Instagramなどに投稿している写真は、清潔感や「美味しそう」「可愛い」が伝わるものですか?
  • お店のコンセプト(例:オーガニック、隠れ家風、ペットOKなど)が一貫して伝わっていますか?

【診断のヒント】

この関門が弱いと、「知っているけど、入る理由がない」状態に。お店の「一番のウリ」は何かを再確認し、それが見える形で外に伝わる工夫が必要です。

関門3:【行動】お客様は、ためらわずに入店できますか?

興味はあっても、お店のドアを開けるのには少し勇気がいります。その最後の一歩を後押しできていますか?

  • 店内の様子が外から少し見えて、初めての人でも入りやすい雰囲気ですか?
  • 入口のドアは重すぎたり、開けにくかったりしませんか?(意外と重要です!)
  • 「ランチ営業中」「ご自由にお入りください」など、歓迎を示すサインを出していますか?
  • 雨の日や暑い日に「雨宿りにどうぞ」「涼んでいってください」といった、入店を促す一言を出せますか?

【診断のヒント】

ここがボトルネックだと、「気になるけど、また今度でいいか…」と思われてしまいます。「ウェルカム感」を演出し、入店の心理的ハードルを下げてあげましょう。

関門4:【比較】近くの「あの店」ではなく、あなたのお店が選ばれる理由は?

お客様は無意識のうちに、あなたのお店を他の選択肢(近隣の競合店、チェーン店など)と比較しています。

  • 他店にはない、あなたのお店だけの「強み」や「こだわり」をお客様に伝えられていますか?
  • Googleマップやグルメサイトの口コミで、悪い評価が放置されていませんか?
  • 価格以上の「価値」(例:居心地の良さ、丁寧な接客、特別な素材)を提供できていると自信を持って言えますか?

【診断のヒント】

もしお客様が「あっちの店は安いから」と流れてしまうなら、価格以外の価値をきちんと伝える努力が必要です。「なぜ、この価格なのか」を語れますか?

関門5:【購買】「これもください!」を引き出せていますか?

お客様がレジに来てくれました。ここで気持ちよくお金を払ってもらい、満足度を高める最後の仕上げの段階です。

  • レジ横に、つい手に取りたくなるような「ついで買い」できる商品を置いていますか?(クロスセル)
  • 「本日のケーキには、こちらのコーヒーが合いますよ」といった、プラスワンの提案(アップセル)をしていますか?
  • 支払いはスムーズですか?(キャッシュレス決済対応など)
  • 「ありがとうございます!」という感謝の気持ちが、笑顔や声のトーンで伝わっていますか?

【診断のヒント】

購買は、単なる会計作業ではありません。「良い買い物をした」という満足感を高めるための、大切なコミュニケーションの場です。

関門6:【利用】最高の「体験」を提供できていますか?

お客様が商品を食べたり、サービスを受けたりする、まさに価値を実感する瞬間です。期待を超えられていますか?

  • 商品のクオリティは、常に安定していますか?(いつ食べても美味しい、など)
  • 店内は清潔で、BGMや照明など、居心地の良い空間になっていますか?
  • スタッフの対応は丁寧で、お客様を不快にさせるような点はありませんか?
  • 提供した商品やサービスについて、「いかがでしたか?」と一言お声がけをしていますか?

【診断のヒント】

ここでの体験が悪いと、二度と来店はありません。商品・サービスそのものの価値だけでなく、空間や接客を含めた「お店での時間」全体の質を高めることが重要です。

関門7:【愛情】お客様は「また来たい」と思ってくれていますか?

一度の利用で終わらず、「ファン」になってもらう段階です。ファンは、あなたのお店を支える大切な財産になります。

  • ポイントカードやスタンプカードなど、再来店を促す仕組みがありますか?
  • 「いつもありがとうございます」など、常連のお客様を認識していることを伝えていますか?
  • お客様が友人に「あのお店、良かったよ!」と口コミしたくなるような、感動や驚きがありますか?
  • SNSで、お客様からの投稿に「いいね!」や感謝のコメントを返していますか?

【診断のヒント】

新規顧客の獲得は、リピーターを維持するより何倍もコストがかかります。「また来たくなる理由」を意図的に作ることで、お店の経営は安定します。

ボトルネックを見つけ、まず一つだけ改善してみよう

さて、あなたのお店の弱点はどの「関門」にありそうでしたか?

たくさんの課題が見つかったとしても、一度に全てをやろうとする必要はありません。一番詰まっている、最も流れを悪くしている「ボトルネック」を一つだけ見つけ、そこを集中的に改善するのが成功の秘訣です。

  • 【認知】が弱ければ、まずはGoogleマップの情報を充実させる。
  • 【興味】が弱ければ、今週末にウィンドウディスプレイを変えてみる。
  • 【愛情】が弱ければ、明日から簡単なスタンプカードを始めてみる。

もっと詳しく診断したい場合は、以下のチェックリストを利用して対策までしっかり計画を立てて実行してみて下さい。

【オーナーのための自己診断】お店の7つの関門チェックリストdocs.google.com

お店を良くしていく旅に、終わりはありません。ですが、このチェックリストが、その旅の現在地を知り、次の一歩を踏み出すための地図になれば、これほど嬉しいことはありません。