※本コラムは、第18回小規模事業者持続化補助金<一般型>・第2回小規模事業者持続化補助金<創業型>(2025/11/28締切)が対象です。
会社の未来のために、新しい販路を開拓したい、業務を効率化したい…そのように考えたとき、小規模事業者持続化補助金は本当に心強い味方ですよね。
ところで、こんなことを考えたことはありませんか?
「この機会に、新しいソフトウェアやシステムを開発して、事業の柱にできないだろうか?」
「自社の強みを活かしたアプリ開発に、持続化補助金は使えないだろうか?」
そのお気持ち、非常によくわかります。しかし、ここで一つ、絶対に知っておいていただきたい落とし穴があるのです。それを知らずに申請書を書いてしまうと、せっかくの計画が「対象外」と判断されかねません。
結論から申し上げます。補助金の対象になるかどうかの分かれ道は、その開発が「販路開拓のための試作段階」なのか、それとも「販売するための商品化段階」なのか、という点にかかっています。
【注意!】
なお、今回の内容は公募要領には明記されておらず、事務局に確認した内容です。事務局の回答は担当者によって異なることもあるため、あくまで参考意見程度にとどめ、ご自身で事務局に確認の上、ご判断ください。
違いはここだ!「商品化」と「試作」の具体例
事務局に確認した情報によると、この2つのフェーズは明確に区別されています。
❌ これは対象外!「商品化」段階の開発
- 目的: 開発したシステムやソフトウェアを完成品(商品)として、顧客に販売・提供する。
- 位置づけ: 「販売する商品そのもの」の開発であり、補助金の趣旨(販路開拓の支援)から外れる。
- 公募要領: 「販売を目的としたシステムやソフトウェア開発(新商品開発費でも対象外)」は経費対象外、と明記されている内容を指す。
⭕️ これならOK!「試作」段階の開発(補助対象の可能性あり)
- 目的: あくまで販路開拓や新しい事業の実現可能性を探るための試作や検証。
- 位置づけ: 「こういうシステムを作れば、新たな販路が開けるか?」という販路開拓の取り組みの一環。
申請書で損をしないためのワンポイントアドバイス
この違いを理解した上で、申請時の事業計画書には以下の点を盛り込みましょう。
- 「試作」「検証」を明確に打ち出す
- 計画書の目的欄には、「新商品(ソフトウェア)開発」と書くのではなく、「既存事業の新たな販路開拓を目的とした、〇〇システムの試作・検証」といった形で、あくまで販売前の「取り組み」の一環であることを明確にしましょう。
- 販路開拓のストーリーを具体的に
- 「このシステムを試作することで、これまでアプローチできなかった〇〇という顧客層にリーチできます。その結果、既存サービス△△の売上が年間〇〇円向上する見込みです」というように、開発の先にある売上アップの道筋を具体的に示してください。
最後に
社長、新しい挑戦に補助金を活用するのは、経営者として当然の判断です。しかし、制度の趣旨を正しく理解していなければ、思わぬところで足元をすくわれてしまいます。
「この開発は、商品を開発しているのか? それとも販路開拓の武器を試作しているのか?」
ぜひ、この視点でご自身の計画をもう一度見直してみてください。そして、少しでも迷ったら、必ず補助金の事務局や管轄の商工会議所・商工会に「こういう目的のシステム開発なのですが、対象になりますか?」と具体的に相談することをお勧めします。
