※本コラムは、第18回小規模事業者持続化補助金<一般型>・第2回小規模事業者持続化補助金<創業型>(2025/11/28締切)が対象です。
- 「自分の農園をもっと多くの人に知ってもらいたい」
- 「新しい加工品を作って、収入の柱を増やしたい」
そんな熱意を持つ農家の皆様にとって、「小_規模事業者持続化補助金_」は、販路開拓や生産性向上を目指す上で非常に魅力的な制度です。
しかし、「農家でも本当に使えるの?」「どんな取り組みが対象になるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、農家の方がこの補助金を申請する際には、知っておくべき重要な注意点が2つあります。今回は、申請を検討している農家の皆様が「知らなかった…」と後悔しないために、この2つのポイントを分かりやすく解説します。
注意点1:JA出荷だけではNG?「個人農業者」の収入要件
まず最初に確認すべきは、ご自身の収入のあり方です。
もしあなたが個人事業主の農家で、収入のすべてがJA(農協)や漁協、森林組合などを通じた「系統出荷」によるものである場合、残念ながらこの補助金の対象外となります。
なぜ対象外なの?
この補助金は、事業者が自ら経営計画を立て、新たな顧客を獲得していく「販路開拓」の努力を支援するものです。そのため、決まった先に卸す系統出荷だけでなく、自ら販路を開拓していることが求められるのです。
どうすれば対象になる?
個人農業者の方が対象となるためには、系統出荷以外に、ご自身で開拓した以下のような販売実績が必要です。
- スーパーや飲食店への直接販売
- 直売所やオンラインストアでの消費者への直接販売(ECサイトなど)
- マルシェやイベントへの出店販売
すでにこのような独自の販路をお持ちであれば、第一の条件はクリアです。
ポイント
この条件はあくまで「個人農業者」に対するものです。農業法人など、法人格を持つ小規模事業者であれば、収入が系統出荷のみであっても申請対象となる場合があります。なお、農事組合法人は残念ながら補助対象者にはなりません。
注意点2:新しい作物を育てるだけでは対象外!「6次産業化」がカギ
次に重要なのが、「何のために補助金を使うか」という事業内容です。
この補助金は、あくまで販路開拓や生産性向上のための取り組みを支援するものです。そのため、農業(1次産業)そのものである以下のような取り組みは対象外となります。
- (NG例) 新しい品種の野菜を育てるための種や苗の購入
- (NG例) 栽培面積を増やすための農地改良
- (NG例) 単に別の作物を作り始める
では、どんな取り組みが対象になるの?
補助金の対象となるのは、農業(1次産業)を基盤としながら、加工(2次産業)やサービス・販売(3次産業)へと事業を発展させる、いわゆる「6次産業化」の取り組みです。
- (OK例) 自慢のトマトを使ったジュースやジャムを開発し、そのための加工機器を導入する。
- (OK例) 古民家を改装し、採れたて野菜を味わえる農家レストランを開業する。
- (OK例) 加工品の新しいパッケージをデザインし、ECサイトを立ち上げて全国に販売する。
- (OK例) 収穫体験ツアーを企画し、その集客のためにチラシを作成したり、ウェブ広告を出したりする。
このように、「生産」の先にある「加工・販売・サービス」への挑戦が補助金の対象となります。
ポイント
農家レストランを開業する場合でも、補助金の対象となるのは店舗の改装費や厨房設備、宣伝広告費などです。レストランで提供する野菜そのものを生産するための経費(種苗代、肥料代など)は対象外となるので注意しましょう。
まとめ:未来への投資こそが補助金の使い道
小規模事業者持続化補助金は、農家の皆様にとって大きなチャンスとなり得る制度です。しかし、そのチャンスを掴むためには、
- 独自の販路を持っていること(個人農業者の場合)
- 事業を「6次産業化」へと発展させる計画であること
という2つのポイントをクリアする必要があります。
「ただ作る」だけでなく、「どう加工し、どう売っていくか」という未来への投資計画こそが、この補助金活用のカギとなります。
