プラネット行政書士事務所のDX戦略
プラネット行政書士事務所(以下、当事務所)は、データ活用やAI、クラウド技術といったデジタル技術の進化が、社会全体の構造、特に当事務所の主要なお客様である個人事業主や中小企業の経営環境を根本から変えつつあると認識しています。
行政手続きのオンライン化(GビズIDの普及、Jグランツによる電子申請の一般化など)は不可逆的な流れであり、これに対応できない事業者は、事業機会そのものを失う可能性があります。
このような環境変化は、当事務所にとって「リスク」と「機会」の両側面を持つ重要な経営課題であると捉え、この経営課題に取り組むべく、当社のDX戦略を策定しましたので以下のとおり公表いたします。
2025年7月1日策定
プラネット行政書士事務所
代表
(兼)実務執行総括責任者・最高DX推進責任者
長野利雄
1. 経営ビジョン・ビジネスモデルの策定
経営ビジョン
『すべての挑戦する中小企業に、最高の羅針盤を。私たちは、データと伴走力で未来を共創する、真の経営伴走パートナーとなる。』
【ビジョンに込めた思い】
私たちは、単なる行政手続きの代行者で終わるつもりはありません。
デジタル技術の波に乗り遅れ、多くの可能性を前に立ちすくんでいる中小企業は少なくありません。私たちは、そのような志ある経営者の皆様にとって、最も信頼できる「羅針盤」のような存在でありたいと考えています。
私たちの強みである「伴走力」という人の力に、「データ活用」というデジタルの力を掛け合わせることで、勘や経験だけに頼らない、客観的で精度の高い経営判断をサポートします。
お客様一社一社の挑戦に寄り添い、事業の成長を共に創り上げる「パートナー」として、ひいては日本経済の基盤を支える中小企業の活性化に貢献すること。それが私たちの目指す未来です。
ビジネスモデル
上記の経営ビジョンを実現するため、従来の「手続き代行型」ビジネスモデルから、お客様の事業成長に継続的に貢献する「経営課題解決・伴走支援型」ビジネスモデルへと変革します。
提供価値の変革
従来のビジネスモデル(As-Is) | 新たなビジネスモデル(To-Be) | |
提供価値 | ・手続きの代行:補助金等の申請書類を作成し、提出を代行する。 ・スポット(単発)での相談対応 | ・事業成長の加速支援:データに基づき、経営課題を可視化し、解決策を共に実行する。 ・継続的な伴走による安心感と成果の提供 |
収益モデル | 手続きごとのスポット収益が中心 | 月額顧問料(ストック収益)を主軸とし、スポット収益と成果報酬を組み合わせる |
2. DX戦略の策定
具体的なサービスモデル
デジタル技術を活用し、既存サービスを深化させるとともに、新たなサービスを創出します。
(1) 補助金申請サポートの深化(データ活用モデル)
- 現状: お客様からのヒアリングに基づき、経験を元に申請書を作成する。
- 今後: 過去の採択・不採択案件データを分析し、「採択されやすい事業計画の傾向」を可視化。データに基づいた高精度なコンサルティングを提供し、採択率の向上を目指します。将来的には、お客様の事業内容から最適な補助金をAIがリコメンドするサービスの開発も視野に入れます。
(2) 経営伴走サポートの進化(データドリブンモデル)
- 現状: 定期的な面談を通じ、経営者の感覚や経験に基づく課題をヒアリングし、アドバイスする。
- 今後: お客様の許可を得て、クラウド会計データ等と連携。リアルタイムな経営数値をダッシュボードで共有し、客観的なデータに基づいた経営状況の分析、資金繰りの予測、改善提案を行います。これにより、経営判断のスピードと精度を飛躍的に高めます。
(3) 中小企業向けDX導入支援サービス(新規事業)
- 背景: 当事務所自身がDXを推進する過程で蓄積したノウハウ(ツールの選定、導入プロセス、業務の再設計など)を活用します。
- サービス内容: IT導入補助金などの申請サポートと組み合わせ、「何から手をつけて良いかわからない」という中小企業に対し、バックオフィス業務の効率化(例:クラウド会計導入、顧客管理システム導入)をコンサルティングし、伴走支援します。これは、当事務所自身の経験を価値として提供する、全く新しい収益の柱です。
3. DX戦略の推進
3-1. 組織
当事務所は、掲げた経営ビジョンとビジネスモデルを着実に実行するため、現在の人的リソースの強みを最大限に活かしつつ、外部パートナーとの連携を積極的に活用する、少数精鋭の機能的な体制を構築します。
1. 基本的な考え方
- 役割の明確化: 代表と従業員、それぞれの専門性と経験に基づき、役割を明確に分離します。
- コア業務への集中: 代表は高付加価値なコンサルティング業務や戦略策定に、パート職員は業務の正確なオペレーションに集中できる環境を整備します。
- 外部リソースの戦略的活用: 専門性が高い、あるいは一時的に必要となる機能については、無理に内製化せず、業務委託やアライアンスを通じて外部の専門家と連携します。
- 段階的な組織成長: 事業の成長フェーズに合わせて、現実的な組織拡大計画を策定します。
2. 各担当の役割と責任
(1) 代表
役職: 実務執行総括責任者・最高DX推進責任者
元大手SIerの営業として培ったITシステムの知見と顧客提案の経験を活かし、当事務所のDX戦略全般の司令塔となります。
- 戦略・企画: 経営ビジョンに基づいたDX戦略の策定、IT投資の意思決定。
- IT基盤構築: CRM、RPA、BIツール等の選定、導入、および業務プロセスへの統合を主導。
- 高付加価値サービスの提供: データに基づく「経営伴走サポート」や、新規事業である「中小企業向けDX導入支援サービス」のコンサルティングを自ら実行。
- パートナー戦略: 外部パートナー(DXテクニカル・パートナー、ITベンダー等)の開拓と連携を推進。
(2) 従業員
役職: DXオペレーション担当
代表が構築したDX基盤を運用する実務担当者と位置づけます。
- データマネジメント: CRMへの顧客情報や案件進捗の正確な入力・更新。各種データの蓄積と管理。
- 業務自動化の実行: 代表が設計したRPAシナリオの実行と、エラー発生時の一次報告。定型業務のデジタル化を担う。
- 顧客コミュニケーション: クラウドツールを活用した、お客様との円滑な情報共有やアポイント調整。
- マニュアル整備: 自身が担当するデジタル化された業務のマニュアルを作成・更新し、業務の標準化に貢献。
3-2. デジタル人材の育成・確保
1. 基本方針
当事務所の経営ビジョン『すべての挑戦する中小企業に、最高の羅針盤を。』を実現するための最も重要な原動力は「人材」であると認識しています。
私たちは、単に行政手続きに精通しているだけでなく、お客様の経営課題に深く寄り添い、デジタル技術を活用してその解決を導くことができるプロフェッショナル集団を目指します。
そのために、以下の3つを基本方針として、人材の育成と確保に積極的に投資します。
- 「π(パイ)型人材」の育成・採用: 「行政実務の専門性」という第1の軸と、「DX推進・データ活用スキル」という第2の軸を併せ持ち、それらを「伴走支援型のコンサルティング能力」で繋ぐことができる「π(パイ)型人材」を理想とします。
- 学び続ける組織文化の醸成: 少数精鋭の組織だからこそ、一人ひとりが常に最新の知識やスキルを学び、変化し続ける意欲を持つことが不可欠です。資格取得支援や研修参加を制度として導入し、組織全体の成長を促します。
- 魅力的な労働環境の構築: 優れた人材を確保・維持するため、ビジョンへの共感だけでなく、多様な働き方を許容する柔軟な労働環境と、公正な評価・処遇制度を整備します。
2. 育成方針
現在のリソースを最大限に活かすため、それぞれの強みに基づいた育成プランを実行します。
(1) 代表
- 役割: 実務執行総括責任者として、事務所全体のデジタルリテラシーとコンサルティング能力を牽引します。
- 育成プラン:
- 最新技術のキャッチアップ: AI、クラウド、サイバーセキュリティに関する外部セミナーやカンファレンスに年4回以上参加し、知識を常にアップデートします。
- リーダーシップ能力開発: 経営者向けのコミュニティ活動に積極的に参加し、他社の先進事例を学ぶとともに、リーダーシップとネットワークを強化します。
(2) 従業員
- 役割: DX化された業務プロセスの中心的な実行者として、その専門性を高めることを期待します。
- 育成プラン:
- スキルアップ支援: 業務で利用するRPA、CRM、BIツールに関するオンライン講座の受講を奨励し、費用は全額事務所が負担します。
- 資格取得支援制度の導入: 「ITパスポート」「RPA技術者検定」「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS) エキスパート」等の資格取得を推奨し、合格時には受験料と奨励金を支給します。
- キャリアパスの提示: 本人の希望と実績を踏まえ、将来的には業務範囲の拡大(例:RPAシナリオの簡易な作成・修正、データ分析補助など)や、正社員への登用も積極的に検討します。
3. 将来的な人材確保の方針
事業の成長フェーズ(2~3年後)に合わせ、新たな人材を確保します。
- 採用ターゲット: 当事務所のビジョンに強く共感し、中小企業の成長支援に情熱を持つ人材を求めます。「中小企業診断士」「ITコーディネータ」等の資格保有者、会計事務所やコンサルティングファームでの実務経験者、事業会社でのDX推進経験者などをターゲットとします。
- 確保戦略:
- 情報発信による魅力の伝達: 代表自らが事務所のウェブサイトやSNSを通じて、DX戦略、ビジョン、働き方に関する情報を積極的に発信します。これにより、当事務所の価値観に共感する潜在的な候補者へ直接アプローチし、ミスマッチの少ない採用(ダイレクトリクルーティング)を目指します。
- 柔軟な労働環境の提供: フルリモートワークやフレックスタイム制度を標準とし、能力ある人材が地理的な制約やライフステージの変化にとらわれず、長期的に活躍できる環境を提供します。
- 外部パートナーからの紹介: 普段から連携しているDXテクニカル・パートナーや他士業との信頼関係を活かし、質の高い人材の紹介(リファラル採用)も重要なチャネルとします。
4. 外部人材との連携による専門性の確保
高度なWebマーケティング、システム開発、サイバーセキュリティ対策など、常時必要としない専門分野については、引き続き外部の専門家(DXテクニカル・パートナー)と業務委託契約を結び、連携を強化します。これらのパートナーとは、単なる発注先としてではなく、月1回の定例会を通じてビジョンや戦略を共有し、当事務所のチームの一員として共に事業を推進する関係を構築します。
3-3. ITシステムへの対応
- 顧客・案件管理: 顧客管理システム(CRM/SFA)を導入し、お客様とのやり取りや案件の進捗を一元管理。担当者個人の記憶に頼らず、組織として高品質なサービスを提供できる体制を構築します。
- 定型業務の自動化: RPAや各種ツールを活用し、書類作成や情報収集といった定型業務を自動化。専門業務に集中できる環境を整備し、生産性を最大化します。
- 情報共有: クラウドストレージやビジネスチャットを全面的に活用し、お客様との迅速かつ安全な情報共有を実現します。
3-4. サイバーセキュリティへの対応
1. 基本理念
当事務所は、補助金申請サポート、経営伴走サポート、採用定着サポート等の業務を通じて、お客様である個人事業主および中小企業の事業成長に貢献することを使命としています。これらの業務を遂行する上で、お客様からお預かりする財務情報や人事情報といった機密性の高い情報資産をはじめ、当事務所が保有する全ての情報資産をサイバー攻撃の脅威から保護することは、事業活動の根幹をなす経営上の最重要課題であると認識しています。
この認識のもと、経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が策定した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に準拠し、代表の強力なリーダーシップのもと、事務所一丸となってサイバーセキュリティ対策に組織的かつ継続的に取り組み、お客様と社会の信頼に応え続けることを宣言します。
2. セキュリティ管理体制
当事務所は、サイバーセキュリティ対策を実効的に推進するため、以下の通り責任体制を定めます。
- 最高情報セキュリティ責任者(CISO: Chief Information Security Officer):代表がCISOを兼務し、当事務所のサイバーセキュリティに関する一切の責任を負い、対策の策定、導入、運用の最終的な意思決定を行います。
- セキュリティ担当者:従業員をセキュリティ担当者と位置づけ、CISO(代表)の指示のもと、具体的なセキュリティ対策の実務を担います。
- 外部専門家との連携:高度な専門知識が必要となる脅威分析やインシデント対応については、平時から信頼できる外部の専門機関やITベンダーと連携できる体制を構築し、迅速に対応できる環境を整備します。
3. 具体的な取り組み
当事務所は、サイバーセキュリティ経営ガイドラインが示す重要項目に基づき、以下の対策を実施します。
(1) リスクの認識と対策計画
- リスクの把握: CISO(代表)の責任のもと、当事務所が取り扱う情報資産を洗い出し、その重要度に応じたリスク評価を年1回以上実施します。
- 対策計画: 把握したリスクに基づき、具体的な対策計画と目標を策定し、そのための予算や時間を確保します。
(2) 防御のための仕組みの構築
- 情報資産の保護:
- 技術的対策:
- 使用する全てのPCおよびサーバーには、ウイルス対策ソフトを導入し、定義ファイルを常に最新の状態に保ちます。
- OS、ソフトウェアは、脆弱性情報を常に収集し、セキュリティパッチを速やかに適用します。
- クラウドサービス等のアカウントは、多要素認証(MFA)を原則とし、推測されにくい複雑なパスワードを設定・定期変更します。
- 顧客データなどの重要情報は、保管時・通信時ともに暗号化します。
- データは、定期的(日次・週次)に複数世代のバックアップを取得し、そのうち1つは物理的に離れた場所(クラウドストレージ等)に保管します。
- 物理的対策: オフィスおよび重要書類を保管するキャビネットは、常時施錠管理を徹底します。
- 人的対策: 全職員に対し、年1回以上のセキュリティ研修を実施します。また、標的型攻撃メールを想定した訓練を行い、対応能力の向上を図ります。
- 技術的対策:
(3) インシデントへの備えと対応体制
- 早期発見と報告: サイバー攻撃の兆候やインシデントを発見した場合、セキュリティ担当者は直ちにCISO(代表)へ報告するエスカレーションフローを定めます。
- 緊急連絡体制の整備: インシデント発生時に備え、外部専門家、JPCERT/CC、管轄警察署等の関係機関への緊急連絡網を整備し、いつでも参照できるよう管理します。
- 被害拡大防止と復旧: インシデント発生時は、CISO(代表)の指示のもと、感染端末のネットワークからの隔離等の初動対応を迅速に行い、バックアップデータからの復旧手順に従い、事業の早期復旧を目指します。
(4) サプライチェーン対策と情報共有
- 委託先の管理: 業務を委託する外部パートナーについては、契約時に当事務所と同等レベルのセキュリティ対策を求めてまいります。また、契約書には秘密保持義務およびセキュリティに関する条項を明記します。
- 情報収集と連携: IPAが推進する「SECURITY ACTION」の趣旨に賛同し、その宣言を行うとともに、公的機関や業界団体が発信するセキュリティ情報を積極的に収集し、対策に活かします。
(5) 情報開示体制
- 万が一、サイバーセキュリティインシデントが発生し、お客様や関係者に影響が及ぶ、またはその可能性があると判断した場合は、CISO(代表)の責任において、被害状況、対策、および見通しについて、迅速かつ誠実に情報開示を行います。
4. 見直し
本基本方針は、サイバーセキュリティを取り巻く環境の変化や、当事務所の事業内容の変化に応じて、年1回以上、または必要に応じて適宜見直しを行います。
4. 成果指標の設定・DX戦略の見直し
DX戦略の達成度を測る指標
1. 基本的な考え方
当事務所のDX戦略の進捗は、単にツールの導入数や活動量だけでなく、それが経営ビジョンの達成にどれだけ貢献しているかで測るべきだと考えます。
そのため、戦略上の各取り組みに対して、最終的な目標の達成度を示す「重要目標達成指標(KGI: Key Goal Indicator)」と、そのKGI達成に向けた日々の活動やプロセスの進捗を測る「重要業績評価指標(KPI: Key Performance Indicator)」の2種類を設定します。
これらの指標は、月1回の定例会議で代表と従業員が共に進捗を確認し、計画と実績の差異を分析し、次のアクションを決定する(PDCAサイクル)ための経営管理ツールとして活用します。
2. DX戦略の取り組みとKGI/KPIの対応表
戦略上の取組 | 重要目標達成指標(KGI) | 重要業績評価指標(KPI) | 測定方法・頻度 |
1. 補助金申請サポートの深化 | 補助金採択率 | ・過去案件のデータ化・構造化件数 ・データ分析に基づく提案件数 | 案件完了都度、四半期毎 |
2. 経営伴走サポートの進化 | 月額顧問契約数 | ・クラウド会計連携クライアント数 ・経営状況ダッシュボードの提供数 | 月次 |
3. DX導入支援サービスの創出 | DX導入支援サービスによる売上高 | ・DX導入支援サービスの標準パッケージ完成度 ・モデルケースとしての導入支援実施件数 | 月次 |
4. 上記を支える業務基盤の変革 | 代表が付加価値業務に投入できた時間の割合 | ・CRMへの顧客情報入力・更新率 ・RPAによる業務自動化時間 | 月次 |
3. 各取り組みと指標の紐づけに関する説明
(1) 「補助金申請サポートの深化」について
- KGI(最終目標): この取り組みの最終的な成功は、お客様の補助金が採択される確率が高まること、すなわち「補助金採択率」の向上です。これは当事務所の提供価値を直接示す最も重要な指標です。
- KPI(プロセス指標)との紐づけ:
- 高い採択率を実現するには、勘や経験だけでなく、客観的なデータ分析が不可欠です。その分析の基盤となるのが過去の案件データであるため、「過去案件のデータ化・構造化件数」をKPIとして進捗を追います。
- データが整備された後、それが実際に活用されなければ意味がありません。そこで、分析結果を基にお客様へ具体的な提案を行った回数を「データ分析に基づく提案件数」として計測します。このKPIが向上することが、KGIである採択率の向上に直結すると考えます。
(2) 「経営伴走サポートの進化」について
- KGI(最終目標): スポットでの支援から脱却し、お客様と継続的な関係を築くというビジネスモデル変革の成功は、安定的な収益基盤である「月額顧問契約数」で測ります。
- KPI(プロセス指標)との紐づけ:
- データドリブンな経営伴走の前提となるのが、お客様とのデータ連携です。そのため、「クラウド会計連携クライアント数」をKPIとし、デジタルな関係構築の進捗を測ります。
- 連携したデータを基に、お客様にとって価値ある情報(=経営の可視化)を提供できているかを測るため、「経営状況ダッシュボードの提供数」をKPIとします。これらの活動を通じてお客様の信頼を獲得することが、KGIである月額顧問契約の獲得につながります。
(3) 「DX導入支援サービスの創出」について
- KGI(最終目標): 新規事業の成否は、それが事務所の収益に貢献しているかで判断します。したがって、「DX導入支援サービスによる売上高」をKGIとします。
- KPI(プロセス指標)との紐づけ:
- 新サービスを安定的に提供するには、まずサービス内容が標準化されている必要があります。その進捗を「DX導入支援サービスの標準パッケージ完成度」で測ります。
- パッケージが完成した後、その有効性を実証し、実績を作るために「モデルケースとしての導入支援実施件数」をKPIとします。この実績作りが、本格的なサービス展開とKGIである売上高の達成に向けた重要なステップとなります。
(4) 「業務基盤の変革」について
- KGI(最終目標): 業務基盤の変革(効率化)の目的は、代表が定型業務から解放され、より付加価値の高いコンサルティング業務や戦略策定に時間を使うことです。その成果を「代表が付加価値業務に投入できた時間の割合」で測ります。
- KPI(プロセス指標)との紐づけ:
- 代表が付加価値業務に集中するためには、顧客情報がいつでも正確に参照できる状態(=CRM活用)と、定型業務が自動化されている状態(=RPA活用)が必要です。
- そのため、情報の属人化を防ぐ「CRMへの顧客情報入力・更新率」と、直接的な時間創出効果を示す「RPAによる業務自動化時間」をKPIとして設定します。これらのKPIの達成が、KGIである「付加価値業務時間の創出」を実現する土台となります。
5. ステークホルダーとの対話
1. 基本理念
当事務所は、経営ビジョンの実現に向け、お客様、ビジネスパートナー、地域社会をはじめとする、事業活動に関わる全てのステークホルダーの皆様との建設的な対話が不可欠であると考えます。
私たちは、一方的な情報発信に留まらず、皆様からのご意見、ご要望、そして時には厳しいご指摘に真摯に耳を傾け、それらを当事務所の経営戦略やサービス改善に活かすことで、継続的な価値創造と信頼関係の構築を目指します。この対話のプロセスこそが、当事務所の持続的な成長の原動力であると確信しています。
2. ステークホルダーの定義と対話の目的
当事務所は、主要なステークホルダーを以下の通り定義し、それぞれの関係性を尊重した対話に努めます。
- お客様:
- 定義: 現在の顧問先様およびサービスをご利用いただいているお客様、そして将来お客様となる可能性のある中小企業の経営者様。
- 対話の目的: 経営上の課題やニーズを深く理解し、サービスの質を向上させるとともに、当事務所のビジョンや専門的知見を共有することで、お客様の事業成長に貢献します。
- ビジネスパートナー:
- 定義: 当事務所のDX推進を支えるITベンダー、専門的な知見を共有する他の士業、業務委託先の専門家など。
- 対話の目的: 相互の強みを活かした連携を強化し、お客様に対してより付加価値の高いサービスを共創します。
- 地域社会・業界:
- 定義: 当事務所が所属する地域経済圏(商工会議所など)および行政書士・中小企業診断士業界全体。
- 対話の目的: 中小企業のDX推進を支援することで地域経済の活性化に貢献するとともに、業界全体の発展と社会的信用の向上に努めます。
3. 具体的な対話の機会と方法
上記の目的を達成するため、以下の具体的な対話の機会を設けます。
(1) お客様(顧客・潜在顧客)との対話
- 能動的な情報発信:
- 公式ブログの運営(月1回以上): 当事務所のDX戦略や価値創造ストーリー、中小企業経営に役立つ専門知識などを発信し、考えや姿勢を広く伝えます。
- セミナー・勉強会の開催(四半期に1回程度): 補助金活用やバックオフィスDXなどをテーマに、オンライン・オフラインでのセミナーを開催し、直接的な対話の場を創出します。
- フィードバックの収集:
- 顧客満足度アンケートの実施: 案件完了後にアンケートを実施し、サービスに対する率直なご意見を伺います。
- 経営伴走サポートにおける定例会議: 顧問契約をいただいているお客様とは、月1回の定例会議を通じて、常に経営課題を共有し、対話します。
(2) ビジネスパートナーおよび地域社会・業界との対話
- 戦略共有会議: 主要なITベンダー等とは定期的に会議を行い、技術動向や協業の可能性について深く議論し、連携を強化します。
- 積極的な外部活動への参加: 地域の商工会議所や行政書士会・中小企業診断士協会が主催するイベント・研究会へ積極的に参加し、情報交換やネットワーク構築を図り、地域・業界の課題解決に貢献します。
4. 対話内容の経営への反映(フィードバックループ)
各ステークホルダーとの対話を通じて得られた情報、意見、要望は、代表が責任を持って集約・分析します。分析結果は経営判断に活用され、以下の通り経営に反映させます。
- サービスの改善: お客様からのフィードバックを基に、既存サービスの品質向上や、新たなサービスの開発を行います。
- DX戦略の見直し: 対話を通じて得られた新たなニーズや市場の変化を基に、DX戦略やKPIを柔軟に見直します。
- パートナーシップの強化: ビジネスパートナーからの提案を参考に、新たな協業モデルを構築します。
5. 本方針の見直し
社会情勢や事業環境の変化に対応するため、本方針は少なくとも年1回、または必要に応じて適宜見直しを行います。