こんにちは!
採用定着士の長野です。
今回は、
「組織を動かすマネジメントの基本的な考え方」をお伝えします。
部下の成長につながるマネジメントをするには、
詳細なやり方を提示し、本人の能力や性格に合わせて柔軟に
方針を変化させていく必要があります。
一方、組織を動かすマネジメントの場合、
このようなやり方をしてしまうと、逆に上手くいきません。
組織を動かすマネジメントを成功させるための
キーワードは「骨太な方針」です。
組織を動かすマネジメントに必要なこと
マネジメントの対象が人であるか組織であるかによって、
その方法を変える必要があります。
つまり、以下のように2種類のマネジメントがあるということです。
・自分の部下の成長を促すことを目的としたマネジメント
・組織全体を動かすことを目的としたマネジメント
部下のやる気を維持することを目的としたマネジメントの
ポイントは以下の通りです。
・その人にあった難易度の課題を与える
・やる目的や具体的なやり方等を説明する
・状況に合わせて課題を変化させる
しかし、
組織を動かすことが目的となった場合は、
このようなやり方は逆にやってはいけないマネジメントとなります。
部下を動かすようなやり方で、
組織全体を動かそうとすると多くの不都合が出てくるでしょう。
例えば、
組織全体の動きが止まって停滞したり、
想定と全然違う動きをし始めたり、
ということになる可能性が高いです。
このように、人をマネジメントするような感覚で、
組織をマネジメントしても上手くいかない理由は、
組織を動かす場合、実際に動く人との間に多くの人が入るためです。
一般的な組織の構成では、経営者の指示は、以下のように伝達されます。
経営者→部長→課長→現場の社員
このような感じで、
組織全体を動かす意図で出された経営者の指示は、
順番に人を伝っていき実際に動く人へ到達します。
つまり、
伝言ゲームのような状況になるのです。
そうなると、高い確率で、
伝言されるたびに細かいニュアンスが変わっていきます。
指示の文言は一致していたとしても、
各職員の考え方や専門の職種、立場、性格などによって、
受け取り方が変わっていきます。
そのため、
1人の部下にするように細かく指示を出したとしても、
現場の社員まで意図を正確に伝えるのは困難です。
その結果、現場の社員は以下のような状況に陥るリスクがあります。
・示の意図がわからない
・よくわからないけどとりあえず言われた通りにしよう
・どう動けばいいかわからず何もしようがない
・現場のことを何もわかってない非現実的な指示で不快感を感じる
このような状況になった場合、
やる気に満ちた状態で組織が動くことはありません。
やる気が無い状態で動いてくれるのであればまだ良くて、
全く間違った行動をしたり、
すべてストップしてしまうことすら考えられます。
このように、
組織を動かすマネジメントを行うときには、
多くの人を介した伝言ゲームとなることを意識する必要があるのです。
逆に言うと、
人に伝言される過程を経ても変化することのない指示が、
組織のマネジメントにふさわしい指示ということになります。
そして、そのような簡単に変わることのない、
組織をマネジメントするときにふさわしい指示のことを、
「骨太な方針」と呼びます。
骨太な方針とは?
ここまでに説明した通り、
組織を動かすマネジメントをするためには、
伝言ゲームで現場の社員に到達したときに指示が
変わらないように注意する必要があります。
そのような指示は、
「誤解する余地のないほど簡単で明瞭」
であることが重要です。
このような特徴を意味する言葉が
「骨太な方針」です。
そもそも、組織を動かすマネジメントの目的は、
組織を上手く動かし、人がスムーズに働ける環境を作ることです。
そして、そのような環境を作ることは、
現場の社員も働きやすい環境となり社員定着へつながります。
組織のマネジメントを目的としているのであれば、
指示を出す相手(部下)のモチベーションを高めることは
目指さなくても良いのです。
組織を動かすための指示、
つまり「骨太な方針」の特徴は、
「何をやるべきかだけ」を指示することです。
「何」についても、細かく指示してはいけません。
どのようにやるべきかについては、全く触れません。
なぜなら、細部を細かく説明しても、
現場に到達したときには伝言ゲームで変わってしまうため、
意図を正確に伝えることができないからです。
このように詳細な情報を含めずに、
最も大きな目的のみを伝える指示の仕方が「骨太な方針」です。
繰り返しになりますが、
組織のマネジメントの目的は、
部下のモチベーションを高めることではありません。
部下の意欲を向上させることが目的の指示の場合、
2W2R(What、Way、Reason、Range)を伝える必要があります。
つまり、
何を、どのように、どういう目的でやるのか、
どのような範囲で自由に判断していいのか、
といった情報を伝えてあげる必要があります。
しかし、
組織のマネジメントの場合、
全体のトップが出す指示にそのような情報は不要です。
そのような具体的な指示は、
現場の社員とトップの間に位置する中間管理職が担います。
具体的な指示は中間管理職に任せよう
中間管理職とは、いわゆる課長等の管理職です。
組織全体を「部」、「課」、「チーム」といった感じで
小さい単位に分解していったときに、
その小さい単位のトップとなり、管理を担当するスタッフです。
中間管理職は、その単位が担当する業務のプロです。
それぞれの単位の業務について多くの経験を持っており、
経営者よりも担当業務の特性については、十分に詳しいはずです。
なので、その単位のスタッフへの指示は、
経営者がするのではなく中間管理職に任せた方が、
より実効性が高いものになるのです。
経営者など組織の上に立つ人間は、
部下よりも自分の方が現場や実務をよく知っていると
思ってしまう場合があります。
そして、その前提の元、
現場の社員に事細かに指示を出したりしてしまいがちです。
その結果、
現場に混乱が広がったり士気が下がったりすることに繋がります。
このような健全な上下関係が崩れてしまうと、
現場のスタッフたちの中には、居心地の悪さを感じ、
退職を考える人も出てくるでしょう。
指示通りにうまく動かないだけでなく、
組織の維持自体が難しくなってくることもあり得るのです。
何度もお伝えしますが、
組織を動かすマネジメントの基本は「骨太な方針」。
方向や方針を明らかにすることにとどめるべきです。
そして、
具体的な指示は現場のプロである中間管理職に任せましょう。
経営者の指示が、中継するリーダーにより、
各単位にふさわしい形に肉付けされていくのが理想です。
最後に、
組織を動かすマネジメントの流れを整理すると、
以下のようになります。
①トップの人間が「骨太な指示」を出す
②中継となる中間管理職が指示を受け取る
③受け取った中間管理職は、自分の専門性や部署の特性を考えて肉付けをする
④さらに下にいる人に「骨太で簡単明瞭な指示」になるようにして伝える
⑤WayやWhatは、自分より下の人に肉付けをしてもらう
このような流れを繰り返すことで、
骨太な方針で示した目的は保ったまま、
実行可能な詳細指令が形作られていきます。