こんにちは!
採用定着士の長野です。
今回は、
「考える人材」
を育成する指示についてお伝えします。
前回は主に
「受け手が動きやすい指示」
についてお伝えしました。
ですが、
気持ちよく働くのは大事だけど、あまりにも「丁寧な指示」をすると自分で考える力が育たないのでは?
そう心配されている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、いくらスムーズに動いてもらえたとしても、
いつも細かい指示をしなきゃならない…
なんて事になったら、指示を出す側が疲弊してしまいますよね。
上手く自立してもらうにはどうすれば良いのか。
早速、結論!!!
早速結論となりますが、
「自分で考える人材を育てる指示」
のために必要なのは、
「Reason(理由)」です。
別の言い方をすれば、
「何のためにその作業をやるのか」
を理解してもらうということです。
それでは、具体的に見ていきましょう!
理由を伝えて「考える人材」を育てる
指示を出すとき、その内容だけを伝えたとします。
「Aという作業をお願いします」
「次はBという作業をお願いします」
といった感じです。
こうした場合、受け手は「個別の作業の指示」として捉えますよね。
その際に意識するのは、
「作業をうまくやりとげる」
ことのみです。
これは、「作業を覚える」という状態ですね。
それでは、前述の指示にこう付け加えると、どうでしょうか。
「Bの作業にはAという前工程が必要です」
受け手は、
「自分が今やろうとしている仕事は2工程なんだ」
と連続した仕事の全体像をイメージし、
「Bの作業がやりやすいようにAを仕上げなければ」
と「考えて」実行するようになります。
このように「理由」を伝えることは、「自分で考えて動く」人材育成のために欠かせない行為なのです。
理由を伝えることの効果
何かをするための「理由」は、その行為の「本質」である場合も多いものです。
例えば最近では当たり前になりましたが、美容室では必ずと言って良いほど飲み物が提供されます。
この行為の「理由」は、顧客満足度を高めるためと言ってしまえばそれまででしょう。
しかし、そうであれば会計の際にアメニティを渡す、といったことでも良い筈です。
なぜ飲み物なのか。
それは顧客が美容室に対し、リラックスできる空間であることを求めるようになってきたからです。
キレイになる技術だけじゃなく、癒しも提供して欲しい。
この要求に応えて満足度を上げるにはリラックスという「本質」につながる付加価値でないと意味がないのです。
このように、指示とともに「理由」を伝えることは
・指示を受けた側が考えるようになる
ことに加え、
・上司や顧客が望む言外の意図を汲んだ思考
が可能になるという効果があるのです。
指示する側の負担もぐっと減りますよね。
「理由」は「工夫」の入り口
理由を伝えることの効果は他にもあります。
「工夫」をするようになるのです。
前述したA→Bという工程の業務を例にすると、「理由」つきの適切な指示を受け続けた結果、こう考えることができるようになります。
「A工程はB工程のために必要な作業だった」
「B工程も次工程のために必要な作業かも」
作業にはそれなりの「理由」があるということを学習した結果、考える力がついて「類推」できるようになるのです。
こうして自発的に考えることができるようになれば、更にレベルアップして下記のような発想に至る日はすぐそこです。
「B工程で次工程が円滑に進むように工夫できないかな」
「理由」がわかれば類推によって、指示された業務以外のことも色々と見えてきます。
そうして考え、工夫した結果、作業はスムーズになり、仕事が楽しくなります。
「自分で決めた」という満足感も高まるので、仕事の価値そのものも高くなります。
そんな、
「楽しくて成長できる会社」を
辞める「理由」がありませんよね。
理解度を確認する
もっとも、「理由」を伝えたからといって、すぐに社員が成長する訳ではありません。
「理解」し
「考え」
「工夫」するというステップアップが必要です。
このうち、
「考えて行動しているな」
「工夫し始めたな」
というのは動き方で成長が見えるため、比較的わかりやすいです。
難しいのは最初のハードルである「理解」しているのかを測ることです。
理由を理解していればおのずと行動に反映されるはずですが、どうもその兆候は見られない…
そんな時、ストレートに「分かってる?」と聞いても、
「分かってます」
と答えるに決まっていますよね…
本人は本当に分かっているつもりなので。
こうした時にはぜひ「説明」をうながしてください。
浅い理解でも、「質問に答える」ことはできるでしょう。
ですが、「他者に説明する」ことは、深い所まで理解していないと出来ないことです。
ダミーの環境でも良いので「何も分からない人に業務を説明する」というシチュエーションを作ってあげてください。
上手く説明できなくても、自分が何をどれくらい理解できていないのか、可視化してあげられるので成長につながります。
日頃の関わり方が最重要
定着する人材を育てるための「指示」について色々と見てきました。
しかし、実は最も重要なのは「指示を出すその時」ではありません。
「部下との日頃の関わり方」こそが最重要なのです。
どれほど優れたノウハウがあっても、指示を出す相手はひとりひとり個性の異なる人間です。
つまり、「最適な指示の出し方」もまたひとりひとり異なります。
踏み込み過ぎない程度の雑談も交えつつ日頃から部下をよく観察し、「どういう人間なのか」を理解してあげてください。
部下の強みを活かし、弱みをカバーした上で、あなたが心から「成長してほしい」と願って出す指示。
それこそが
「この会社で長く働きたい」
と思ってもらえる、最も良い指示かもしれません。